九州大学 理学府 物理学専攻 2020年度 物理学 [III]
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Kai
[A]
(1)
\(\hat{x}, \hat{p}\) の交換関係を使って、次のように計算できる:
\[
\begin{aligned}
\left[ \hat{a}, \hat{a}^\dagger \right]
&= \frac{m \omega}{2 \hbar} \cdot \frac{-2i}{m \omega}
\left[ \hat{x}, \hat{p} \right]
\\
&= 1
\\
\left[ \hat{N}, \hat{a} \right]
&= \left[ \hat{a}^\dagger \hat{a}, \hat{a} \right]
\\
&= \hat{a}^\dagger \left[ \hat{a}, \hat{a} \right]
+ \left[ \hat{a}^\dagger, \hat{a} \right] \hat{a}
\\
&= - \hat{a}
\\
\left[ \hat{N}, \hat{a}^\dagger \right]
&= \left[ \hat{a}^\dagger \hat{a}, \hat{a}^\dagger \right]
\\
&= \hat{a}^\dagger \left[ \hat{a}, \hat{a}^\dagger \right]
+ \left[ \hat{a}^\dagger, \hat{a}^\dagger \right] \hat{a}
\\
&= \hat{a}^\dagger
\end{aligned}
\]
(2)
(1) で得た交換関係を使って、次のように計算できる:
\[
\begin{aligned}
\hat{N} \hat{a}^\dagger | n \rangle
&= \left( \hat{a}^\dagger \hat{N} + \hat{a}^\dagger \right) | n \rangle
\\
&= \left( n + 1 \right) \hat{a}^\dagger | n \rangle
\\
\hat{N} \hat{a} | n \rangle
&= \left( \hat{a} \hat{N} - \hat{a} \right) | n \rangle
\\
&= \left( n - 1 \right) \hat{a} | n \rangle
\end{aligned}
\]
(3)
まず、
\[
\begin{aligned}
n
&= \langle n | \hat{N} | n \rangle
\\
&= \langle n | \hat{a}^\dagger \hat{a} | n \rangle
\end{aligned}
\]
であるが、 最後の式はベクトル \(\hat{a} | n \rangle\) のノルムの2乗であるから非負であり、 したがって、 \(n\) も非負である。
次に、整数でない非負の値 \(\nu\) について \(-1 \lt \nu - k \lt 0\) を満たす自然数 \(k\) が存在するので、 この \(\nu\) が \(\hat{N}\) の固有値であるとすると、 (2) の2番目の式より、 \(\hat{a}^k | \nu \rangle\) は \(\hat{N}\) の負の固有値 \(\nu - k\) であることがわかるが、 これは \(\hat{N}\) の固有値が非負であることと矛盾する。 したがって、 \(\hat{N}\) の固有値は非負の整数でなければならない。
最後に、非負の整数 \(n_1\) が \(\hat{N}\) の固有値だとすると、 (2) の1番目の式より、 \(n_1+1\) も \(\hat{N}\) の固有値であることがわかり、 \(0\) でない非負の整数 \(n_2\) が \(\hat{N}\) の固有値だとすると、 (2) の2番目の式より、 \(n_2-1\) も \(\hat{N}\) の固有値であることがわかるので、 結局、非負の整数はすべて \(\hat{N}\) の固有値であることがわかる。
(4)
\[
\begin{aligned}
\hat{x}
&= \sqrt{\frac{\hbar}{2 m \omega}} \left( \hat{a}^\dagger + \hat{a} \right)
\\
\hat{p}
&= i \sqrt{\frac{m \hbar \omega}{2}} \left( \hat{a}^\dagger - \hat{a} \right)
\\
\hat{x}^2
&= \frac{\hbar}{2 m \omega} \left( \hat{a}^\dagger \hat{a}^\dagger
+ \hat{a}^\dagger \hat{a} + \hat{a} \hat{a}^\dagger + \hat{a} \hat{a}
\right)
\\
&= \frac{\hbar}{2 m \omega} \left( 2 \hat{N} + 1
+ \hat{a}^\dagger \hat{a}^\dagger + \hat{a} \hat{a} \right)
\\
\hat{p}^2
&= - \frac{m \hbar \omega}{2} \left( \hat{a}^\dagger \hat{a}^\dagger
- \hat{a}^\dagger \hat{a} - \hat{a} \hat{a}^\dagger + \hat{a} \hat{a}
\right)
\\
&= \frac{m \hbar \omega}{2} \left( 2 \hat{N} + 1
- \hat{a}^\dagger \hat{a}^\dagger - \hat{a} \hat{a} \right)
\\
\langle n | \hat{x}^2 | n \rangle
&= \frac{\hbar}{2 m \omega} (2n+1)
\\
\langle n | \hat{p}^2 | n \rangle
&= \frac{m \hbar \omega}{2} (2n+1)
\\
\langle n | \hat{x}^2 | n \rangle
\langle n | \hat{p}^2 | n \rangle
&= \frac{\hbar^2}{4} (2n+1)^2
\end{aligned}
\]