東京大学 新領域創成科学研究科 物質系専攻 2019年8月実施 第3問
Author
Miyake
Description
1 次元調和振動子型のポテンシャル中にある質量 m の粒子を考える。このとき、ハミルトニアン H は、次のように書ける。
H=2mp2+21mω2x2
ここで、x、p、ω は、それぞれ、位置演算子、運動量演算子、角振動数である。規格化された波動関数 φn(x)、固有エネルギー En は、次のシュレーディンガー方程式を満たす。
Hφn(x)=Enφn(x)
ここで、n は負でない整数(n=0,1,2,…)であり、n=0 は基底状態に対応する。次の演算子 A、A† を定義する。
AA†=2ℏmω(x+mωip),=2ℏmω(x−mωip).
ここで、ℏ はプランク定数を 2π で割った値である。このとき、次のような関係式が成り立つ。
φn+1(x)φn(x)=n+11A†φn(x),=n+11Aφn+1(x).
以下の問いに答えよ。
(1) A†A を計算することによって、H を A† と A を用いて表せ。ただし、交換関係 [x,p]=iℏ が成り立つことに注意せよ。
(2) E0 を求めよ。ただし、Aφ0=0 であることに注意せよ。
(3) 交換関係 [A,A†] を計算することによって、E1 を求めよ。
(4) 状態 φn における x の期待値 ⟨φn∣x∣φn⟩ を求めよ。
時刻 t<0 で、状態 φ0 であるとする。t≥0 で、V(x)=Fx の摂動ポテンシャルが加わっている状況を考える。ここで、F は力を表す正の定数である。F が十分小さいとし、1 次摂動の範囲で考えることができるものとする。このとき、時刻 t における波動関数は、
ψ(x,t)=e−iE0t/ℏφ0(x)+c1(t)e−iE1t/ℏφ1(x)
と書ける。ここで、係数 c1(t) は、
c1(t)=iℏ1∫0t⟨φ1∣V∣φ0⟩eiωt′dt′
と書ける。
(5) c1(t) を計算して、時刻 t (≥0) において粒子が状態 φ1 に見いだされる確率を m、ω、ℏ、F を用いて表せ。
(6) 時刻 t (≥0) における x の期待値 ⟨ψ∣x∣ψ⟩ を m、ω、F を用いて表せ。また、⟨ψ∣x∣ψ⟩ を 0≤t≤2π/ω の範囲で t の関数として図示せよ。
题目描述
考虑处于一维谐振子势中的质量为 m 的粒子,其哈密顿算符为
H=2mp2+21mω2x2.
这里 x、p、ω 分别为位置算符、动量算符和角频率。归一化波函数 φn(x) 及能量本征值 En 满足薛定谔方程
Hφn(x)=Enφn(x).
n 为非负整数(n=0,1,2,…),n=0 对应基态。定义算符
AA†=2ℏmω(x+mωip),=2ℏmω(x−mωip).
其中 ℏ 为普朗克常数除以 2π。有以下关系:
φn+1(x)φn(x)=n+11A†φn(x),=n+11Aφn+1(x).
回答下列问题。
(1) 计算 A†A,将 H 用 A† 和 A 表示。注意对易关系 [x,p]=iℏ 成立。
(2) 求 E0。注意 Aφ0=0。
(3) 计算对易关系 [A,A†],求 E1。
(4) 求状态 φn 中位置 x 的期望值 ⟨φn∣x∣φn⟩。
设 t<0 时处于状态 φ0。考虑在 t≥0 时加入微扰势 V(x)=Fx 的情形,其中 F 为表示力的正数。假设 F 足够小,可采用一阶微扰近似。此时时刻 t 的波函数可写为
ψ(x,t)=e−iE0t/ℏφ0(x)+c1(t)e−iE1t/ℏφ1(x),
其中系数为
c1(t)=iℏ1∫0t⟨φ1∣V∣φ0⟩eiωt′dt′.
(5) 计算 c1(t),用 m、ω、ℏ、F 表示在时刻 t (≥0) 发现粒子处于状态 φ1 的概率。
(6) 用 m、ω、F 表示时刻 t (≥0) 的位置期望值 ⟨ψ∣x∣ψ⟩,并画出其在 0≤t≤2π/ω 范围内随 t 变化的图像。
Kai
(1)
A†A∴ H=2ℏmω(x−mωip)(x+mωip)=2ℏmω(x2+m2ω2p2+mωi[x,p])=2ℏmω(x2+m2ω2p2−mωℏ)=ℏω1(2mp2+21mω2x2)−21=ℏω1H−21=ℏω(A†A+21)
(2)
Hφ0∴ E0=ℏω(A†A+21)φ0=21ℏωφ0=21ℏω
(3)
[A,A†]Hφ1∴ E1=2ℏmω[x+mωip,x−mωip]=2ℏmωmωi{−[x,p]+[p,x]}=2ℏi⋅(−2iℏ)=1=ℏω(A†A+21)A†φ0=ℏω(A†(A†A+1)+21A†)φ0=23ℏωA†φ0=23ℏωφ1=23ℏω
(4)
⟨φ0∣A∣φ0⟩=0 で、かつ、
⟨φn+1∣A∣φn+1⟩=n+11⟨φn∣AAA†∣φn⟩=n+11⟨φn∣A(A†A+1)∣φn⟩=n+11⟨φn∣A(ℏωH−21+1)∣φn⟩=n+11(ℏωEn+21)⟨φn∣A∣φn⟩
であるから、数学的帰納法により、 n=0,1,2,⋯ に対して、
⟨φn∣A∣φn⟩=0
が成り立つ。
同様にして、
⟨φn∣A†∣φn⟩=0
も成り立つ。
さらに、
x=2mωℏ(A+A†)
であるから、
⟨φn∣x∣φn⟩=0
が n=0,1,2,⋯ について成り立つ。
(5)
まず、
⟨φ1∣V∣φ0⟩=F⟨φ0∣Ax∣φ0⟩=F2mωℏ⟨φ0∣A(A+A†)∣φ0⟩=F2mωℏ⟨φ0∣AA†∣φ0⟩=F2mωℏ⟨φ0∣(A†A+1)∣φ0⟩=F2mωℏ
であるから、
c1(t)=iℏF2mωℏ∫0teiωt′dt′=iℏF2mωℏ[iωeiωt′]0t=−ℏωF2mωℏ(eiωt−1)=2ℏω3mF(1−eiωt)
を得る。
さらに、
e−iℏE0t2c1(t)e−iℏE1t2=1=2ℏω3mF2(1−eiωt)(1−e−iωt)=ℏω3mF2(1−cosωt)
であるから、一次摂動で求めた振幅に対応する遷移確率は
P0→1(t)≃∣c1(t)∣2=ℏω3mF2(1−cosωt)
である。ここでは確率について F2 の項までを採用する。
(6)
(3), (5) より
⟨φ0∣x∣φ0⟩⟨φ0∣x∣φ1⟩=⟨φ1∣x∣φ1⟩=0=⟨φ1∣x∣φ0⟩=2mωℏ
であるから、
⟨ψ∣x∣ψ⟩=c1∗(t)e−iℏE0−E1t⟨φ1∣x∣φ0⟩+c1(t)e−iℏE1−E0t⟨φ0∣x∣φ1⟩=2ℏω3mF(1−e−iωt)eiωt2mωℏ+2ℏω3mF(1−eiωt)e−iωt2mωℏ=2mω2F{(eiωt−1)+(e−iωt−1)}=mω2F(cosωt−1)
を得る。
t=0,2π/ω で期待値は 0、t=π/ω で最小値 −2F/(mω2) をとる。

Reference