神戸大学 工学研究科 市民工学専攻 2021年8月実施 専門科目 数学
Author
Miyake
Description
1.
確率変数 \(X\) の確率密度関数 \(f(x)\) が次式で与えられているとき,以下の問に答えなさい. ただし,\(k\) は定数とする.
\[
f(x) = \left\{ \begin{aligned} &kx(5-x) &(0 \leq x \leq 5) \\ &0 &(0 < x, 5 < x) \end{aligned} \right.
\]
(1) \(k\) の値を求めなさい.
(2) \(X \geq 3\) となる確率を求めなさい.
(3) 期待値 \(E(X)\) と分散 \(V(X)\) を求めなさい.
2.
行列 \(\boldsymbol{A} = \begin{pmatrix} 0 & 2 & 0 \\ 1 & a & 1 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix}\) に関して,ある行列 \(\boldsymbol{P}\) を用い \(\boldsymbol{P}^{-1} \boldsymbol{A} \boldsymbol{P} = \begin{pmatrix} 1 & 1 & 0 \\ 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & -2 \end{pmatrix}\) のように計算されるとき,以下の問に答えなさい.
(1) \(a\) の値を求めなさい.
(2) 行列 \(\boldsymbol{P}\) を求めなさい.
3.
\(f(x, y) = \frac{x + 5y}{x^2 + 2y^2 + 1}\) とするとき,\(xy\) 平面上で,原点 \((0, 0)\) から点 \((1, 1)\) に至る線分 \(C: y=x\) に沿う \(f\) の線積分の値 \(\int_C f(x,y) ds\) を求めなさい.
4.
以下の常微分方程式の一般解を求めなさい.
\[
3x \frac{dy}{dx} = x + 5y
\]
Kai
1.
(1)
確率密度関数の規格化の条件より、
\[
\begin{aligned}
1
&= \int_{- \infty}^\infty f(x) dx
\\
&= k \int_0^5 x(5-x) dx
\\
&= k \left[ \frac{5}{2} x^2 - \frac{x^3}{3} \right]_0^5
\\
&= k \frac{125}{6}
\\
\therefore \ \
k &= \frac{6}{125}
\end{aligned}
\]
がわかる。
(2)
求める確率は、
\[
\begin{aligned}
P \left( X \geq 3 \right)
&= \int_3^\infty f(x) dx
\\
&= 1 - \int_{-\infty}^3 f(x) dx
\\
&= 1 - \frac{6}{125} \int_0^3 x(5-x) dx
\\
&= \frac{44}{125}
\end{aligned}
\]
である。
(3)
\[
\begin{aligned}
E \left( X \right)
&= \int_{- \infty}^\infty x f(x) dx
\\
&= \frac{6}{125} \int_0^5 x^2 (5-x) dx
\\
&= \frac{5}{2}
\\
E \left( X^2 \right)
&= \int_{- \infty}^\infty x^2 f(x) dx
\\
&= \frac{6}{125} \int_0^5 x^3 (5-x) dx
\\
&= \frac{15}{2}
\\
V \left( X \right)
&= E \left( X^2 \right) - E \left( X \right)^2
\\
&= \frac{5}{4}
\end{aligned}
\]
2.
(1)
\(\mathrm{tr} A = \mathrm{tr} (P^{-1}AP)\)が成り立つので、 \(a=-1\) がわかる。
(2)
\(3\) 次の単位行列を \(E\) とする。
\(A\) の固有値を \(\lambda\) とすると、
\[
\begin{aligned}
0
&= \det \left( A - \lambda E \right)
\\
&= -(\lambda-1)^2(\lambda+2)
\\
\therefore \ \
\lambda &= 1, -2
\end{aligned}
\]
がわかる。
固有値 \(\lambda=1\) に属する固有ベクトルを求めるため、
\[
\begin{aligned}
\left( A - E \right) \begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix} =
\begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 0 \end{pmatrix}
\end{aligned}
\]
とおくと、 \(x=2y,z=0\) がわかるので、規格化された固有ベクトルとして、
\[
\begin{aligned}
\boldsymbol{u} = \frac{1}{\sqrt{5}} \begin{pmatrix} 2 \\ 1 \\ 0 \end{pmatrix}
\end{aligned}
\]
を得る。
固有値 \(\lambda=1\) に属する一般化固有ベクトルを求めるため、
\[
\begin{aligned}
\left( A - E \right) \begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix}
= \boldsymbol{u}
\end{aligned}
\]
とおくと、 \(-x+2y=2/\sqrt{5}, z=3/\sqrt{5}\) がわかるので、
\[
\begin{aligned}
\boldsymbol{v} = \frac{1}{\sqrt{5}} \begin{pmatrix} -2 \\ 0 \\ 3 \end{pmatrix}
\end{aligned}
\]
とすればよい。
固有値 \(\lambda=-2\) に属する固有ベクトルを求めるため、
\[
\begin{aligned}
\left( A + 2E \right) \begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix} =
\begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 0 \end{pmatrix}
\end{aligned}
\]
とおくと、 \(x+y=0,z=0\) がわかるので、規格化された固有ベクトルとして、
\[
\begin{aligned}
\boldsymbol{w} = \frac{1}{\sqrt{2}} \begin{pmatrix} 1 \\ -1 \\ 0 \end{pmatrix}
\end{aligned}
\]
を得る。
以上より、求める \(P\) は
\[
\begin{aligned}
P
&= \begin{pmatrix} \boldsymbol{u} & \boldsymbol{v} & \boldsymbol{w} \end{pmatrix}
\\
&= \begin{pmatrix}
\frac{2}{\sqrt{5}} & -\frac{2}{\sqrt{5}} & \frac{1}{\sqrt{2}} \\
\frac{1}{\sqrt{5}} & 0 & -\frac{1}{\sqrt{2}} \\
0 & \frac{3}{\sqrt{5}} & 0
\end{pmatrix}
\end{aligned}
\]
である。
3.
\[
\begin{aligned}
\int_C f(x,y) ds
&= \int_0^1 f(x,x) dx
\\
&= \int_0^1 \frac{6x}{3x^2+1} dx
\\
&= \left[ \log \left( 3x^2+1 \right) \right]_0^1
\\
&= 2 \log 2
\end{aligned}
\]
4.
まず、 \(3xdy/dx=5y\) を考えると、
\[
\begin{aligned}
\frac{dy}{y} = \frac{5}{3x}
\end{aligned}
\]
なので、積分定数を \(A\) として、一般解は \(y = A x^{5/3}\) である。
そこで、 \(B(x)\) を適当な関数として、
\(y = B(x) x^{5/3}\) を与えられた微分方程式に代入すると、
\[
\begin{aligned}
\frac{dB(x)}{dx} &= \frac{1}{3} x^{-5/3}
\\
\therefore \ \
B(x) &= - \frac{1}{2} x^{-2/3} + C
\ \ \ \ \text{( $C$ は積分定数 )}
\end{aligned}
\]
を得るので、求める一般解は、
\[
\begin{aligned}
y(x)
&= \left( - \frac{1}{2} x^{-2/3} + C \right) x^{5/3}
\\
&= - \frac{x}{2} + C x^{5/3}
\ \ \ \ \text{( $C$ は積分定数 )}
\end{aligned}
\]
であることがわかる。