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神戸大学 工学研究科 電気電子工学専攻 2021年8月実施 数学 1.

Author

Miyake

Description

次の各問いに答えよ。

(1) 関数 \(f(x,y)=x^3-3xy^2+2y^3+4\) を考える。

  • (1-a) 偏導関数 \(f_x(x, y)\)\(f_y(x,y)\) を求めよ。
  • (1-b) \(f(x,y)=0\) によって \(y\)\(x\) の陰関数として定めるとき、\(\frac{dy}{dx}=0\) を満たす点 \((x,y)\) を求めよ。

(2) \(a\) を実定数とし、行列 \(A=\begin{pmatrix} 1 & 2 & a \\ 2 & 1 & a^2 \\ 0 & 0 & 3 \end{pmatrix}\) を考える。

  • (2-a) 行列 \(A\) の固有値を求めよ。
  • (2-b) 行列 \(A\) が対角化可能となる \(a\) の値を全て求めよ。

Kai

(1)

(1-a)

\[ \begin{aligned} f_x(x,y) &= 3x^2 - 3y^2 \\ f_y(x,y) &= -6xy + 6y^2 \end{aligned} \]

(1-b)

\(f(x,y)=0\) の両辺を \(x\) で微分して整理すると、

\[ \begin{aligned} (x-y) \left\{ (x+y) - 2y \frac{dy}{dx} \right\} = 0 \end{aligned} \]

となるが、 \(f(x,x) = 4 \neq 0\) なので \(x \neq y\) と考えてよく、

\[ \begin{aligned} (x+y) - 2y \frac{dy}{dx} = 0 \end{aligned} \]

を得るので、 \(dy/dx=0\) が成り立つためには \(x+y=0\) が必要であることがわかる。

さらに、

\[ \begin{aligned} f(x, -x) &= -4x^3 + 4 \\ &= -4(x-1)(x^2+x+1) \end{aligned} \]

であるので、まとめると、 \(f(x,y)=0, dy/dx=0\) が成り立つのは \((x,y)=(1,-1)\) のときであることがわかる。

(2)

(2-a)

\(A\) の固有値を \(\lambda\) とすると、

\[ \begin{aligned} 0 &= \det \begin{pmatrix} 1 - \lambda & 2 & a \\ 2 & 1 - \lambda & a^2 \\ 0 & 0 & 3 - \lambda \end{pmatrix} \\ &= - (\lambda+1)(\lambda-3)^2 \\ \therefore \ \ \lambda &= -1, 3 \end{aligned} \]

がわかる。

(2-b)

\(A\) が対角化可能であるのは、 固有値 \(3\) に属する1次独立な固有ベクトルが2つ存在する場合である。 固有値 \(3\) に属する固有ベクトルを求めるため、

\[ \begin{aligned} \begin{pmatrix} -2 & 2 & a \\ 2 & -2 & a^2 \\ 0 & 0 & 0 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 0 \end{pmatrix} \end{aligned} \]

とおくと、2つの条件式

\[ \begin{aligned} -2x+2y+az &= 0, \\ 2x-2y+a^2z &= 0 \end{aligned} \]

を得るが、両辺足して整理すると、

\[ \begin{aligned} a(a+1)z = 0 \end{aligned} \]

となる。 そこで (i) \(a=0\) (ii) \(a=-1\) (iii) \(a \neq 0, -1\) の3通りに場合分けして考える。

(i) \(a=0\) のとき、 3つの未知数 \(x,y,z\) に対して条件式は1つ \(x=y\) しかないので、 固有値 \(3\) に属する2つの1次独立な固有ベクトルが存在する。 例えば、

\[ \begin{aligned} \begin{pmatrix} 1 \\ 1 \\ 0 \end{pmatrix} , \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 1 \end{pmatrix} \end{aligned} \]

である。

(ii) \(a=-1\) のとき、 3つの未知数 \(x,y,z\) に対して条件式は1つ \(2x-2y+z=0\) しかないので、 固有値 \(3\) に属する2つの1次独立な固有ベクトルが存在する。 例えば、

\[ \begin{aligned} \begin{pmatrix} 1 \\ 1 \\ 0 \end{pmatrix} , \begin{pmatrix} 1 \\ 0 \\ -2 \end{pmatrix} \end{aligned} \]

である。

(iii) \(a \neq 0, -1\) のとき、 3つの未知数 \(x,y,z\) に対して条件式は2つ \(x=y,z=0\) あるので、 固有値 \(3\) に属する2つの1次独立な固有ベクトルは存在しない。 固有ベクトルは、例えば、

\[ \begin{aligned} \begin{pmatrix} 1 \\ 1 \\ 0 \end{pmatrix} \end{aligned} \]

である。

以上より、 \(A\) が対角化可能となる \(a\) の値は \(a=0,-1\) である。