東京大学 数理科学研究科 数理科学専攻 2024年8月実施 専門科目B 第6問
Author
藍色日和
Description
Rn の連結開集合 U 及び p,q∈U に対して、dU(p,q) を p と q を結ぶ U 内の区分的に滑らかな曲線の長さの下限とする。連結開集合 U0,U1⊆Rn 及び全単射 f:U0→U1 で、任意の p,q∈U0 に対して
dU0(p,q)=dU1(f(p),f(q))
を満たすものが取れたとする。このとき R2 の等長変換 A が唯一つ存在して、任意の p∈U0 に対して
f(p)=A(p)
を満たしていることを示しなさい。
Kai
まず U0 の開部分凸集合 V0 をとる。このとき任意の x,y∈V0 について
d(f(x),f(y))≤dU1(f(x),f(y))=dU0(x,y)=d(x,y)
である(最後の等式に U0 の凸性を用いている)から、通常の距離位相に関して f:V0→U1 は連続である。
ここで任意の p∈U0 に対して、f(p) の凸開近傍 V1 をとり、f−1(V1) に於ける p の凸開近傍 V0 をとると、これは任意の x,y∈V0 について
d(x,y)=dU0(x,y)=dU1(f(x),f(y))=d(f(x),f(y))
であるから、通常の位相に関して f:U0→U1 は等長写像である。このとき、f の全単射性も考慮すると、U0,U1 の取り方に依らないある等長変換 Ap が存在して
f(x)=Ap(x)
を満たしている。
最後にこの Ap が p に依らないことを示す。
p,q∈U0 を任意に取る。
まず U0 は連結開集合なので弧状連結開集合であり、γ(0)=p かつ γ(1)=q なる道 γ:[0,1]→U0 をとることができる。
ここで γ[0,1] 上の各点に於いて充分小さい凸開近傍をとると、γ[0,1] のコンパクト性からこれは有限部分被覆を持つ。
充分小さい凸開部分集合に於いて上で取った等長変換は点に依らず一定であるから、これにより Ap=Aq が従う。
以上から Ap を A とすれば良い。