東京大学 情報理工学研究科 数理情報学 2024年度 第1問
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行列 \(A\in\mathbb{R}^{d \times m}\) の第 \((i,j)\) 成分を \(a_{i,j}\) 、転置を \(A^\top\) と書き、 \(\|A\|_\text{F} = \sqrt{\sum_{i=1}^d \sum_{j=1}^m a_{i,j}^2}\) とする。 正方行列 \(A\in\mathbb{R}^{d \times d}\) のトレースは \(\text{tr}A = \sum_{i=1}^d a_{i,i}\) である。また \(I\) を \(d \times d\) 単位行列とする。
以下では \(d<m\) とし、行列 \(X,Y\in\mathbb{R}^{d \times m}\) によって与えられる最適化問題
の最適解 \(P\) の集合を \(\text{OPT}(X,Y)\) と書く。以下の設問に答えよ。
(1) 行列 \(A,B\in\mathbb{R}^{d \times m}\) の第 \(j\) 列ベクトルをそれぞれ \(a_j, b_j\) とし、 \(a_j\) のユークリッドノルムを \(\|a_j\|_2\) と書く。 行列 \(A,B\in\mathbb{R}^{d \times m}\) と正の実数 \(w_1, \dots, w_m\) によって与えられる最適化問題
の最適解 \(P\) の集合が \(\text{OPT}(X,Y)\) となるような行列 \(X,Y\in\mathbb{R}^{d \times m}\) を一組求めよ。
(2) 行列 \(X,Y\in\mathbb{R}^{d \times m}\) によって与えられる最適化問題
の最適解 \(P\) の集合が \(\text{OPT}(X,Y)\) であることを示せ。
(3) 行列 \(X,Y\in\mathbb{R}^{d \times m}\) に対して、行列 \(XY^\top\) の特異値分解を \(XY^\top = U \Sigma V^\top\) と書く。 最適化問題 (*) の最適解の1つ \(P\in\text{OPT}(X,Y)\) を行列 \(X,Y,U,\Sigma,V\) のうちのいくつかを用いて表せ。
Kai
(1)
ただし、 \(W = \text{diag}\{\sqrt{w_1},\dots,\sqrt{w_m}\}\) であり、 \((PAW-BW)_j\) は行列 \(PAW-BW\) の第 \(j\) 列ベクトルである。
したがって、 \(X=AW, Y=BW\) とすればよい。
(2)
ここで、 \(\text{tr}(A^\top)=\text{tr}(A)\) と \(\text{tr}(AB)=\text{tr}(BA)\) を使用しました。
以上より、最適解 \(P\) の集合が \(\text{OPT}(X,Y)\) であることを示された。
(3)
与えられた式より、
\(Q=V^\top PU\) とおくと、 \(Q^\top Q=I\) が明らか。
故に、 \(\|q_j\|_2^2=1, \quad j=1,2,\dots,d\) 。
よって、
さらに、 \(P=VU^\top\) とすると \(Q=I\) であり、 \(\text{tr}(PXY^\top)=\sum_{j=1}^d \sigma_{j}\) である。
したがって、 \(P=VU^\top\in\text{OPT}(X,Y)\) がわかる。