東京大学 工学系研究科 2022年度 数学3
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Kai
I.
1.
\(I_1\) の被積分関数
\[
\begin{aligned}
f(z) = \frac{z}{(z-i)(z-1)}
\end{aligned}
\]
の極 \(z=1,i\) における留数はそれぞれ
\[
\begin{aligned}
R_1 &= \frac{1}{1-i} = \frac{1+i}{2}
, \\
R_i &= \frac{i}{i-1} = \frac{1-i}{2}
\end{aligned}
\]
である。
\(I_1\) は \(z=1\) の周りを反時計回りに回る部分と \(z=i\) の周りを時計回りに回る部分からなるから、
\[
\begin{aligned}
I_1
&= 2 \pi i \left( R_1 - R_i \right)
\\
&= -2 \pi
\end{aligned}
\]
である。
2.
2.1
\(|z|=1\) を満たす複素数 \(z\) は、 \(z=e^{i \theta} \ \ (0 \leq \theta \lt 2 \pi)\) と書ける。 このとき、
\[
\begin{aligned}
dz &= i e^{i \theta} d \theta = iz d \theta
\\
z + \frac{1}{z} &= e^{i \theta} + e^{-i \theta} = 2 \cos \theta
\end{aligned}
\]
であるから、
\[
\begin{aligned}
I_2
&= \oint_{|z|=1} \frac{1}{10 + 4 \left( z + \frac{1}{z} \right)} \frac{dz}{iz}
\\
&= \oint_{|z|=1} \frac{-i}{2(z+2)(2z+1)} dz
\end{aligned}
\]
よって、
\[
\begin{aligned}
G(z) = \frac{-i}{2(z+2)(2z+1)}
\end{aligned}
\]
である。
2.2
\(G(z)\) の特異点は \(z=-1/2, 2\) である。
2.3
\(G(z)\) の \(z=-1/2\) における留数は \(-i/6\) であるから、留数定理により、
\[
\begin{aligned}
I_2 = 2 \pi i \cdot \frac{-i}{6} = \frac{\pi}{3}
\end{aligned}
\]
を得る。