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早稲田大学 創造理工学研究科 経営システム工学専攻 2016年7月実施 情報数理応用 問題1

Author

祭音Myyura

Description

シンボル aja_j が確率 P(aj)P(a_j) で独立に生起する定常無記憶情報源 XX と、シンボル bkb_k が確率 P(bk)P(b_k) で独立に生起する定常無記憶情報源 YY を考える。また P(ajbk)P(a_j\mid b_k) を条件付き確率とする。

  1. エントロピー H(X)H(X) の式を示せ。
  2. エントロピーの意味と実務上の意義を説明せよ。
  3. 条件付きエントロピー H(XY)H(X\mid Y) の定義と意味を説明せよ。
  4. 相互情報量 I(X;Y)I(X;Y) の定義と意味を説明せよ。
  5. 標準系列とエントロピーの関係、その概念と意味を説明せよ。

Kai

以下では対数の底を 22 とし、単位を bit とする。

[小問 1]

H(X)=j=1MP(aj)log2P(aj)\boxed{ H(X)=-\sum_{j=1}^{M}P(a_j)\log_2P(a_j) }

である。P(aj)=0P(a_j)=0 の項は 0log0=00\log 0=0 と約束する。

[小問 2]

事象 aja_j の自己情報量は log2P(aj)-\log_2P(a_j) であり、エントロピーはその期待値である。したがって、情報源の不確実性、または1シンボルを観測したときに得られる平均情報量を表す。

実務上は、無損失圧縮に必要な平均符号長の理論的下限を与える。定常無記憶情報源を十分長いブロックで符号化すれば、平均符号長を1シンボル当たり H(X)H(X) bit に近づけられるが、それより小さくすることは一般にできない。

[小問 3]

H(XY)=k=1NP(bk)j=1MP(ajbk)log2P(ajbk)\boxed{ H(X\mid Y) =-\sum_{k=1}^{N}P(b_k) \sum_{j=1}^{M}P(a_j\mid b_k) \log_2P(a_j\mid b_k) }

である。これは YY を知った後にも残る XX の平均的な不確実性であり、

H(XY)=H(X,Y)H(Y)H(X\mid Y)=H(X,Y)-H(Y)

を満たす。

[小問 4]

同時確率を P(aj,bk)P(a_j,b_k) とすると、

I(X;Y)=j,kP(aj,bk)log2P(aj,bk)P(aj)P(bk)\boxed{ I(X;Y) =\sum_{j,k}P(a_j,b_k) \log_2\frac{P(a_j,b_k)}{P(a_j)P(b_k)} }

である。また

I(X;Y)=H(X)H(XY)=H(Y)H(YX)I(X;Y) =H(X)-H(X\mid Y) =H(Y)-H(Y\mid X)

であるから、YY を知ることによって減少する XX の不確実性を表す。常に I(X;Y)0I(X;Y)\geq0 であり、独立なら I(X;Y)=0I(X;Y)=0 である。

[小問 5]

nn 個の出力列 xn=(x1,,xn)x^n=(x_1,\ldots,x_n) に対し、ε\varepsilon-標準系列集合を

Aε(n)={xn:1nlog2P(xn)H(X)<ε}A_\varepsilon^{(n)} =\left\{ x^n: \left| -\frac1n\log_2P(x^n)-H(X) \right|<\varepsilon \right\}

と定義する。漸近等分割性より

P(Aε(n))1(n).P\left(A_\varepsilon^{(n)}\right)\to1 \qquad(n\to\infty).

標準系列では

P(xn)2nH(X),Aε(n)2nH(X).P(x^n)\approx2^{-nH(X)},\qquad \left|A_\varepsilon^{(n)}\right|\approx2^{nH(X)}.

すなわち、長い系列のほとんどは、ほぼ等確率な約 2nH(X)2^{nH(X)} 個の系列へ集中する。これが典型集合だけを符号化して平均符号長を nH(X)nH(X) bit に近づけられる理由である。