北海道大学 理学院 物性物理学専攻・宇宙理学専攻 2021年度 問題 V
Author
Miyake
Description
Kai
問1
1-1.
掃き出し法により、次のように求められる:
\[
\begin{aligned}
&
\begin{pmatrix}
1 & 3 & 2 & 1 & 0 & 0 \\
2 & 5 & 4 & 0 & 1 & 0 \\
3 & 6 & 5 & 0 & 0 & 1
\end{pmatrix}
\\
&
\begin{pmatrix}
1 & 3 & 2 & 1 & 0 & 0 \\
0 & -1 & 0 & -2 & 1 & 0 \\
0 & -3 & -1 & -3 & 0 & 1
\end{pmatrix}
\\
&
\begin{pmatrix}
1 & 0 & 2 & -5 & 3 & 0 \\
0 & 1 & 0 & 2 & -1 & 0 \\
0 & 0 & -1 & 3 & -3 & 1
\end{pmatrix}
\\
&
\begin{pmatrix}
1 & 0 & 0 & 1 & -3 & 2 \\
0 & 1 & 0 & 2 & -1 & 4 \\
0 & 0 & 1 & -3 & 3 & -1
\end{pmatrix}
\end{aligned}
\]
\[
\begin{aligned}
\therefore \ \
\begin{pmatrix}
1 & 3 & 2 \\
2 & 5 & 4 \\
3 & 6 & 5
\end{pmatrix}^{-1}
=
\begin{pmatrix}
1 & -3 & 2 \\
2 & -1 & 4 \\
-3 & 3 & -1
\end{pmatrix}
\end{aligned}
\]
[参考]
千葉逸人「工学部で学ぶ数学」
1-2.
与えられた微分方程式の右辺を \(0\) とおいた式に
\(y=e^{\lambda x}\) ( \(\lambda\) は \(x\) によらない定数)
を代入すると \(\lambda = \pm \sqrt{3}\) を得るので、
この微分方程式の一般解は、積分定数を \(A,B\) として、
\[
\begin{aligned}
y = A e^{\sqrt{3} x} + B e^{- \sqrt{3} x}
\end{aligned}
\]
である。
また、与えられた微分方程式に \(y = C \sin x + D \cos x\)
( \(C,D\) は \(x\) によらない定数)を代入すると
\(C=1,D=0\) を得るので \(y = \sin x\) が特殊解であることがわかる。
以上より、与えられた微分方程式の一般解は、積分定数を \(A,B\) として、
\[
\begin{aligned}
y = A e^{\sqrt{3} x} + B e^{- \sqrt{3} x} + \sin x
\end{aligned}
\]
であることがわかる。
1-3.
問2
まず、 \(r^2 = x^2 + y^2 + z^2\) より、
\[
\begin{aligned}
\frac{\partial r}{\partial x} = \frac{x}{r}
, \ \
\frac{\partial r}{\partial y} = \frac{y}{r}
, \ \
\frac{\partial r}{\partial z} = \frac{z}{r}
\end{aligned}
\]
であり、また、 \(r\) の関数 \(f(r)\) について
\[
\begin{aligned}
\frac{\partial f}{\partial x} = \frac{x}{r} \frac{df}{dr}
, \ \
\frac{\partial f}{\partial y} = \frac{y}{r} \frac{df}{dr}
, \ \
\frac{\partial f}{\partial z} = \frac{z}{r} \frac{df}{dr}
\end{aligned}
\]
である。
2-1.
\[
\begin{aligned}
\frac{\partial}{\partial x} \left( f(r) x \right)
= \frac{x^2}{r} \frac{df}{dr} + f
\end{aligned}
\]
などが成り立つから、与えられた式が成り立つことがわかる。
2-2.
\[
\begin{aligned}
\frac{\partial}{\partial x} \left( f(r) y \right)
= \frac{xy}{r} \frac{df}{dr}
\end{aligned}
\]
などが成り立つから、与えられた式が成り立つことがわかる。
問3
3-1.
まず、 \(m = 1, 2, \cdots\) について、
\[
\begin{aligned}
\int_{- \pi}^\pi \cos mx \ dx = 0
, \ \
\int_{- \pi}^\pi \sin mx \ dx = 0
\end{aligned}
\]
が成り立つから、与えられたフーリエ級数展開の式の両辺を
\(x\) について \(- \pi\) から \(\pi\) まで積分することで
\[
\begin{aligned}
a_0 = \frac{1}{\pi} \int_{- \pi}^\pi f(x) dx
\end{aligned}
\]
がわかる。
次に、 \(m,n = 1, 2, \cdots\) について、
\[
\begin{aligned}
\int_{- \pi}^\pi \cos mx \cos nx \ dx
&= \frac{1}{2} \int_{- \pi}^\pi \left[ \cos (m+n)x + \cos (m-n)x \right] dx
= \pi \delta_{m,n}
\\
\int_{- \pi}^\pi \sin mx \sin nx \ dx
&= \frac{1}{2} \int_{- \pi}^\pi \left[ - \cos (m+n)x + \cos (m-n)x \right] dx
= \pi \delta_{m,n}
\\
\int_{- \pi}^\pi \sin mx \cos nx \ dx
&= \frac{1}{2} \int_{- \pi}^\pi \left[ \sin (m+n)x + \sin (m-n)x \right] dx
= 0
\end{aligned}
\]
が成り立つ( \(\delta_{m,n}\) はクロネッカーのデルタ)から、
\(n = 1, 2, \cdots\) について、与えられたフーリエ級数展開の式の両辺に、
\(\cos nx\) をかけて \(x\) について \(- \pi\) から \(\pi\) まで積分することで
\[
\begin{aligned}
a_n = \frac{1}{\pi} \int_{- \pi}^\pi f(x) \cos nx \ dx
\end{aligned}
\]
がわかり、
\(\sin nx\) をかけて \(x\) について \(- \pi\) から \(\pi\) まで積分することで
\[
\begin{aligned}
b_n = \frac{1}{\pi} \int_{- \pi}^\pi f(x) \sin nx \ dx
\end{aligned}
\]
がわかる。
以上より、題意が示された。
3-2.
まず、
\[
\begin{aligned}
a_0 &= \frac{1}{\pi} \int_0^\pi x \ dx = \frac{\pi}{2}
\end{aligned}
\]
であり、次に、 \(m = 1, 2, \cdots\) について
\[
\begin{aligned}
a_m
&= \frac{1}{\pi} \int_0^\pi x \cos mx \ dx
\\
&= \frac{1}{m \pi} \left[ x \sin mx \right]_0^\pi
- \frac{1}{m \pi} \int_0^\pi \sin mx \ dx
\\
&= \frac{1}{m^2 \pi} \left[ \cos mx \right]_0^\pi
\\
&= \begin{cases}
- \frac{2}{m^2 \pi} & (m = 1, 3, \cdots) \\
0 & (m = 2, 4, \cdots) \\
\end{cases}
\\
b_m
&= \frac{1}{\pi} \int_0^\pi x \sin mx \ dx
\\
&= - \frac{1}{m \pi} \left[ x \cos mx \right]_0^\pi
+ \frac{1}{m \pi} \int_0^\pi \cos mx \ dx
\\
&= \frac{(-1)^{m+1}}{m} + \frac{1}{m^2 \pi} \left[ \sin mx \right]_0^\pi
\\
&= \frac{(-1)^{m+1}}{m}
\end{aligned}
\]
である。
よって、与えられた関数のフーリエ級数展開は、次の通りである:
\[
\begin{aligned}
f(x)
&= \frac{\pi}{4}
- \frac{2}{\pi} \sum_{k=0}^\infty \frac{1}{(2k+1)^2} \cos ((2k+1) x)
+ \sum_{m=1}^\infty \frac{(-1)^{m+1}}{m} \sin mx
\end{aligned}
\]
3-3.
3-2. で得たフーリエ級数展開の式において \(x=0\) とすると
\[
\begin{aligned}
0
= \frac{\pi}{4}
- \frac{2}{\pi} \left( 1 + \frac{1}{3^2} + \frac{1}{5^2} + \cdots \right)
\end{aligned}
\]
となるので、これを整理して題意の式を得る。