早稲田大学 創造理工学研究科 経営システム工学専攻 2016年7月実施 システム論 問題6
Author
祭音Myyura
Description
[小問 1]
次のゼロ和2人ゲームの利得行列 (a)–(e) について答えよ。行プレイヤーを最大化プレイヤー、列プレイヤーを最小化プレイヤーとする。
(a)(c)0−25102−456,432413546,(b)(d)−2−30−3−4−5−1−2−4,235334746,(e)387258149.
- 鞍点がないゲームはどれか。
- 純戦略の範囲で鞍点の値が同じゲームはどれか。
- 複数の鞍点があるゲームはどれか。
- 最大化プレイヤーの鞍点戦略が、他のすべての戦略に対する支配戦略となるゲームはどれか。
[小問 2]
囚人のジレンマを簡潔に定式化し、ナッシュ均衡を導出せよ。また、パレート最適の観点からその意味を考察せよ。
Kai
[小問 1]
各行の最小値、各列の最大値、鞍点を並べると次のようになる。
| ゲーム | 行最小値 | 列最大値 | 鞍点 |
|---|
| (a) | (−4,−2,2) | (5,2,6) | (3,2)、値 2 |
| (b) | (−3,−4,−5) | (0,−3,−1) | (1,2)、値 −3 |
| (c) | (4,1,2) | (4,4,6) | (1,1),(1,2)、値 4 |
| (d) | (2,3,4) | (5,4,7) | (3,2)、値 4 |
| (e) | (1,4,7) | (8,8,9) | なし |
したがって、
- 鞍点がないのは (e)。
- 鞍点の値が同じなのは (c),(d)。いずれも値は4である。
- 複数の鞍点があるのは (c)。
- 該当するのは (a)。第3行 (5,2,6) は第1行と第2行を各列で上回り、最大化プレイヤーの支配戦略である。
[小問 2]
2人の囚人が別々に取り調べられ、各自が協調 C(黙秘)または裏切り D(自白)を選ぶとする。典型的な利得表は
| 囚人2: C | 囚人2: D |
|---|
| 囚人1: C | (3,3) | (0,5) |
| 囚人1: D | (5,0) | (1,1) |
であり、利得の順序は T>R>P>S、ここでは 5>3>1>0 である。
囚人2が C なら囚人1は D を選ぶと 5>3、囚人2が D でも囚人1は D を選ぶと 1>0 である。したがって囚人1にとって D は C を厳密に支配する。対称性により囚人2も同じなので、唯一のナッシュ均衡は
で、利得は (1,1) となる。
しかし (C,C) の利得 (3,3) は両者にとって (1,1) より大きいので、(D,D) はパレート最適ではない。個人合理的な支配戦略の選択が、両者にとって劣る社会的結果を生む点が「ジレンマ」である。