Skip to content

東京大学 情報理工学研究科 2022年度 数学 第3問

Author

Miyake

Description

\(xy\)平面上に、\(0<x<1\)かつ\(0<y<1\)で定義される領域\(R\)を考える.\(R\)上にランダムに1点を選び、それを点\(A\)とする.ただし,点\(A\)\(R\)上に一様に分布するとする.図に表すように,点\(A\)から\(y\)軸への垂線を\(AB\),点\(A\)から\(x\)軸への垂線を\(AC\)とする.原点を\(O\)としたとき、長方形\(OCAB\)\(\lceil\)\(A\)の長方形\(\rfloor\)と呼ぶ.また、点\(A\)の長方形の面積を表す確率変数を\(S\)とする.以下の問いに答えよ.

(1)、\(S\)の期待値を求めよ.

(2)、\(S\leq r\)となる確率を求めよ.ただし\(0<r<1\)とする.

(3)、\(S\)の確率密度関数を求めよ.

再び、領域\(R\)を考える.\(n\)を正の整数とする.\(R\)上にランダムに\(n\)点を選び,それらを点\(A_{1},A_{2},...,A_{n}\)とする.ただし、各点は\(R\)上に一様に分布し、\(i\neq j\)である\(A_{i}\)\(A_{j}\)は独立に選ばれるとする.次の問いに答えよ.

(4)、点\(A_{i}\)の長方形の面積を表す確率変数を\(S_{i}\)とする.\(Z\)\(S_{1},S_{2},...,S_{n}\)の最小値を表す確率変数とする.この時、\(Z\)の確率密度関数を求めよ.

Kai

確率を \(P\) ,期待値を \(E\) で表す。

(1)

A の座標を \((X,Y)\) とすると、 \(X,Y\) は互いに独立な確率変数であり、 それぞれ \(0\) から \(1\) までの一様分布に従う。 よって、求める期待値は、

\[ \begin{aligned} E(S) &= E(XY) \\ &= E(X)E(Y) \\ &= \frac{1}{4} \end{aligned} \]

(2)

求める確率は、

\[ \begin{aligned} P(S \leq r) &= r + \int_r^1 \frac{r}{x} dx \\ &= r + r \left[ \log x \right]_r^1 \\ &= r - r \log r \end{aligned} \]

(3)

\(S\) の確率密度関数 \(f(s)\) は、 \(0 \lt s \lt 1\) では

\[ \begin{aligned} f(s) &= \frac{d}{ds} P(S \leq s) \\ &= - \log s \end{aligned} \]

であり、それ以外では \(0\) である。

(4)

\(0 \lt z \lt 1\) について

\[ \begin{aligned} P(Z \leq z) &= 1 - P(Z \gt z) \\ &= 1 - P(S_1 \gt z \text{ and } S_2 \gt z \text{ and } \cdots \text{ and } S_n \gt z ) \\ &= 1 - P(S_1 \gt z) P(S_2 \gt z) \cdots P(S_n \gt z) \\ &= 1 - \left( 1 - z + z \log z \right)^n \end{aligned} \]

よって、求める確率密度関数 \(g(z)\) は、

\[ \begin{aligned} g(z) &= \frac{d}{dz} P(Z \leq z) \\ &= -n \log z \left( 1 - z + z \log z \right)^{n-1} \end{aligned} \]

である。 また、 \(z \lt 0, \ z \gt 1\) では \(g(z)=0\) である。