神戸大学 経済学研究科 2021年8月実施 第I期 統計学 第1問
Author
Description
以下の問いに答えなさい。
(1) 最初に 6 の目が出るまでサイコロを投げるとする。平均で何回投げる必要があるか求めなさい。(15点)
(2) 事象 \(A\) と \(B\) が \(P(A) = \frac{1}{2}\) と \(P(B^C) = \frac{1}{4}\) を満たすとする。\(A\) と \(B\) は排反になりうるかどうか説明しなさい。(15点)
(3) \(X_1, X_2, \ldots, X_n\) は独立同一の分布に従う確率変数で、その累積分布関数を \(F_X(x)\) とする。ある定数 \(c\) について、確率変数 \(Y_1, \ldots, Y_n\) を
\[
Y_i =
\begin{cases}
1 & X_i > c \text{ のとき} \\
0 & X_i \leq c \text{ のとき}
\end{cases}
\]
によって定義する。 \(\sum_{i=1}^n Y_i\) の確率関数を求めなさい。(20点)
Kai
(1)
\(k \ (=1, 2, \cdots)\) 回目に初めて 6 の目が出る確率は
\[
\begin{aligned}
\left( \frac{5}{6} \right)^{k-1} \cdot \frac{1}{6}
\end{aligned}
\]
であるから、求める平均は
\[
\begin{aligned}
\frac{1}{6} \sum_{k=1}^\infty k \left( \frac{5}{6} \right)^{k-1}
&= \frac{1}{6} \frac{1}{(1 - 5/6)^2}
\\
&= 6
\end{aligned}
\]
である。
(2)
\(A\), \(B\) は排反になりえない。 なぜなら、排反のとき \(P(A \cup B) = P(A) + P(B)\) が成り立つが、 今の場合 \(P(A)+P(B)=1/2+3/4=5/4 \gt 1\) となるからである。
(3)
\(Y_i =0,1\) となる確率はそれぞれ
\[
\begin{aligned}
P \left( Y_i = 0 \right) &= F_X(c)
\\
P \left( Y_i = 1 \right) &= 1 - F_X(c)
\end{aligned}
\]
であるから、 \(k = 0, 1, 2, \cdots, n\) として、求める確率関数は
\[
\begin{aligned}
P \left( \sum_{i=1}^n Y_i = k \right)
&= {}_n C_k \ F_X(c)^{n-k} \left( 1 - F_X(c) \right)^k
\end{aligned}
\]
である。