京都大学 経営管理大学院 2023年度 数学 第1問
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以下の設問全てに答えなさい.計算過程も必ず示すこと.
- \(f(x) = (\sin x + 1)^2\) とする.この関数のマクローリン級数を 2 次の項まで示せ.
- \(f(x, y) = \frac{1}{xy}\) とする.この関数で与えられる曲面上の点 \((\alpha, \beta)\) における接平面の式を求めよ.
- 微分方程式 \(x \frac{dy}{dx} + y = x\log x\ \ (x>0)\) を解け.
- \(D = \{(x, y): x^2+y^2 \le 1, y\ge 0\}\) とする.\(\iint_D y\ dxdy\) を求めよ.
- \(\begin{bmatrix} 2 \\ -3 \\ 1\end{bmatrix}\), \(\begin{bmatrix} -1 \\ 1 \\ 2\end{bmatrix}\), \(\begin{bmatrix} 5 \\ -7 \\ 0\end{bmatrix}\) は 1 次独立であるか,1 次従属であるか答えよ.その理由もあわせて具体的に述べよ.
- \(\boldsymbol{a}_1=\begin{bmatrix} 2 \\ -1 \\ 4\end{bmatrix}\), \(\boldsymbol{a}_2=\begin{bmatrix} -3 \\ -2 \\ 1\end{bmatrix}\) とする.これらにもう一つのベクトル \(\boldsymbol{a}_3\) を加えたうえで,\(\boldsymbol{a}_1, \boldsymbol{a}_2, \boldsymbol{a}_3\) を利用して正規直交基底をつくれ.
- 対称行列 \(A = \begin{bmatrix} 1 & 0 & 1 \\ 0 & 1 & 1 \\ 1 & 1 & 0\end{bmatrix}\) を対角化するための直交行列を求めよ.また,その結果を用いて対称行列 \(A\) を対角化せよ.
Kai
1.
\[
\begin{aligned}
f(0) &= 1
\\
f'(x) &= 2 ( \sin x + 1 ) \cos x
\\
f'(0) &= 2
\\
f''(x) &= 2 \left[ \cos^2 x - ( \sin x + 1 ) \sin x \right]
\\
f''(0) &= 2
\end{aligned}
\]
なので、 \(f(x)\) の2次までのマクローリン展開は
\[
\begin{aligned}
1 + 2 x + x^2
\end{aligned}
\]
である。
2.
\[
\begin{aligned}
\frac{\partial f}{\partial x} = - \frac{1}{x^2 y}
, \ \
\frac{\partial f}{\partial y} = - \frac{1}{x y^2}
\end{aligned}
\]
なので、曲面 \(z=f(x,y)\) の点 \((\alpha, \beta, 1/(\alpha \beta))\) における接平面の方程式は
\[
\begin{aligned}
z - \frac{1}{\alpha \beta}
&= - \frac{1}{\alpha^2 \beta} (x - \alpha) - \frac{1}{\alpha \beta^2} (y - \beta)
\\
\therefore \ \
z &= - \frac{x}{\alpha^2 \beta} - \frac{y}{\alpha \beta^2} + \frac{3}{\alpha \beta}
\end{aligned}
\]
である。
3.
まず、
\[
\begin{aligned}
x \frac{dy}{dx} + y &= 0
\\
\therefore \ \
\frac{dy}{y} &= - \frac{dx}{x}
\end{aligned}
\]
の一般解は
\[
\begin{aligned}
y = \frac{A}{x}
\ \ \ \ \text{( $A$ は任意定数 )}
\end{aligned}
\]
である。
そこで、 \(A(x)\) を適当な関数として、 \(y = A(x) / x\) を与えられた微分方程式に代入して整理すると、
\[
\begin{aligned}
\frac{dA(x)}{dx} = x^2 \log x
\end{aligned}
\]
となるので、
\[
\begin{aligned}
A(x)
&= \int x^2 \log x \ dx
\\
&= \frac{1}{3} x^3 \log x - \frac{1}{3} \int x^2 \ dx
\\
&= \frac{1}{3} x^3 \log x - \frac{1}{9} x^3 + C
\ \ \ \ \text{( $C$ は任意定数 )}
\end{aligned}
\]
を得る。
したがって、与えられた微分方程式の一般解は
\[
\begin{aligned}
y
&= \frac{1}{3} x^2 \log x - \frac{1}{9} x^2 + \frac{C}{x}
\ \ \ \ \text{( $C$ は任意定数 )}
\end{aligned}
\]
であることがわかる。
4.
極座標 \(x = r \cos \theta , \ y = r \sin \theta\) を導入すると、 \(dxdy = r\ dr d \theta\) なので、
\[
\begin{aligned}
\iint_D y\ dx dy
&= \int_0^1 r^2 \ dr \int_0^\pi \sin \theta \ d \theta
\\
&= \left[ \frac{r^3}{3} \right]_0^1 \left[ - \cos \theta \right]_0^\pi
\\
&= \frac{2}{3}
\end{aligned}
\]
がわかる。