東京大学 数理科学研究科 数理科学専攻 2023年8月実施 専門科目A 第5問
Author
藍色日和
Description
まず集合
X={(x,y)∈Q2∣x∣<y2 または y=0}
を考える。そして (x,y)∈X 及び実数 ε>0 に対して
Uε(x,y)={(x,y)}∪{(s,0)∈Q2s−x+y2<ε または s−x−y2<ε}
とする。いま {Uε(x,y)∣(x,y)∈X,ε>0} によって生成される基本近傍系によって、X に位相を定める。
(1) X はハウスドルフであることを示しなさい
(2) U1(0,1) の X に於ける閉包を図示しなさい。
(3) X は連結であるかどうか判定しなさい。
Kai
以下の議論では (a,b) は x 座標が a・y 座標が b の点を指し、(a;b) は a<x<b なる有理数 x 全体の為す開区間を指す。
また Q×{0} を Q と略記する。
またこの略記は (a;b) や [a;b] などのような Q の部分集合にも適用する。
(1)
X の相異なる点 (s,t),(u,r) をとる。このとき、ε>0 を十分小さく取れば
(s+t2−ε;s+t2+ε)∩(u+r2−ε;u+r2+ε)=∅
を満たしている。このとき Uε(s,t)∩Uε(u,r)=∅ であるから、X のハウスドルフ性が従う。
(2)
まず
C+={(x,y)∈X−2x+1−21≤y≤−2x+1+21}
C−={(x,y)∈X2x+1−21≤y≤2x+1+21}
D+={(x,y)∈X−2x−1−21≤y≤−2x−1+21}
D−={(x,y)∈X2x−1−21≤y≤2x−1+21}
I+=(−2−1;−2+1)
I−=(2−1;2+1)
とする。また
C=C+∪C−∪D+∪D−∪I+∪I−
とおく。このとき I+∪I− は U1(0,1) に含まれている。
また (x,y)∈C+∪C−∪D+∪D− を取ったとき、
2−1≤x+y2≤2+1
−2−1≤x−y2≤−2+1
2−1≤x−y2≤2+1
−2−1≤x+y2≤−2+1
のいずれかが満たされているから、(x,y) の近傍は U1(0,1) と共通部分を持つ。
以上から U1(0,1) の閉包は C を含んでいる。一方各 (x,y)∈X\C に対して
Uε(x,y)(x,y)∩C=∅
になるよう ε>0 を取れば
X\C=(x,y)∈/C⋃Uε(x,y)(x,y)
は開集合であるから、C は閉集合である。以上から C が所望の閉包である。※図は時間のある時に挿入します。
(3)
まず X=U⊔V を X の互いに交わらない開集合への分解とする。
U を空でないとする。
(a,b)∈U を取ったとき、この位相の定め方から、(a+b2−ε;a+b2+ε)×{0}⊆U を満たすように ε>0 をとれる。
このとき
W={(x,y)∈X−2x+2a−ε+b2<y<−2x+2a+ε+b2}⊆U
である。このとき集合
{(x−y2,0)∣(x,y)∈W または (−x,−y)∈W}
は R に於いて稠密である。よって U∩Q は Q に於いて稠密である。これによって
V∩Q=∅
が従い、ここから V=∅ が従う。よって X は連結である。