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東京工業大学 情報理工学院 数理・計算科学系 2019年度 午前 問3

Author

peter8rabit

Description

区間 \([0, 1]\) 上の実数値連続関数全体のなす線形空間 \(C[0, 1]\) に対して,ノルム

\[ \|x\| = \max \{|x(t)|; 0 \leq t \leq 1\} \]

を導入したノルム空間を \(X\) とおき,\(X\) の部分空間 \(Y\)

\[ Y = \{x \in C^1[0,1]; x(0)=0\} \]

と定める. ただし \(C^1[0,1]\)\([0, 1]\) 上の \(1\) 階連続的微分可能な実数値関数全体を表す. また作用素 \(T\)

\[ T: \quad x \rightarrow Tx = \frac{dx}{dt} \]

で定める.このとき,以下の問いに答えよ.

(1) \(T\)\(Y\) から \(X\) への上への \(1\)\(1\) の線形作用素となることを示せ.

(2) 逆作用素 \(T^{−1}\)\(X\) から \(Y\) への有界線形作用素であることを示せ.

(3) \(T\)\(Y\) から \(X\) への有界線形作用素にならないことを示せ.

Kai

(1)

(単射)

\(\forall x_1, x_2 \in Y\) に対して、\(Tx_1 = Tx_2\) とすると、\(\frac{dx_1}{dt}=\frac{dx_2}{dt}\) より、

\[ x_1(t) = x_2(t) + \text{constant} \]

\(x_1(0) = x_2(0) = 0\) より、\(\text{constant} = 0\)。 よって、\(x_1 \equiv x_2\)

(全射)

\(\forall x \in X\) に対して、\(x\) は積分可能なので、\(\exists y(t) \in C[0,1], y(t) = \int_0^t x(t) dt\)

この関数は、\(y(0)=0\) を満たすので、\(y \in T\)

(2)

線型性は積分の線型性から従う。

\(\forall x \in X\) に対して、

\[ \|T^{-1}x\| = \max_{0 \leq t \leq 1} \left \lvert \int_0^t x(s) ds \right \rvert \leq \max \int_0^t |x(s)|ds \leq \max \|x\|t \leq \|x\| \]

より有界。

(3)

\[ f_n(x) = \sin (n\pi x) \]
\[ f'(x) = (n\pi) \cos (n\pi x) \]
\[ \| f_n \| = 1 \]
\[ |Tf_n(x)| = |f'_n(x)| = |n\pi \cos (n\pi x)| \rightarrow \infty \ \ (n \rightarrow \infty) \]

より、\(\forall k > 0\) に対して、\(\exists N \in \mathbb{N}\)

\[ |Tf_N(x)| > k \| f_N \| \]