東京大学 工学系研究科 2021年度 物理学1
Author
Miyake
Description
Kai
I.
1.
衝突直後の B (および A)の速度を \(V\) とすると、運動量保存則より、
\[
\begin{aligned}
mv &= (m+M)V
\\
\therefore \ \
V &= \frac{m}{m+M} v
\end{aligned}
\]
である。
\(x\) の速度および加速度をそれぞれ \(\dot{x}, \ddot{x}\) と書く。
衝突後の A および B の運動方程式は、
\[
\begin{aligned}
(m+M) \ddot{x} = -kx
\end{aligned}
\]
であるから、 角振動数を \(\omega = \sqrt{k/(m+M)}\) として、
\(t=0\) で \(x=0, \dot{x}=V\) であることを考慮して、
\[
\begin{aligned}
x(t)
&= \frac{V}{\omega} \sin \omega t
\\
&= \frac{mv}{\sqrt{(m+M)k}} \sin \left( \sqrt{\frac{k}{m+M}} t \right)
\end{aligned}
\]
を得る。
2.
求める時刻は \(\pi / \omega = \pi \sqrt{(m+M)/k}\) である。
また、このときの速度はエネルギー保存則より \(-V = -mv/(m+M)\) である。
II.
1.
衝突直後の A, B の速度をそれぞれ \(v_A, v_B\) とする。
運動量保存則より、
\[
mv = mv_A + mv_B
\]
が成り立つ。
また、完全弾性衝突なので、エネルギー保存則
\[
\begin{aligned}
\frac{1}{2} mv^2 = \frac{1}{2} mv_A^2 + \frac{1}{2} mv_B^2
\end{aligned}
\]
が成り立つ。
この連立方程式には2通りの解があるが、
\(v_A = v, v_B = 0\) は衝突せずに通り過ぎるということなので、
求める解は、
\[
\begin{aligned}
v_A &= \frac{m-M}{m+M} v
\\
v_B &= \frac{2m}{m+M} v
\end{aligned}
\]
である。
2.
時刻 \(t\) における A, B の位置をそれぞれ \(x_A(t), x_B(t)\) とする。
上の 1. で得た式は \(M=m\) のとき、\(v_A = 0, v_B = v\) となるので、
\(\omega_0 = \sqrt{k/m}, t_0 = \pi / \omega_0 = \pi \sqrt{m/k}\) として、
\[
\begin{aligned}
x_A (t) &=
\begin{cases}
0 & 0 \leq t \leq t_0 \\
-vt & t_0 \lt t
\end{cases}
\\
x_B (t) &=
\begin{cases}
\frac{v}{\omega_0} \sin \omega_0 t & 0 \leq t \leq t_0 \\
0 & t_0 \lt t
\end{cases}
\end{aligned}
\]
がわかる。
III.
1.
時刻 \(t\) における A, B の位置をそれぞれ \(x_A(t), x_B(t)\) とする。
1回目の衝突直後の A, B の速度をそれぞれ \(v_A, v_B\) とすると、
運動量保存則
\[
\begin{aligned}
mv = mv_A + 2mv_B
\end{aligned}
\]
および
反発係数が \(e\) であること
\[
\begin{aligned}
e = \frac{v_B - v_A}{v}
\end{aligned}
\]
から、
\[
\begin{aligned}
v_A &= \frac{1-2e}{3} v
\\
v_B &= \frac{1+e}{3} v
\end{aligned}
\]
がわかる。
2回目の衝突の時刻を \(t_2 = (7 \sqrt{2} \pi / 6) \sqrt{m/k}\) とする。
時刻 \(0 \lt t \lt t_2\) において、
B の角振動数は \(\omega_2 = \sqrt{k/(2m)}\) であるから、
\[
\begin{aligned}
x_A(t) &= v_A t
\\
x_B(t) &= \frac{v_B}{\omega_2} \sin \omega_2 t
\end{aligned}
\]
であり、 \(x_B(t)\) の \(t\) による微分は、
\[
\begin{aligned}
\dot{x}_B(t) &= v_B \cos \omega_2 t
\end{aligned}
\]
である。
よって、2回目の衝突の直前の A, B の速度をそれぞれ \(V_A, V_B\) とすると、
\[
\begin{aligned}
V_A
&= v_A
\\
&= \frac{1-2e}{3} v
\\
V_B
&= \dot{x}_B(t_2)
\\
&= v_B \cos \omega_2 t_2
\\
&= - \frac{1+e}{2 \sqrt{3}} v
\end{aligned}
\]
である。
2.
\(x_A(t_2) = x_B(t_2)\) から、
\[
\begin{aligned}
e = \frac{7 \pi + 3}{14 \pi - 3}
\end{aligned}
\]
を得る。