神戸大学 経済学研究科 2021年8月実施 第I期 統計学 第2問
Author
Description
確率変数 \(X\) の密度関数を \(f(x; \theta)\) とし、パラメータ \(\theta\) は \(0\) か \(1\) のいずれかの値しかをとらないものとする。 また、\(f(x; 0)\) と \(f(x; 1)\) はそれぞれ、以下のように与えられるものとする。
\[
f(x; 0) =
\begin{cases}
1 & 0 \leq x \leq 1 \\
0 & \text{その他}
\end{cases}
\]
\[
f(x; 1) =
\begin{cases}
ax & 0 \leq x \leq 1 \\
0 & \text{その他}
\end{cases}
\]
(1) \(a\) の値を求めなさい。(15点)
(2) \(\theta = 0\) のとき、\(X\) の期待値と分散を求めなさい。(20点)
(3) \(\theta = 0\) のとき、\(X\) の積率母関数を求めなさい。(15点)
(4) \(f(x; \theta)\) からの無作為標本を \(X_1, X_2, \ldots, X_n\) とする。 \(\theta\) の最尤推定量を求めなさい。(20点)
Kai
(1)
確率密度関数の規格化の条件
\[
\begin{aligned}
1
&= \int_{- \infty}^\infty f(x;1) dx
= a \int_0^1 x \ dx
= \frac{a}{2}
\end{aligned}
\]
から \(a = 2\) がわかる。
(2)
\(\theta=0\) のとき、 \(X\) の期待値 \(E(X)\) 、 \(X^2\) の期待値 \(E(X^2)\) 、 \(X\) の分散 \(V(X)\) は、それぞれ次のように計算できる:
\[
\begin{aligned}
E \left( X \right) &= \int_0^1 x \ dx = \frac{1}{2}
\\
E \left( X^2 \right) &= \int_0^1 x^2 \ dx = \frac{1}{3}
\\
V \left( X \right)
&= E \left( X^2 \right) - E \left( X \right)^2
= \frac{1}{12}
\end{aligned}
\]
(3)
求める積率母関数は、次のように計算できる:
\[
\begin{aligned}
M(t)
&= \int_0^1 e^{tx} \ dx
\\
&= \frac{1}{t} \left[ e^{tx} \right]_0^1
\\
&= \frac{e^t - 1}{t}
\end{aligned}
\]
(4)
尤度
\[
\begin{aligned}
l(\theta) = f(x_1;\theta) f(x_2;\theta) \cdots f(x_n;\theta)
\end{aligned}
\]
は、今の場合、
\[
\begin{aligned}
l(0) &= 1
\\
l(1) &= 2^n x_1 x_2 \cdots x_n
\end{aligned}
\]
となるので、 \(\theta\) の最尤推定量は次のように求まる:
\[
\begin{aligned}
\hat{\theta}
= \begin{cases}
0 &, X_1 X_2 \cdots X_n \lt 1/2^n \\
1 &, X_1 X_2 \cdots X_n \gt 1/2^n
\end{cases}
\end{aligned}
\]