東京大学 工学系研究科 2025年8月実施 化学 第1問
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GPT-5.6 Sol
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物理化学に関する次の I から III に答えよ。
0≤x≤l の一次元無限深井戸内を運動する電子を考える。井戸内のポテンシャルエネルギーは 0、井戸外では無限大であり、
−8π2mh2dx2d2ψ(x)=Eψ(x)
を満たす。一般解を
ψ(x)=Acos(αx)+Bsin(αx),α2=h28π2mE
とし、境界条件を ψ(0)=ψ(l)=0 とする。
- エネルギー固有値が
En=8ml2n2h2(n=1,2,3,…)
となることを示せ。
-
規格化条件から A、B を決定せよ。
-
図示された 11 個の共役二重結合をもつ β-カロテンについて、22 個の π 電子が共役結合の全長 L の一次元井戸内を運動すると近似する。HOMO-LUMO 遷移の吸収波長 λ を L,m,h,c で表せ。図示された分子は次の構造である。
Rendering structure…
CC1=C(C(CCC1)(C)C)/C=C/C(=C/C=C/C(=C/C=C/C=C(\C)/C=C/C=C(\C)/C=C/C2=C(C)CCCC2(C)C)/C)/C
均一な固体触媒表面で、次の素反応による CO 酸化を考える。σ は空きサイト、吸着種間の相互作用はないものとする。以下の反応式では空きサイト σ を * と略記する。
CO+⋅CO⋅,OX2+2⋅2O⋅,CO⋅+O⋅COX2⋅+⋅,COX2⋅COX2+⋅.
第 1、第 2、第 4 式の平衡定数をそれぞれ KCO、KO2、KCO2 とし、各気体の分圧を PCO、PO2、PCO2 とする。
-
等温・等圧条件で CO の吸着が発熱反応になることを Gibbs 自由エネルギーから説明せよ。
-
CO のみが吸着するとき、
θCO′=1+KCOPCOKCOPCO
となることを示せ。
- CO、O、CO2 が競争的に吸着し、表面反応が律速で
r=kθCOθO
と表されるとき、r を平衡定数、分圧および k で表せ。
III
次の酵素反応を考える。
E+SES,ESE+P.
-
ES の解離定数を KS、最大反応速度を Vmax、基質濃度を [S] とし、結合反応を平衡とみなす。反応速度 v を求めよ。
-
阻害剤 I が次のいずれか一方の反応を起こす場合について、速度式と Lineweaver-Burk プロットの概形を示せ。
E+I⇌EI,ES+I⇌ESI.
Kai
I.1
ψ(0)=0 より A=0 である。非自明解では B=0 なので、ψ(l)=0 から
sin(αl)=0,αl=nπ
を得る。したがって、
α=lnπ.
これを α2=8π2mE/h2 に代入すると、
En=8ml2n2h2(n=1,2,3,…).
I.2
全体の位相は任意なので B>0 を選ぶ。規格化条件より、
1=∫0l∣ψn(x)∣2dx=B2∫0lsin2(lnπx)dx=B22l.
よって、
A=0,B=l2
であり、
ψn(x)=l2sin(lnπx).
B の符号を反転しても同じ物理状態を表す。
I.3
各準位にはスピンの異なる電子が 2 個ずつ入る。22 個の π 電子では
nHOMO=11,nLUMO=12.
したがって、遷移エネルギーは
ΔE=E12−E11=8mL2(122−112)h2=8mL223h2.
光子エネルギー hc/λ と等しいので、
λ=23h8mcL2.
II.1
等温・等圧過程では
ΔG=ΔH−TΔS.
気相の CO が表面に局在すると並進自由度が失われるため、吸着のエントロピー変化は ΔS<0 である。吸着が自発的に進む範囲では ΔG<0 だから、
ΔH=ΔG+TΔS<0.
平衡点でも ΔG=0 より ΔH=TΔS<0 である。したがって吸着は発熱反応である。
II.2
空きサイトの被覆率を θ∗ とする。CO 吸着平衡から
KCO=PCOθ∗θCO′.
CO だけが吸着する場合のサイト収支は
θ∗+θCO′=1
である。したがって、
θCO′=KCOPCO(1−θCO′),
これを解けば
θCO′=1+KCOPCOKCOPCO.
II.3
各平衡式から、
θCO=KCOPCOθ∗,
θO=KO2PO2θ∗.
CO2 の平衡定数は脱離反応を記述するため、
KCO2=θCO2PCO2θ∗,θCO2=KCO2PCO2θ∗.
サイト収支
θ∗+θCO+θO+θCO2=1
より、
θ∗=1+KCOPCO+KO2PO2+PCO2/KCO21.
よって、
r=(1+KCOPCO+KO2PO2+PCO2/KCO2)2kKCOPCOKO2PO2.
III
III.1
全酵素濃度を [E]0 とすると、
KS=[ES][E][S],[E]0=[E]+[ES].
したがって、
[ES]=KS+[S][E]0[S].
生成反応の速度定数を k2 とし、Vmax=k2[E]0 とおけば、
v=KS+[S]Vmax[S].
III.2 式 (12) の阻害
KI=[EI][E][I],α=1+KI[I]
とおく。阻害剤は遊離酵素だけに結合するので、競争阻害となり、
v=αKS+[S]Vmax[S].
逆数を取ると、
v1=VmaxαKS[S]1+Vmax1.
阻害の有無で y 切片 1/Vmax は同じであり、阻害時には傾きが増す。
1/v
^
| / 式 (12) あり
| /
| /
| / 阻害なし
| /
| *
| |
+----------+------------------> 1/[S]
0
III.2 式 (13) の阻害
KI′=[ESI][ES][I],α′=1+KI′[I]
とおく。阻害剤は ES だけに結合するので、不競争阻害となり、
v=KS+α′[S]Vmax[S].
したがって、
v1=VmaxKS[S]1+Vmaxα′.
傾きは阻害なしの場合と同じで、y 切片だけが α′/Vmax に増加するため、2 本の直線は平行になる。
1/v
^
| / 式 (13) あり
| /
| /
| / 阻害なし
| /
| /
+--------------------------------> 1/[S]
Reference