東京大学 数理科学研究科 数理科学専攻 2024年8月実施 専門科目B 第7問
Author
藍色日和
Description
実射影空間 RP5 の部分空間
X={[x1,x2,y1,y2,z1,z3]∈RP5∣x1y1=x1y2=x2y1=x2y2=0}
について以下の問いに解答しなさい。
(1) 整係数ホモロジー群 H∗(X;Z) を計算しなさい。
(2) 連続写像 S1→X であって、定値写像とホモトピピックでないものを一つ構成しなさい。
Kai
以下の解答に於いて位相空間 X,Y に対し X≃Y と表記したときは、X と Y が同相であることを表す。
(1)
まず
Xx={[0,0,y1,y2,z1,z2]}≃RP3
Xy={[x1,x2,0,0,z1,z2]}≃RP3
と置くと、このとき X=Xx∪Xy であり、
Xx∩Xy≃RP1≃S1
である。このときマイヤービートリス完全列は
⋯00ZZ→→→→→0Z20(Z/2Z)2Z2→→→→→H4(X,Z)H3(X,Z)H2(X,Z)H1(X,Z)Z→→→→→0
である。これにより n≥4 に対し
H2(X,Z)=Z
H3(X,Z)=Z2
Hn(X,Z)=0
がわかる。ここで RP3 の胞体分割 RP3=e0∪e1∪e2∪e3 で、⋃i=1kei=RPk になるようなものを取ったとき、H1(RP3,Z) の生成元は e1 で生成されることが分かる。
これにより上記のマイヤービートリス完全列の 1 次における群準同型 Z→Z/2Z×Z/2Z は適切な基底を取ることで
m↦(mm)
と表されることが分かる。よって H1(X,Z)=Z/2Z が分かる。以上をまとめると
H∗(X,Z)=⎩⎨⎧ZZ/2ZZ20(∗=0,2)(∗=1)(∗=3)(∗≥4)
である。
(2)
写像 f:S1=R/Z→X を
f(t):=[0,0,0,0,cosπt,sinπt]
を取ったとき、(1) の途中で行った胞体分割を用いた議論により、f:S1→RP5 が定値写像とホモトピックでないことが分かる。よって f:S1→X も定値写像とホモトピックではない。