早稲田大学 創造理工学研究科 経営システム工学専攻 2019年7月実施 情報数理応用 問題6
Author
祭音Myyura
Description
- ベルヌーイ情報源のパラメータ θ の事前分布が Beta(α,β) である。長さ n のデータで1が y 回観測されたとき、事後密度、平均、最頻値を求めよ。
- 定常無記憶情報源 X の十分長い標準系列について、各系列の生起確率と本数をエントロピー H(X) で示し、標準系列を説明せよ。
- 独立な Xi∼N(μ,σ2) に対し、∑iαi=1 を満たす推定量 Xˉα=∑iαiXi の分散を最小化する αi を求めよ。
- ランダムフォレストの概要と特徴を説明せよ。
- 次元の呪いにより、特徴空間の次元が増えると生じる現象を説明せよ。
Kai
[小問 1]
尤度は θy(1−θ)n−y に比例する。ベータ分布との共役性から
θ∣xn∼Beta(α+y,β+n−y).
したがって事後密度は
p(θ∣xn)=Γ(α+y)Γ(β+n−y)Γ(α+β+n)θα+y−1(1−θ)β+n−y−1.
平均は
E[θ∣xn]=α+β+nα+y.
α+y>1 かつ β+n−y>1 なら最頻値は
θmode=α+β+n−2α+y−1.
これらの条件を満たさない場合、最頻値は対応する端点となる。
[小問 2]
対数の底を2とする。十分大きい n に対し、標準系列では各記号 ai の出現頻度が pi に近く、各系列の確率は
P(xn)≈2−nH(X)
でほぼ等しい。標準系列全体の確率は1に近いため、その本数は
∣Tε(n)∣≈2nH(X)
となる。すなわち、全 Mn 系列のうち比較的少数の標準系列が確率のほとんどを担い、1記号当たり約 H(X) bit まで圧縮できる。
[小問 3]
独立性より
Var(Xˉα)=σ2i=1∑nαi2.
Cauchy--Schwarz の不等式から
1=(i∑αi)2≤ni∑αi2,
したがって ∑iαi2≥1/n である。等号は全係数が等しいときに限るため
α1=⋯=αn=n1.
このとき推定量は通常の標本平均で、最小分散は σ2/n である。
[小問 4]
ランダムフォレストは、訓練データのブートストラップ標本ごとに決定木を学習し、各分岐でも候補特徴量をランダムに制限して多数の木を作る。分類では多数決、回帰では平均により予測する。
木同士の相関を下げて平均化するため、単一の決定木より分散と過学習を抑えやすい。非線形関係・特徴間相互作用を扱え、尺度変換にも比較的頑健で、特徴量重要度も得られる。一方、モデルが大きくなり、単一木より解釈しにくく、非常に疎で高次元な問題では計算負荷が大きくなる。
[小問 5]
次元 d が増えると、一定密度で空間を覆うために必要な標本数が指数的に増える。有限標本は空間内で疎になり、局所密度推定や近傍探索が不安定になる。また最近点と遠方点の距離が相対的に似通い、距離の識別力が低下する。不要な特徴が増えるほど推定分散と過学習の危険も増すため、次元削減・特徴選択・正則化が重要となる。