東京大学 工学系研究科 2025年8月実施 物理学 第2問
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GPT-5.6 Sol
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真空の誘電率を ε0、真空の透磁率を μ0 として、次の I から III に答えよ。
原点 O の両側に、点電荷 +q と −q がそれぞれ
(0,0,2d),(0,0,−2d)
に置かれている。−q から +q へ向かうベクトルを d=(0,0,d) とし、電荷の位置以外の任意の点の位置ベクトルを r とする。
- 無限遠を基準とする静電ポテンシャルを求めよ。
- ∣d∣/∣r∣≪1 とする。電気双極子モーメントを p=qd としたとき、静電ポテンシャルが
U(r)=4πε0∣r∣3p⋅r
となることを示せ。
原点 O を中心とする半径 R の薄い導体球殻が真空中に置かれている。外部から一様な静電場
E0=(0,0,E0z)
を加えたところ、球殻表面に電荷分布が誘起された。
- 外部電場と誘起電荷の両方を考慮し、球殻外部の静電ポテンシャルを求めよ。基準は任意に選んでよい。
- 球殻上の任意の点の位置ベクトルを s (∣s∣=R) とする。球殻上の面電荷密度 σ(s) を求めよ。
III
原点 O を中心とし、xy 平面内に置かれた半径 ρ の一巻き円形コイルに電流 I が流れている。コイル上の位置ベクトルを u、電流方向の線素ベクトルを du とすると、位置 r における磁気ベクトルポテンシャルは
A(r)=4πμ0I∮∣r−u∣du
で与えられる。∣u∣/∣r∣≪1 とし、
m=μ0SIk,S=πρ2
を磁気双極子モーメントとする。ただし、k は +z 方向の単位ベクトルである。A(r) を m と r で表せ。
Kai
I.1
クーロンポテンシャルを重ね合わせると、
U(r)=4πε0q(∣r−d/2∣1−∣r+d/2∣1)
となる。
I.2
r=∣r∣ とおく。∣d∣/r≪1 のもとでテイラー展開すると、
∣r∓d/2∣1=r1±2r3d⋅r+同一の偶数次項+O(r4d3).
二つの式の差では定数項と偶数次項が消えるため、
∣r−d/2∣1−∣r+d/2∣1=r3d⋅r+O(r4d3).
したがって、最低次まで取れば
U(r)=4πε0r3qd⋅r=4πε0∣r∣3p⋅r.
極軸を z 軸に取り、θ を r と +z 軸のなす角とする。軸対称なラプラス方程式の解のうち、遠方で一様電場のポテンシャル −E0zrcosθ に一致するものは
Uout(r,θ)=−E0zrcosθ+r2Ccosθ
と書ける。導体表面 r=R は等電位面である。電位の任意定数を選んで球殻の電位を 0 とすると、
C=E0zR3.
よって、球殻外部では
Uout(r,θ)=−E0z(r−r2R3)cosθ(r≥R).
ベクトル表示では
Uout(r)=−E0⋅r+R3∣r∣3E0⋅r.
第 2 項を電気双極子のポテンシャルと比較すると、誘起双極子モーメントは
pind=4πε0R3E0
である。
面に垂直な外向き電場は
Er(R+,θ)=−∂r∂Uoutr=R=3E0zcosθ.
導体内部の電場は 0 なので、境界条件より
σ=ε0(Er(R+)−Er(R−))=3ε0E0zcosθ.
球面上では E0⋅s=E0zRcosθ であるから、
σ(s)=R3ε0E0⋅s.
III
u=∣u∣=ρ、r=∣r∣ とする。u/r≪1 のとき、
∣r−u∣1=r1+r3r⋅u+O(r3u2).
これを線積分に代入する。閉曲線では ∮du=0 なので、最低次の非零項は
A(r)=4πr3μ0I∮(r⋅u)du.
電流方向に沿って
u=ρ(cosφi+sinφj),
du=ρ(−sinφi+cosφj)dφ
とおくと、
∮(r⋅u)du=πρ2(−ryi+rxj)=Sk×r.
したがって、
A(r)=4πμ0SIr3k×r.
問題文では m=μ0SIk と定義されているため、μ0 を重ねて付けないことに注意すると、
A(r)=4π∣r∣3m×r
を得る。
Reference