東京大学 数理科学研究科 数理科学専攻 2023年8月実施 専門科目B 第1問
Author
藍色日和
Description
整数 n≥2 に対し n 次正方行列の集合 Mn(R) を考え、その巾ゼロ行列全体の為す集合 Nn を考える。
ここで GLn(R) の部分群 G について、Nn に含まれる G-共役による共役類の個数を cn(G) とおく。
(1) c4(GL4(R)) の値を求めなさい。
(2) n が奇数のとき cn(GLn(R))=cn(SLn(R)) であることを示しなさい。
(3) c4(SL4(R)) の値を求めなさい。
Kai
(1)
まずこれらの同値類はジョルダン標準形で代表される。 n=4 のとき巾ゼロ行列は
A=0000100001000010
B=0000000001000010
C=0000000000000010
D=0000100000000010
及び 0 で代表されるものに限られるから求める値は 5 である。
(2)
いま行列 M,N が g∈GLn(R) を用いて gMg−1=N と表されたとする。
ここで d=detg と置いたとき、n が奇数であることから実数 c=nd をとることができ、h=c−1g とすればこれは SLn(R) の元であり、しかも hMh−1=N を満たす。
以上から結果が従う。
(3)
まず B,C,0 については対角行列で一成分だけが d、それ以外の対角成分が 1 であるような行列で共役をとって不変であるから、これらを含む GL4(R) による共役類は SL4(R) による共役類になっている。
次に gMg−1=A であり、ここで detg=−d<0 であったとする。
このときこの式の左辺から(1,1)成分が d,その他の対角成分が 1 であるような行列をかけることで M は行列
A′=0000−100001000010
に共役になるから、A の GL4(R)-共役類の元は A,A′ のいずれかに SL4(R)-共役である。
同様に D の GL4(R)-共役類の元は D または
D′=0000−100000000010
のいずれかに SL4(R)-共役である。
また A,A′ (resp.D,D′) に関して A′=gAg−1(resp. D′=gDg−1)になるような g について detg<0 であることが直接計算することでわかる。
以上から共役類の個数は 1+1+1+2+2=7 である。