東京大学 数理科学研究科 数理科学専攻 2023年8月実施 専門科目B 第1問
Author
藍色日和
Description
整数 に対し 次正方行列の集合 を考え、その巾ゼロ行列全体の為す集合 を考える。
ここで の部分群 について、 に含まれる -共役による共役類の個数を とおく。
(1) の値を求めなさい。
(2) が奇数のとき であることを示しなさい。
(3) の値を求めなさい。
Kai
(1)
まずこれらの同値類はジョルダン標準形で代表される。 のとき巾ゼロ行列は
及び で代表されるものに限られるから求める値は である。
(2)
いま行列 が を用いて と表されたとする。
ここで と置いたとき、 が奇数であることから実数 をとることができ、 とすればこれは の元であり、しかも を満たす。
以上から結果が従う。
(3)
まず については対角行列で一成分だけが 、それ以外の対角成分が であるような行列で共役をとって不変であるから、これらを含む による共役類は による共役類になっている。
次に であり、ここで であったとする。
このときこの式の左辺から(1,1)成分が ,その他の対角成分が であるような行列をかけることで は行列
に共役になるから、 の -共役類の元は のいずれかに -共役である。
同様に の -共役類の元は または
のいずれかに -共役である。
また (resp.) に関して (resp. )になるような について であることが直接計算することでわかる。
以上から共役類の個数は である。