電気通信大学 情報理工学研究科 情報・ネットワーク工学専攻 2022年8月実施 必須問題 線形代数 [1]
Author
Miyake
Description
Kai
(1)
\(A\) の固有値を \(\lambda\) とすると、
\[
\begin{aligned}
0
&= \det \begin{pmatrix}
-1-\lambda & 1+a & -2 \\ 0 & 1-\lambda & 0 \\ 4 & 1-a & 5-\lambda \end{pmatrix}
\\
&= (1-\lambda) \det \begin{pmatrix} -1-\lambda & -2 \\ 4 & 5-\lambda \end{pmatrix}
\\
&= (1-\lambda) (\lambda^2 - 4 \lambda + 3)
\\
&= -(\lambda-1)^2 (\lambda-3)
\\
\therefore \ \
\lambda &= 1, 3
\end{aligned}
\]
を得る。
(2)
\(A\) の最大の固有値 \(\lambda_1 = 3\) に対する固有ベクトルを求めるため、
\[
\begin{aligned}
\begin{pmatrix} -4 & 1+a & -2 \\ 0 & -2 & 0 \\ 4 & 1-a & 2 \end{pmatrix}
\begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix}
= \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 0 \end{pmatrix}
\end{aligned}
\]
とおくと、 \(y=0, 2x+z=0\) を得る。
したがって、 \(\lambda_1=3\) に対する \(A\) の固有空間は1次元であり、その基底は、例えば、
\[
\begin{aligned}
\begin{pmatrix} 1 \\ 0 \\ -2 \end{pmatrix}
\end{aligned}
\]
である。
(3)
\(\lambda_2 = 1\) であり、
\[
\begin{aligned}
(\lambda_2 E - A)^2
&= 4 \begin{pmatrix} -1 & -1 & -1 \\ 0 & 0 & 0 \\ 2 & 2 & 2 \end{pmatrix}
\end{aligned}
\]
である。
この行列のランクは \(1\) なので、
\(f\) の核の次元は \(2\) であり、 \(f\) の像の次元は \(1\) であることがわかる。
(4)
\(A\) が対角化可能であるための条件は、固有値 \(\lambda_2=1\) の固有空間が2次元であることである。
固有値 \(\lambda_2 = 1\) に対する固有ベクトルを求めるため、
\[
\begin{aligned}
\begin{pmatrix} -2 & 1+a & -2 \\ 0 & 0 & 0 \\ 4 & 1-a & 4 \end{pmatrix}
\begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix}
= \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 0 \end{pmatrix}
\end{aligned}
\]
とおくと、
\[
\begin{align}
-2x+(1+a)y-2z = 0 \tag{a} \label{a}
\\
4x+(1-a)y+4z = 0 \tag{b} \label{b}
\end{align}
\]
を得る。
(\(\ref{a}\)) \(\times 2\) と (\(\ref{b}\)) の両辺を足すと、
\[
\begin{align}
(a+3)y = 0 \tag{c} \label{c}
\end{align}
\]
を得る。
(i) \(a \ne -3\) のとき、 (\(\ref{a}\)), (\(\ref{b}\)), (\(\ref{c}\)) より \(y=0, x+z=0\) となるので、
固有値 \(\lambda_2=1\) に対する固有空間は1次元であり、 \(A\) は対角化可能でない。
(ii) \(a = -3\) のとき、 (\(\ref{a}\)), (\(\ref{b}\)), (\(\ref{c}\)) より \(x+y+z=0\) となるので、
固有値 \(\lambda_2=1\) に対する固有空間は2次元であり、 \(A\) は対角化可能である。
(i), (ii) より、 \(A\) が対角化可能であるための条件は \(a=-3\) である。
(5)
\(a=-3\) のとき、
\[
\begin{aligned}
P &= \begin{pmatrix} 1 & 1 & 1 \\ -1 & 0 & 0 \\ 0 & -1 & -2 \end{pmatrix}
\end{aligned}
\]
とおくと、
\[
\begin{aligned}
P^{-1} &= \begin{pmatrix} 0 & -1 & 0 \\ 2 & 2 & 1 \\ -1 & -1 & -1 \end{pmatrix}
\\
P^{-1} A P &= \begin{pmatrix} 1 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 3 \end{pmatrix}
\end{aligned}
\]
であり、
\[
\begin{aligned}
A^n
&= P \begin{pmatrix} 1 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 3 \end{pmatrix}^n P^{-1}
\\
&= P \begin{pmatrix} 1 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 3^n \end{pmatrix} P^{-1}
\\
&= \begin{pmatrix} 2-3^n & 1-3^n & 1-3^n \\ 0 & 1 & 0 \\
2 \cdot 3^n - 2 & 2 \cdot 3^n - 2 & 2 \cdot 3^n - 1 \end{pmatrix}
\end{aligned}
\]
を得る。