東京大学 数理科学研究科 数理科学専攻 2024年8月実施 専門科目B 第8問
Author
藍色日和, 祭音Myyura
Description
n≥2 を整数とし、S(r) を Rn の球面
S(r):={(x1,⋯,xn)∈Rn∣x12+⋯+xn2=r2}
とおき、S(r) の向きを一つ固定する。また Ωk(Rn) を Rn 上の C∞ 級 k 形式全体とする。以下の問いに解答しなさい。
(1) 任意の ω∈Ωn−1(Rn) に対して積分
rn1∫S(r)ω
は r→+0 で有限の値に収束することを示しなさい。
(2) k を正の整数とする。任意の ω∈Ωn−1(Rn) に対して積分
ra1∫S(r)x1kω
が r→+0 で収束するような実数 a の範囲を求めなさい。
题目描述
设 n≥2 为整数。对 r>0,令
S(r):={(x1,…,xn)∈Rnx12+⋯+xn2=r2},
固定 S(r) 的一个定向。S(r) 是 Rn 中半径为 r 的球面;并用 Ωk(Rn) 表示 Rn 上所有 C∞ 级 k-形式组成的集合。回答下列问题:
-
证明对任意 ω∈Ωn−1(Rn),当 r→0+ 时,
rn1∫S(r)ω
收敛到某个有限值。
-
设 k 为正整数。求所有满足下述条件的实数 a 的范围:对任意 ω∈Ωn−1(Rn),当 r→0+ 时,
ra1∫S(r)x1kω
都收敛。
Kai
(1)
絶対値を取るので、球面には外向きの向きを用いてよい。まず極座標表示
x1=scosθ1
x2=ssinθ1cosθ2
x3=ssinθ1sinθ2cosθ3
xn−1=ssinθ1⋯sinθn−2cosθn−1
xn=ssinθ1⋯sinθn−2sinθn−1
を取り、
dω=f(x1,⋯,xn)dx1∧⋯∧dxn
g(s,θ1,⋯,θn−1)=f(x1,⋯,xn)
B(r)={(x1,⋯,xn)∈Rn∣x12+⋯+xn2≤r2}
とおく。Stokes の定理より、絶対値を取る前の積分は
rn1∫S(r)ω=rn1∫B(r)gsn−1sinn−2θ1sinn−3θ2⋯sinθn−2dsdθ1⋯dθn−1
と表される。この積分はある C∞ 級関数 G:R→R を用いて
rn1∫0rG(s)sn−1ds=nG(r)−nrn1∫0rG′(s)snds
と書ける。ここで第二項は r→+0 で 0 に収束するから、問題の絶対値付きの量は r→+0 で n∣G(0)∣ に収束する。よって結果が示せた。
(2)
k∈Z>0 とする。
問題の積分は Stokes の定理から
k∫B(r)x1k−1dx1∧ω+∫B(r)x1kdω
と表される。ここで m≥1 に対して積分
I(2m−1,f):=∫B(r)x12m−1f(x)dx
を考える。まず補題を f 及び M=2 に適用して
f(x)=c+i=1∑ncixi+ij∑cijxixj+ij∑hij(x)xixj
と表す。このとき球の対称性から
I(2m−1,f)=c1∫B(r)x12mdx+i,j∑∫B(r)hij(x)x12m−1xixjdx
と表される。極座標表示により、任意の a≤n+2m に対して
r→+0limraI(2m−1,f)=r→+0limrac1∫B(r)x12mdx
は有限値に収束する。次に m≥0 に対して同様に
I(2m,f):=∫B(r)x12mf(x)dx
とおく。上と同じ Taylor 展開と対称性から
I(2m,f)=c∫B(r)x12mdx+i=1∑nci,i∫B(r)x12mxi2dx+i,j∑∫B(r)x12mhij(x)xixjdx.
従って任意の a≤n+2m に対して
r→+0limraI(2m,f)=r→+0limrac∫B(r)x12mdx
は有限値に収束する。
以上から、ω の取り方に関わらず、k が偶数のときは a≤n+k、k が奇数のときは a≤n+k−1 で問題の極限が収束する。
k が奇数のとき
ω=dx2∧⋯∧dxn
と置くと、Stokes の定理より積分は
k∫B(r)x1k−1dx
となり、a>n+k−1 では発散する。
一方 k が偶数のとき
ω=x2dx1∧dx3∧⋯∧dxn
と置くと、積分は定数倍を除いて ∫B(r)x1kdx となり、a>n+k では発散する。以上をまとめると求める範囲は
{a≤n+ka≤n+k−1(k∈2Z),(k∈2Z+1)
である。
Knowledge
多変数版テイラーの定理
f:Rn→R を C∞ 級関数とする。このとき任意の自然数 M について
f(x)=∣α∣≤M∑α!1∂xα∂∣α∣f(0)xα+∣α∣=M∑hα(x)xα
x→0limhα(x)=0
を満たす関数の族 (hα:Rn→R)α が存在する。