山口大学 人間社会科学研究科 経済学・経営学専攻 経済社会政策コース 令和8年度第2回 外国人留学生選抜 専門科目(観光論)
Author
祭音Myyura (co-authored with GPT 5.6 SOL)
Description
国籍・地域別の訪日一般客一人当たり旅行支出と、その費目別内訳を示す表を分析する。日本政府観光局の担当職員であると仮定し、実施期間を1年以内、使用可能な予算を5,000万円以内として、対象市場を絞った具体的な訪日旅行プロモーションを作成する問題である。
题目描述
题目给出不同国家和地区访日普通游客的人均旅行支出及住宿、餐饮、交通、娱乐服务和购物等分类数据。考生须假设自己是日本政府观光局职员,在一年以内、预算不超过5000万日元的条件下,选择目标客群并制定具体推广方案。
题目所附数据
表 出身地別一般客1人当たりの旅行支出(単位:円/人)
| 国籍・地域 | 旅行支出総額 | 宿泊費 | 飲食費 | 交通費 | 娯楽等サービス費 | 買物代 | その他 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 全国籍・地域 | 226,851 | 76,743 | 48,907 | 24,398 | 10,706 | 66,046 | 50 |
| 韓国 | 109,103 | 34,588 | 29,600 | 9,253 | 6,797 | 28,853 | 12 |
| 台湾 | 187,512 | 53,784 | 39,074 | 18,066 | 8,006 | 68,554 | 28 |
| 香港 | 248,882 | 74,018 | 53,767 | 22,856 | 8,896 | 88,905 | 441 |
| 中国 | 276,604 | 73,143 | 49,728 | 21,995 | 12,378 | 119,351 | 10 |
| タイ | 197,305 | 60,734 | 45,362 | 22,236 | 6,541 | 62,322 | 109 |
| シンガポール | 291,047 | 109,422 | 65,855 | 29,906 | 10,258 | 75,592 | 14 |
| マレーシア | 216,437 | 74,159 | 45,649 | 27,279 | 12,487 | 56,849 | 14 |
| インドネシア | 215,034 | 73,871 | 43,263 | 29,679 | 10,090 | 58,086 | 46 |
| フィリピン | 185,518 | 57,627 | 37,889 | 18,977 | 9,279 | 61,747 | 0 |
| ベトナム | 221,401 | 73,637 | 50,967 | 21,930 | 9,685 | 65,181 | 1 |
| インド | 241,590 | 104,283 | 46,897 | 34,608 | 8,738 | 47,051 | 13 |
| 英国 | 381,318 | 169,708 | 82,359 | 53,886 | 19,284 | 56,046 | 35 |
| ドイツ | 333,027 | 151,557 | 75,596 | 49,681 | 11,779 | 44,415 | 1 |
| フランス | 360,952 | 148,420 | 78,897 | 55,957 | 14,529 | 63,123 | 26 |
| イタリア | 358,471 | 146,699 | 84,837 | 65,263 | 13,911 | 47,760 | 0 |
| スペイン | 368,428 | 147,328 | 82,006 | 68,199 | 16,577 | 54,318 | 0 |
| ロシア | 327,325 | 122,328 | 75,522 | 44,120 | 14,869 | 70,487 | 0 |
| 米国 | 331,976 | 142,256 | 72,435 | 42,384 | 16,560 | 58,336 | 5 |
| カナダ | 306,272 | 125,112 | 69,351 | 42,764 | 14,504 | 54,539 | 2 |
| オーストラリア | 380,492 | 162,803 | 81,221 | 49,598 | 29,704 | 57,127 | 40 |
| その他 | 354,834 | 146,116 | 78,781 | 51,535 | 14,905 | 63,486 | 10 |
出典:観光庁(2025)『訪日外国人の消費動向 2024年 年次報告書』16頁、図表2-7。数値は山口大学の試験問題に掲載された表とも照合済みである。
Kai
1. データ分析と対象市場
本計画では、イタリア在住の30歳から59歳の中高所得個人旅行者のうち、日本食、酒、工芸、地域文化への関心が高く、10日前後以上の旅行を検討する層を対象とする。
表によれば、イタリアからの一般客一人当たり旅行支出は35万8,471円で、全体平均22万6,851円の約1.58倍である。特に飲食費は8万4,837円で、全体平均4万8,907円の約1.73倍となり、表に掲載された市場の中でも高い。これに対して買物代は4万7,760円である。したがって、画一的な買物広告よりも、地域固有の食、酒、生産者との交流を中心に据えた方が、既存の選好に適合し、地方での高付加価値消費を生みやすい。
また、予算は5,000万円に限られる。多数の国へ同じ広告を配信するよりも、食文化への関心が高い一市場を選び、予約可能な商品と販売経路を整えた方が、広告から実際の地方宿泊・消費まで追跡できる。
2. プロモーションの概要
名称を**「Setouchi Slow Food & Craft Journey」**とし、関西から中国地方、山口、北部九州へ移動する8泊から10泊の周遊旅行を訴求する。東京・京都・大阪だけに宿泊を集中させず、岡山・倉敷、広島、萩、長門湯本、下関などへ滞在を広げることも政策目的とする。
中核商品には、酒蔵とワイナリーの見学、地魚・ふぐ・瀬戸内料理、朝市、陶芸・萩焼、料理人や生産者との少人数体験、旅館・温泉宿への宿泊を組み込む。大阪又は福岡から入出国できる一方向型ルートとし、鉄道、バス、手荷物配送、体験予約を一つのイタリア語ページで購入できるようにする。
3. 一年間の実施工程
第1・第2月:調査と連携形成
イタリア市場の検索語、旅行予約時期、価格感度を調べ、現地旅行会社、航空会社、OTA、瀬戸内・山口のDMO、宿泊・飲食事業者を選定する。10件以上の予約可能な旅行商品と、受入可能人数、取消条件、食物アレルギー対応を確定する。
第3・第4月:商品化とコンテンツ制作
イタリア語の特設ページと予約導線を作り、料理人、生産者、工芸家、地域住民を主役にした短編動画、モデル日程、総費用の目安、交通案内を制作する。単なる景観広告ではなく、「何を食べ、誰に会い、何泊し、どこで予約するか」を示す。
第5月から第10月:集中的な販売促進
イタリアの料理・旅行メディア、検索広告、SNS動画、リターゲティング広告を運用する。イタリア人料理人又は旅行制作者を招いたファムトリップを行い、編集方針を事前に契約せず、広告である場合は明示する。ローマとミラノでは、旅行会社向け商談と一般消費者向けの日本酒・地域料理イベントを併催する。
航空会社・OTA・専門旅行会社とは、広告閲覧者専用の予約コードを付けた共同販売を行う。単なる航空券割引ではなく、地方で3泊以上する商品、又は二つ以上の地域体験を予約する商品を共同広告の対象とする。
第11・第12月:再訴求と評価
ページ閲覧後に未予約の層へ再訴求し、予約者には次回訪問と口コミ投稿を促す。予約コード、OTAデータ、地域事業者の販売記録、旅行者アンケートを統合し、達成度と費用対効果を評価する。
4. 予算配分
| 項目 | 金額 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 市場調査・事業者連携 | 400万円 | セグメント調査、商品監修、契約・調整 |
| 商品造成・イタリア語予約基盤 | 900万円 | ルート設計、翻訳、特設ページ、計測環境 |
| 映像・記事制作 | 1,000万円 | 地方取材、短編動画、写真、権利処理 |
| デジタル広告 | 1,200万円 | 検索、SNS、動画、リターゲティング |
| 航空会社・OTA・旅行会社との共同販売 | 700万円 | 予約コード付き共同広告、販売員研修 |
| ファムトリップ・現地イベント | 400万円 | 招請、ローマ・ミラノでの商談と体験会 |
| 予約促進の実証 | 200万円 | 地方3泊以上の対象商品に限定した特典 |
| 効果測定・予備費 | 200万円 | 調査、データ統合、リスク対応 |
| 合計 | 5,000万円 | 予算上限内 |
5. KPIと検証方法
一年間のKPIを次のように設定する。
- イタリア語で購入できる周遊・体験商品を10件以上、参加する地域事業者を50社以上とする。
- 対象者への広告到達500万ユニークリーチを得る(平均接触頻度3回、計1,500万インプレッションを想定)。そこから特設ページ訪問12万件、旅程保存・問い合わせ1万2,000件へつなげる。
- 予約コード等で確認できる送客を1,500人以上、対象地方での延べ宿泊を7,500泊以上とする。
- 対象商品の地域内旅行消費額を3億円以上とし、プロモーション費5,000万円に対して6倍以上の計測可能な地域消費を目指す。
- 食・酒・工芸体験の購入率を50%以上、旅行者満足度を85%以上、Net Promoter Scoreを+30以上とする。
広告表示回数だけでは政策効果を判断できない。媒体別に予約コードを分け、OTA・旅行会社の成約、宿泊施設の泊数、体験事業者の売上を照合する。さらに、広告開始前の検索・予約実績が近いイタリアの州又は都市を組にし、各組から先行配信地域と遅延配信地域を無作為に割り付ける。6週間の実証期間について両群の開始前後の変化を差の差で比較し、その後は遅延地域にも広告を展開する。これにより、もともとの訪日意向や地域差を広告成果へ過大計上しにくくする。KPI未達の場合は、第6月に媒体別獲得費用を点検し、効果の低い広告費を共同販売や高成約コンテンツへ振り替える。
以上により、本計画は、表から読み取れるイタリア人旅行者の高い飲食支出を、地方の食文化と宿泊消費へ結びつける。対象、地域、予約商品、期間、予算及び評価方法を具体化することで、限られた公費でも実施・検証可能なプロモーションとなる。
出題の意図
国籍・地域ごとに異なる支出構造を分析し、限られた予算の下で対象市場を選択したうえで、観光知識を用いて実行可能なプロモーションへ落とし込めるかを確認する問題である。