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東北大学 情報科学研究科 数学教室 2019年8月実施 [6]

Author

Miyake

Description

一様分布が与えられた単位円板 \(\Omega = \{(x,y) \in \mathbb{R}^2 \mid x^2+y^2 \le 1\}\) からランダムに1点を選び,その座標を \((X,Y)\) とする.

(1) 確率変数 \(X\) の確率密度関数 \(f_X(x)\) を求めよ.

(2) 確率変数 \(X\) の平均値 \(\boldsymbol{E}[X]\) と分散 \(\boldsymbol{V}[X]\) を求めよ.

(3) 2つの確率変数 \(X,Y\) の共分散を求めよ.ただし,共分散は

\[ \boldsymbol{Cov}(X, Y) = \boldsymbol{E}[(X - \boldsymbol{E}[X])(Y - \boldsymbol{E}[Y])] \]

で定義される.

(4) 2つの確率変数 \(X,Y\) は独立であるか.理由を付して答えよ.

Kai

(1)

単位円板 \(\Omega\) の面積は \(\pi\) であるから、 \(X, Y\) の同時密度関数 \(f(x,y)\) は、

\[ \begin{aligned} f(x,y) = \frac{1}{\pi} \ \ \ \ \left( (x,y) \in \Omega \right) \end{aligned} \]

である。 よって、

\[ \begin{aligned} f_X(x) &= \int_{- \sqrt{1 - x^2}}^{\sqrt{1 - x^2}} f(x,y) dy \\ &= \frac{1}{\pi} \int_{- \sqrt{1 - x^2}}^{\sqrt{1 - x^2}} dy \\ &= \frac{2}{\pi} \sqrt{1 - x^2} \ \ \ \ \ \ \ \ ( -1 \leq x \leq 1 ) \end{aligned} \]

である。

(2)

\(f_X(x)\) は 偶関数であるから、明らかに、

\[ \begin{aligned} E[X] = 0 \end{aligned} \]

である。 また、

\[ \begin{aligned} E[X^2] &= \int_{-1}^1 x^2 f_X(x) dx \\ &= \frac{2}{\pi} \int_{-1}^1 x^2 \sqrt{1 - x^2} dx \\ &= \frac{4}{\pi} \int_0^1 x^2 \sqrt{1 - x^2} dx \\ &= \frac{4}{\pi} \int_0^{\pi / 2} \sin^2 \theta \cos^2 \theta d \theta \ \ \ \ \ \ \ \ ( x = \sin \theta ) \\ &= \frac{1}{\pi} \int_0^{\pi / 2} \sin^2 2 \theta d \theta \\ &= \frac{1}{\pi} \int_0^{\pi / 2} \frac{1 - \cos 4 \theta}{2} d \theta \\ &= \frac{1}{2 \pi} \left[ \theta - \frac{1}{4} \sin 4 \theta \right]_0^{\pi / 2} \\ &= \frac{1}{4} \end{aligned} \]

であるから、

\[ \begin{aligned} V[X] &= E[X^2] - E[X]^2 \\ &= \frac{1}{4} \end{aligned} \]

である。

(3)

\(E[X] = 0\) と同様に \(E[Y] = 0\) である。 また、 \(E[XY] = 0\) でもある。 よって、

\[ \begin{aligned} \text{Cov} (X, Y) = 0 \end{aligned} \]

である。

(4)

\(Y\) の確率密度関数 \(f_Y(y)\) は (1) と同様にして、

\[ \begin{aligned} f_Y(y) = \frac{2}{\pi} \sqrt{ 1 - y^2 } \ \ \ \ \ \ \ \ ( -1 \leq y \leq 1 ) \end{aligned} \]

である。 よって、

\[ \begin{aligned} f(x,y) \neq f_X(x) f_Y(y) \end{aligned} \]

であるから、 \(X,Y\) は独立でない。