早稲田大学 基幹理工学研究科 機械科学・航空宇宙専攻 2023年8月実施 数学 [1]
Author
Miyake, 祭音Myyura
Description
(1)
実定数の n 次正方行列 A∈Rn×n に対して、行列の指数関数を eA=∑k=0∞k!Ak と定義する。以下の問いに答えなさい。
(i) P を正則な n 次の正方行列とすると、以下の式が成立することを示しなさい。
ePAP−1=PeAP−1
(ii) t を実変数とし、行列 A は t に依存しない実定数の n 次正方行列と仮定する。次の微分方程式の解 x=x(t) を行列 A、及び初期値 x0 を用いて示しなさい。ここに、x∈Rn である。
dtdx=Ax,x0=x(0)
(iii) いま、行列 A が相異なる固有値 λk、k=1,…,n と固有ベクトル pk、k=1,…,n を持つと仮定する。正則な行列 P を P=[p1,…,pn] と定義する。このとき、(ii) で求めた解 x=x(t) を、固有値 λk、k=1,…,n、行列 P=[p1,…,pn] 及び初期値 x0 を用いて示しなさい。
(iv) x(t)=(x1(t),x2(t))T に関する次の微分方程式の解を求めよ。
dtdx=Ax,但し、x0=(x10,x20)T,A=[1−214]
(2)
複素領域 D⊂C の点(複素数)を z=x+iy として、D 上の複素関数を
f(z)=u(x,y)+iv(x,y)
とする。以下の問いに答えなさい。但し、i は虚数単位である。また、円周率を π とする。
(i) 複素関数 f(z) が領域 D で正則であるための必要かつ十分条件を示しなさい。
(ii) 領域 D の点 z を極座標 (r,θ) で z=reiθ と表すとき、(i) の条件はどのように表されるか。
(iii) 複素関数 f(z) として、対数関数
f(z)=logz
を考えよう。実数の対数関数を ln∣z∣、偏角を argz として、対数関数 f(z)=logz を ln∣z∣ と argz を用いて表しなさい。また、偏角として主値 Argz を選ぶとき、主枝 Logz を ln∣z∣ と Argz を用いて表わした上で、対数関数 f(z)=logz を Logz と n∈Z で表しなさい。
(iv) 以下の式の値を求めなさい。
a) log(−3) b) log3 c) log(1−i) d) Log(−1) e) Log(1+i)
(v) 複素関数 f(z)=logz の正則性について述べよ。
(vi) 複素数 z が曲線 C:∣z∣=1 に沿って、原点の周りを正の向きに回転するとき、次の積分をしなさい。但し、f′(z)=dzdf(z) である。
∮Cf′(z)dz
(注意)定数や変数などの数学記号が必要であれば、適当に定めた上で用いても良い。
题目描述
(1)
对于实常数构成的 n 阶方阵 A∈Rn×n,定义矩阵指数函数 eA=∑k=0∞k!Ak。回答以下问题。
(i) 设 P 是可逆的 n 阶方阵,证明下式成立。
ePAP−1=PeAP−1
(ii) 设 t 为实变量,矩阵 A 为不依赖于 t、由实常数构成的 n 阶方阵。用矩阵 A 及初值 x0 表示下列微分方程的解 x=x(t)。其中,x∈Rn。
dtdx=Ax,x0=x(0)
(iii) 现在假设矩阵 A 具有互不相同的特征值 λk(k=1,…,n)以及特征向量 pk(k=1,…,n)。定义可逆矩阵 P=[p1,…,pn]。此时,用特征值 λk(k=1,…,n)、矩阵 P=[p1,…,pn] 及初值 x0 表示 (ii) 中求得的解 x=x(t)。
(iv) 求关于 x(t)=(x1(t),x2(t))T 的下列微分方程的解。
dtdx=Ax,x0=(x10,x20)T,A=[1−214]
(2)
将复数域 D⊂C 中的点(复数)写成 z=x+iy,设 D 上的复函数为
f(z)=u(x,y)+iv(x,y).
回答以下问题。其中,i 为虚数单位,π 为圆周率。
(i) 给出复函数 f(z) 在区域 D 内正则的充要条件。
(ii) 将区域 D 中的点 z 用极坐标 (r,θ) 表示为 z=reiθ 时,(i) 中的条件如何表示?
(iii) 考虑复函数 f(z) 为对数函数
f(z)=logz.
将实数的对数函数记为 ln∣z∣,辐角记为 argz,用 ln∣z∣ 和 argz 表示对数函数 f(z)=logz。此外,选取辐角的主值 Argz 时,先用 ln∣z∣ 和 Argz 表示主支 Logz,再用 Logz 与 n∈Z 表示对数函数 f(z)=logz。
(iv) 求下列各式的值。
a) log(−3) b) log3 c) log(1−i) d) Log(−1) e) Log(1+i)
(v) 说明复函数 f(z)=logz 的正则性。
(vi) 当复数 z 沿曲线 C:∣z∣=1 绕原点按正方向旋转时,计算下列积分。其中,f′(z)=dzdf(z)。
∮Cf′(z)dz
(注意)如需使用常数、变量等数学符号,可在适当定义后使用。
Kai
(1)
(i)
ePAP−1=k=0∑∞k!(PAP−1)k=Pk=0∑∞k!AkP−1=PeAP−1
(ii)
dtdetA=dtdk=0∑∞k!tkAk=k=1∑∞(k−1)!tk−1Ak=Ak=0∑∞k!tkAk=AetA
であり、 t=0 のとき etA は単位行列であるから、
求める解は
x(t)=etAx0
であることがわかる。
(iii)
A=Pλ1⋱λnP−1
なので、
etA=exptPλ1⋱λnP−1=Pexptλ1⋱λnP−1 (∵ (i) )=Peλ1t⋱eλntP−1
となるため、 (ii) で求めた解は
x(t)=etAx0=Peλ1t⋱eλntP−1x0
と書ける。
(iv)
A の固有値を λ とすると、
0∴ λ=det[1−λ−214−λ]=(λ−2)(λ−3)=2,3
がわかる。
固有値 2 に属する固有ベクトルを求めるため
[−1−212][uv]=[00]
とおくと u=v を得る。
固有値 3 に属する固有ベクトルを求めるため
[−2−211][uv]=[00]
とおくと 2u=v を得る。
そこで、
P=[1112]
とおくと、
P−1A=[2−1−11],=P[2003]P−1
であり、
x(t)=P[e2t00e3t]P−1[x10x20]=[1112][e2t00e3t][2−1−11][x10x20]=[2e2t−e3t2e2t−2e3t−e2t+e3t−e2t+2e3t][x10x20]=[(2x10−x20)e2t+(−x10+x20)e3t(2x10−x20)e2t+(−2x10+2x20)e3t]
を得る。
(2)
(i)
f が D 上で正則であることは、u,v が各点で実全微分可能であり、コーシー・リーマンの関係
ux=vy,uy=−vx
を満たすことと同値である。特に u,v∈C1(D) のもとでは、この二つの関係が必要十分である。偏微分が存在するだけでは十分とは限らない。
(ii)
r>0 で連鎖律を用いると
ur=r1vθ,vr=−r1uθ.
(iii)
z=0 に対し、−π<Argz≤π を主偏角と定めると
Logz=ln∣z∣+iArgz,logz=Logz+2πin(n∈Z).
ここで logz は全ての値を表す多価の記号である。
(iv)
log(−3)log3log(1−i)Log(−1)Log(1+i)=ln3+i(2n+1)π,=ln3+2πin,=21ln2+i(−4π+2πn),=iπ,=21ln2+4πi.
各多価対数で n∈Z。主偏角を [−π,π) と定める流儀では Log(−1)=−iπ となるため、端点の規約を明示する必要がある。
(v)
0 を含まない各点の近傍で偏角を連続に選べば、対数の正則な分枝が存在し、その導関数は 1/z である。主枝は C∖(−∞,0] で正則である。上で負の実軸にも割り当てた主値はそこで不連続であり、正則ではない。また C∖{0} 全体で一価の正則な対数を定めることはできない。
(vi)
対数の各局所分枝の導関数は共通に 1/z である。従って z=eit、0≤t≤2π と置くと
∮Cf′(z)dz=∫02πeitieitdt=2πi.
C の周囲に一価の正則な対数がないため、この積分に大域的な原始関数として logz を用いることはできない。
Reference