大阪大学 情報科学研究科 情報工学 2020年度 アルゴリズムとプログラミング
Author
祭音Myyura
Description
図1に示すANSI-C準拠であるC言語のプログラムは、複数の整数のデータを、二分木を利用して昇順に整列して出力するプログラムである。 図1のプログラムでは、配列の添え字が二分木の節点番号に対応している。 ただし、二分木の根の節点番号を \(0\) とし、節点番号が \(i\) の節点に子がある場合、左の子の節点番号を \(2i+1\)、右の子の節点番号を \(2i+2\) とする。 また、配列に格納されたデータは、二分木の対応する節点のデータを示している。
整列するデータは図2に示すような形式のファイル data.txt で与えられ、1 行目には整列するデータの個数 \(n\ (n \ge 1)\)、2 行目以降の \(n\) 行には整列するデータの値が書かれている。 図3は、図2の data.txt を与えて図1のプログラムを実行した場合の、28 行目が実行される直前の配列 d に対応する二分木であり、丸が節点、丸の左側の数字が節点番号、丸の中の数字がデータの値、線分が枝を示している。 図1のプログラムに関する以下の各問に答えよ。
(1) 40 行目で呼び出されている関数 sort で実現されている整列アルゴリズムは、一般に何と呼ばれているか名称を答えよ。
(2) 図2の data.txt を与えてプログラムを実行した場合の、28 行目が実行された直後の配列 d に対応する二分木を図示せよ。ただし、図3にならい、丸で節点、丸の左側の数字が節点番号、丸の中の数字がデータの値、線分が枝を示すこと。
(3) 11 行目および 12 行目が実行されることより、節点番号が current の節点のデータとその子のデータの間に成立する関係を説明せよ。
(4) 関数 sort で実現されている整列アルゴリズムの最悪時間計算量を、整列するデータの個数 \(n\) 用いて理由と共にオーダー表記で示せ。
(5) 関数 sort において、28 行目の実行時に関数 swap が呼び出される回数を \(T(n)\) とする。\(n\) は整列するデータの個数である。28 行目を変更し、28 行目の for ループの繰り返し回数と \(T(n)\) の最大値をできる限り削減 (28 行目の実行に要する最悪時間計算量を削減)することを考える。以下の各小間に答えよ.
- (5-1) 下記の(あ)~(え)を埋めて変更後の 28 行目を完成させよ.
- (5-2) 変更後のプログラムにおける \(T(n)\) の \(n\) に関するオーダ表記を理由と共に示せ. \(\sum_{j=0}^{h} \frac{j}{2^j} = 2 - \frac{2 + h}{2^h}\) を用いてよい.
(6) 下線 (ア)~(エ)で示す条件式を必要に応じて変更し、データを降順 (descending order) に整列して出力することを考える。変更後のプログラムにおける下線(ア)~(エ)の条件式をそれぞれ答えよ。
図1
図2 data.txt
図3 二分木の例
Kai
(1)
Heap Sort
(2)
(3)
d[current] >= d[2 * current + 1], d[current] >= d[2 * current + 2]
(4)
The number of iterations in function uph(d, k) is bounded by the height of the tree, which is \(\lfloor \log_2 n \rfloor = O(\log n)\). Hence wrost case time complexity of line 28 is \(O(n \log n)\).
Similarly, the number of iterations in function downh(d, n, k) is also bounded by the height of the tree, hence worst case time complexity of line 29 is \(O(n \log n)\).
Therefore, the worst case time complexity of the sort is \(O(n \log n)\).
(5)
(5-1)
- (あ) n / 2
- (い) d
- (う) n
- (え) i
(5-2)
Note that
- \(\frac{1}{2}n\) elements (\(\text{last}\) level) are pushed down at most \(0\) steps (i.e. \(\frac{1}{2}n \times 0\) swaps)
- \(\frac{1}{4}n\) elements (\(\text{last} - 1\) level) are pushed down at most \(1\) steps (i.e. \(\frac{1}{4}n \times 1\) swaps)
- \(\frac{1}{8}n\) elements (\(\text{last} - 2\) level) are pushed down at most \(2\) steps (i.e. \(\frac{1}{8}n \times 2\) swaps)
- \(\cdots\)
Therefore,
(6)
- (ア) child + 1 < n
- (イ) d[child] > d[child + 1]
- (ウ) d[current] > d[child]
- (エ) d[parent] > d[current]