筑波大学 理工情報生命学術院 システム情報工学研究群 情報理工学位プログラム 2017年2月実施 基礎科目 情報2
Author
祭音Myyura
Description
情報2 (1)
木構造を用いてキー (key) と値 (value) のペアを格納する連想配列をC言語で実装することを考える. ただし,キーは a~z の英小文字からなる文字列,値は正の整数とする.
ここで用いる木構造は以下の図のような根付き木である.
上図の例では,以下の表の5つのペアを格納した根付き木を表している.
キー | 値 |
---|---|
mile | 20 |
milk | 15 |
pea | 10 |
peach | 30 |
pie | 25 |
上図の木のノードを表現するために,以下の構造体nodeを用いる.
配列 c には,a~z の各文字に対する子ノードへのポインタが格納される. なお,子ノードがない場合には NULL が格納される. また,isEnd には,そのノードがキーの最後の文字に対するノードである場合には TRUE を,そうでない場合には FALSE を格納する. isEnd に TRUE が格納される場合には,value にそのキーとペアになる値が格納される.
この構造体を用いて以下の関数を実装することを考える.
struct node *new_node()
, 新たなノードを作成して初期化し,そのノードへのポインタを返す.void insert(struct node *root, char *key, int value)
, root が指すノードを根とする根付き木に対して,キー key と値 value のペアを追加する.キー key が根付き木にすでに存在している場合,古い値をvalue でおきかえる.int search(struct node *root, char *key)
, root が指すノードを根とする根付き木に key をキーとするペアがあるかを探し,あればそのペアの 値を返す.なければ −1 を返す.
(a) 以下のプログラムは構造体 node を用いて関数 new_node,insert,search を実装したものである. 空欄 [ (A) ] ~ [ (F) ] を埋めてこのプログラムを完成させなさい.
(b) n 個のペアが格納されている root が指すノードを根とする根付き木に対して,長さ k の文字列を key として関数 search を呼び出したときの最悪の場合の漸近的な時間計算量を示し,その理由も示しなさい.
情報2 (2)
次の C 言語で記述されたプログラムリストについての以下の設問に答えなさい.
(a). このプログラムは,固定長の配列を用いて,可変長の文字列のバッファを実現する. プログラムリストの 8 行目から 22 行目で定義されている関数は,与えられた文字列をバッファへ格納する. いま,head と tail が共に 12 にセットされ,配列 store の中身がすべて '\0' (NULL 文字) で初期化されている struct buffer 型の構造体 buf があると仮定する. 以下に示す順序でこの関数を実行した後の buf.store の内容を答えよ.
(b). プログラムリストの 24 行目から 35 行目は,バッファに格納された文字列を1つ取り出す関数である. この関数は,バッファに何も格納されていない場合は 0 を返す. それ以外の場合は,head から始まる文字列を dest の指すメモリ領域にコピーし,1 を返す. (A) から (D) の空欄を埋めてプログラムを完成させよ. なお,空欄の中では関数呼び出しは用いないこと.
(\(c\)). このプログラムで実現されているデータ構造は,FIFO (First-In,First-Out) と LIFO (Last-In, First Out) のどちらであるか?
(d). このプログラムは,head や tail の値の桁あふれによって誤動作を起こすかもしれない. それを防ぐために,33 行目と 34 行目の間に以下の 3 行を追加することを考える. (E) の空欄を埋めて桁あふれを防止せよ. なお,空欄の中では関数呼び出しは用いないこと.
Kai
情報2 (1)
(a)
- 空欄 [ (A) ]: n->c[i] == NULL
- 空欄 [ (B) ]: n->c[i]
- 空欄 [ (C) ]: TRUE
- 空欄 [ (D) ]: n->value = value
- 空欄 [ (E) ]: n->c[i]
- 空欄 [ (F) ]: n->isEnd
(b)
関数 search の for 文より、最悪の場合の計算量は \(O(\text{len}) = O(k)\) である。
情報2 (2)
(a)
0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
'e' | '\0' | 'f' | 'o' | 'u' | 'r' | '\0' | 't' | 'w' | 'o' | '\0' | 'e' | 't' | 'e' | 'n' | '\0' | 's' | 'i' | 'x' | '\0' | 't' | 'h' | 'r' | 'e' |
(b)
- 空欄 [ (A) ]: buf->tail
- 空欄 [ (B) ]: buf->store[i++ % BUFSIZE]
- 空欄 [ (C) ]: *dest++
- 空欄 [ (D) ]: buf->head
(\(c\))
FIFO
(d)
- 空欄 [ (E) ]: i / BUFSIZE * BUFSIZE