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東京大学 工学系研究科 2025年8月実施 物理学 第1問

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GPT-5.6 Sol

Description

質量が mm の質点 A と、質量が 2m2m の質点 B が、長さ ll の糸で連結されている。質点 A を傾斜角 3030^\circ の滑らかな台の上に置き、質点 B を台の端部から鉛直方向につり下げる。台の上の糸の長さを a (0<a<l)a\ (0<a<l) とする。台の端部を原点 O とし、水平方向右向きを xx 軸、鉛直方向上向きを yy 軸とする。

両質点を静止状態から運動させる。摩擦および糸の質量、太さ、伸びを無視し、糸はたるまないものとする。重力加速度を gg として、次の問いに答えよ。

I

質点 A が台を滑り落ちる間の糸の張力 TT を求めよ。

II

質点 A が台の端部に達したときの質点 A、B の速度ベクトルを求めよ。

III

質点 A が台の端部から飛び出した瞬間を t=0t=0 とする。t>0t>0 では、A と B は重心の周りを回転しながら落下する。

  1. 回転運動の角速度 ω\omega を求めよ。
  2. 時刻 tt における質点 A の座標を求めよ。
  3. t=0t=0 の状態から重心の周りに 9090^\circ 回転したときの質点 A の xx 座標を bb とする。bbll で表せ。

Kai

台上で A が斜面に沿って O へ向かう向きと、B が鉛直下向きに動く向きを正とする。両質点の加速度の大きさを α\alpha とおく。

I

A、B の運動方程式はそれぞれ

mα=T+mgsin30,2mα=2mgT\begin{aligned} m\alpha &= T+mg\sin 30^\circ,\\ 2m\alpha &= 2mg-T \end{aligned}

である。両式を加えると

3mα=52mg3m\alpha=\frac{5}{2}mg

なので、

α=56g.\alpha=\frac{5}{6}g.

したがって、

T=13mg\boxed{T=\frac{1}{3}mg}

を得る。

II

A が O に達するまでに斜面上を進む距離は aa である。静止状態から等加速度運動するので、速さを vv とおくと

v2=2αa=53ga,v=5ga3.v^2=2\alpha a=\frac{5}{3}ga, \qquad v=\sqrt{\frac{5ga}{3}}.

A は xx 軸から下向きに 3030^\circ の方向へ進み、B は鉛直下向きに進む。したがって、A が台端に達した直前の速度は

vA=(32v,12v),vB=(0,v),v=5ga3.\boxed{ \boldsymbol{v}_{A}^{-} = \left( \frac{\sqrt{3}}{2}v,\, -\frac{1}{2}v \right) }, \qquad \boxed{ \boldsymbol{v}_{B}^{-} = (0,-v) }, \qquad v=\sqrt{\frac{5ga}{3}}.

III

t=0t=0 では A は O にあり、糸全体が鉛直になるから、

rA(0)=(0,0),rB(0)=(0,l).\boldsymbol{r}_A(0)=(0,0), \qquad \boldsymbol{r}_B(0)=(0,-l).

台端を離れる瞬間、糸の向きが鉛直方向に切り替わるため、糸の張力による瞬間的な拘束力積が働く。A が受ける下向きの力積の大きさを JJ とすると、力積直後の速度は

vA+=(32v,12vJm),\boldsymbol{v}_A^+ = \left( \frac{\sqrt{3}}{2}v,\, -\frac{1}{2}v-\frac{J}{m} \right), vB+=(0,v+J2m).\boldsymbol{v}_B^+ = \left( 0,\, -v+\frac{J}{2m} \right).

糸が伸びないため、両質点の糸方向の速度は等しい。よって

12vJm=v+J2m,-\frac{1}{2}v-\frac{J}{m} = -v+\frac{J}{2m},

したがって

J=13mv.J=\frac{1}{3}mv.

ゆえに、

vA+=(32v,56v),vB+=(0,56v).\boldsymbol{v}_A^+ = \left( \frac{\sqrt{3}}{2}v,\, -\frac{5}{6}v \right), \qquad \boldsymbol{v}_B^+ = \left( 0,\, -\frac{5}{6}v \right).

III.1

重心 G の位置を基準にすると、t=0t=0 における相対位置は

rA/G=(0,2l3),rB/G=(0,l3).\boldsymbol{r}_{A/G} = \left(0,\frac{2l}{3}\right), \qquad \boldsymbol{r}_{B/G} = \left(0,-\frac{l}{3}\right).

したがって、重心周りの慣性モーメントは

IG=m(2l3)2+2m(l3)2=23ml2.I_G = m\left(\frac{2l}{3}\right)^2 +2m\left(\frac{l}{3}\right)^2 = \frac{2}{3}ml^2.

力積は糸の方向に働くので、重心周りの角運動量を変えない。力積直前の角運動量の zz 成分は

LG,z=m2l332v=33mlv.L_{G,z} = -m\frac{2l}{3}\frac{\sqrt{3}}{2}v = -\frac{\sqrt{3}}{3}mlv.

負号は時計回りを表す。角速度の大きさは

ω=LG,zIG=3v2l=5ga2l.\omega = \frac{|L_{G,z}|}{I_G} = \frac{\sqrt{3}v}{2l} = \boxed{\frac{\sqrt{5ga}}{2l}}.

III.2

重心の初期位置と初速度は

RG(0)=(0,2l3),\boldsymbol{R}_G(0) = \left(0,-\frac{2l}{3}\right), VG(0)=mvA++2mvB+3m=(36v,56v).\boldsymbol{V}_G(0) = \frac{m\boldsymbol{v}_A^++2m\boldsymbol{v}_B^+}{3m} = \left( \frac{\sqrt{3}}{6}v,\, -\frac{5}{6}v \right).

したがって、重心は

RG(t)=(36vt,2l356vt12gt2)\boldsymbol{R}_G(t) = \left( \frac{\sqrt{3}}{6}vt,\, -\frac{2l}{3}-\frac{5}{6}vt-\frac{1}{2}gt^2 \right)

と運動する。

A は重心から距離 2l/32l/3 の位置を時計回りに角速度 ω\omega で回転するので、

rA/G(t)=(2l3sinωt,2l3cosωt).\boldsymbol{r}_{A/G}(t) = \left( \frac{2l}{3}\sin\omega t,\, \frac{2l}{3}\cos\omega t \right).

以上より、A の座標は

xA(t)=36vt+2l3sinωt,yA(t)=2l356vt12gt2+2l3cosωt\boxed{ \begin{aligned} x_A(t) &= \frac{\sqrt{3}}{6}vt +\frac{2l}{3}\sin\omega t,\\ y_A(t) &= -\frac{2l}{3} -\frac{5}{6}vt -\frac{1}{2}gt^2 +\frac{2l}{3}\cos\omega t \end{aligned} }

ただし

v=5ga3,ω=5ga2lv=\sqrt{\frac{5ga}{3}}, \qquad \omega=\frac{\sqrt{5ga}}{2l}

である。

III.3

9090^\circ 回転する時刻は

t90=π2ω=πl3vt_{90} = \frac{\pi}{2\omega} = \frac{\pi l}{\sqrt{3}v}

である。このとき sin(ωt90)=1\sin(\omega t_{90})=1 なので、

b=36vt90+2l3=πl6+2l3.\begin{aligned} b &= \frac{\sqrt{3}}{6}v t_{90} +\frac{2l}{3}\\ &= \frac{\pi l}{6} +\frac{2l}{3}. \end{aligned}

したがって、

b=4+π6l\boxed{b=\frac{4+\pi}{6}l}

となる。

Reference