京都大学 情報学研究科 先端数理科学専攻 2021年8月実施 基礎科目1, 基礎科目2
Author
Miyake
Description
日本語版
1.
\(a\) を実数とする。\(3\) 行 \(3\) 列の実行列 \(X\) を
\[
X = \begin{pmatrix}
1 & 1 & 2 \\
-3 & 0 & 3 \\
-1 & 2 & a
\end{pmatrix}
\]
によって与える。次の各問に答えよ。
(1) \(X\) 正則行列にならないような \(a\) の値を求めよ。
(2) \(a = 4\) のとき、\(X\) の逆行列を求めよ。
2.
自然数 \(k\) に対して、\(E_k\) と \(O_k\) はそれぞれ \(k\) 行 \(k\) 列の単位行列と零行列を表わすものとする。また、\(k\)行 \(k\) 列の実行列
\[
A = \begin{pmatrix}
a_{11} & a_{12} & \cdots & a_{1k} \\
a_{21} & a_{22} & \cdots & a_{2k} \\
\vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\
a_{k1} & a_{k2} & \cdots & a_{kk}
\end{pmatrix}
\]
に対して、\(A\) のトレース \(\text{tr}(A)\) を
\[
\text{tr}(A) = \sum_{i = 1}^k a_{ii}
\]
によって与える。次の各問に答えよ。
(1) \(k\) 行 \(k\) 列の実行列 \(A\) は
\[
A^2 + A - 2E_k = O_k
\]
を満たしているとする。この時 \(A\) の固有値の取りうる値をすべて求めよ。
(2) \(k\)行 \(k\)列の実行列 \(B\)と \(C\)に対して、 \(\text{tr}(BC) = \text{tr}(CB)\) が成立することを示せ。
(3) \(2\) 行 \(2\) 列の実行列 \(D\) は
\[
D^2 + D - 2E_2 = O_2
\]
を満たしているとする。このとき \(\text{tr}(D)\) の取りうる値をすべて求めよ。
Kai
1.
(1)
\[
\begin{aligned}
\det X
&= 3a-21 = 3(a-7)
\end{aligned}
\]
なので、 \(X\) が正則にならないのは \(a=7\) のときである。
(2)
\(a=4\) のとき、
\[
\begin{aligned}
X
= \begin{pmatrix} 1 & 1 & 2 \\ -3 & 0 & 3 \\ -1 & 2 & 4 \end{pmatrix}
\end{aligned}
\]
である。
行基本変形あるいは余因子行列を使って計算すると、次がわかる:
\[
\begin{aligned}
X^{-1}
= \frac{1}{3} \begin{pmatrix} 2 & 0 & -1 \\ -3 & -2 & 3 \\ 2 & 1 & -1 \end{pmatrix}
\end{aligned}
\]