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東京大学大学院 工学系研究科 電気系工学専攻 傾向と対策

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電気情報の森・s2

院試の全体

第1問は、最も選択される科目の一つではないかと思います。 電気系の学部出身者ならば必ず受講する科目ですので、選択しやすいと思います。問題にも癖が無いため、オススメです。 ただ、電磁波も試験範囲に入ります。京大、阪大、名大など、出題されない大学も多い中、東大は出題します。 このため、他大学と比較して試験範囲は広めかと思います。

第1問同様、第2問も最も選ばれる科目の一つではないかと思います。 電気回路、電子回路は各大学の必修科目のため、0から学習することはほぼ無いと思います。 ただ、電磁気学と同様に、他大と比較して試験範囲が広いです。 具体的には、分布定数回路が試験範囲に入っています。こちらの個別対策が必要です。

第3問は、第4問と似ています。他の分野と比較して初学の学習コスト(時間)があまりかかりません。 情報理論と信号処理(アナログ/ディジタル)の2題で構成されています。講義として3個分です。 信号処理(アナログ)は、フーリエ変換を利用することが殆どで、数学の前提知識が利用できます。よって、実質的には2.5個分の講義を勉強することになります。

第4問は、他の分野と比較して初学の学習コスト(時間)があまりかかりません。 プログラミングで疑似コードを記載する問題が出題されるものの、2講義分抑えておけば全範囲網羅できます。 一方で、第1問、第2問は、講義として3~4個分該当するため、範囲が広いです。(その分対策書は豊富にあります。時間があればこちらを選択すると良いかもしれません。) 電磁気、電気回路と比較して学習コストが少なく、ある程度の点が取れるまで早いと思います。しかし、下記の分野が出題されたとき、点数が取りにくいかもしれません。

  • 論理回路:論理関数の簡単化
  • アルゴリズム論:動的計画法

論理回路は、2016年のように論理関数の簡単化が出題されることがあります。この時は、傾向から外れます。東北大の院試(情報基礎1)が近いので、時間があれば対策すると良いです。 アルゴリズム論は、動的計画法が出題されたときは要注意です。どのような最適化問題が出題されるか分からないからです。計算も複雑で、プログラムを読み解く時間もかかります。 他科目の完成度にもよりますが、この時は別の大問を選択した方が良いかもしれません。

第5問は、電子系の研究を志す学生の方にオススメです。院試合格後も引き続き使用する知識が多いからです。 一方で、電力系の研究を志す場合はあまりオススメしません。特に、量子力学はブラケット演算子の計算も試験範囲に入っているため、学習コストがそれなりにかかります。

第6問を選択する場合、多くの勉強時間が必要です。 制御工学は古典制御のみです。しかし、電気エネルギー工学は、電気機器と電力系統工学、高電圧工学の3分野が試験範囲です。 合計4分野必要で、前提となる電磁気学、電気回路を踏まえるとそれ以上の知識が求められます。 併願先の他大学でも使用するならば選択の余地はありますが、個人的にはあまりお勧めしません。 ただし、問題の難易度は他科目と変わらず、勉強時間が十分に取れれば得点源になり得ます。

傾向と対策

傾向

  • 2023年:
    • 電磁気学: 同軸ケーブル内の電場分布。ボイドが発生したときの振る舞い。鏡像法を用いた対地導体の自己インダクタンスの算出。
    • 電気回路、電子回路: 変圧器等価回路の作図。RLC回路の過渡現象。RC MOSFET回路の周波数特性。発振条件。
    • 情報理論、信号処理: 2元対称通信路の容量。連続時間信号のフーリエ変換。インパルス応答。エネルギーの算出。
    • 論理回路: 論理関数と完全系。6進カウンタ。
    • アルゴリズム論: ここ3年は、2分木探索、ハッシュ法を用いたデータ探索で、平易な問題が続きます。
    • 量子力学、半導体デバイス: トンネル効果の導出。ショットキー接合。
    • 制御工学、電気エネルギー工学:
      • 制御:ラプラス変換の計算と系の伝達関数の導出。根軌跡の作図。
      • 電気エネルギー:3相交流と単相3線式の違い
  • 2022年:
    • 電磁気学: 荷電粒子の運動。円柱導体、コンデンサの電場、磁場、エネルギーの流れ
    • 電気回路、電子回路: 分布定数回路の回路解析。MOSFETの特性、回路解析
    • 情報理論、信号処理: 無記憶情報源のエントロピー、情報量の計算。アナログフィルタを用いた変調、復調
    • 論理回路: 全加算器を利用した数値A,Bの和を求める問題
    • 量子力学、半導体デバイス: 井戸型ポテンシャルにおける電子の状態。バンド構造。
    • 制御工学、電気エネルギー工学:
      • 制御:伝達関数の簡単化。単位ステップ応答。位相補償と偏差。
      • 電気エネルギー:電力円線図と安定可能な相差角の範囲。
  • 2021年:
    • 電磁気学: 鏡像法。磁場中を回転する導体のベクトルポテンシャル、相互インダクタンス
    • 電気回路、電子回路: LRC回路のフェーザ計算、過渡現象。MOSFETの回路解析
    • 情報理論、信号処理: 状態遷移行列のエントロピー計算。アナログフィルタを用いた変調、復調
    • 論理回路: 数値の大小比較により、大きい方の数値を出力する問題
    • 量子力学、半導体デバイス: ハミルトニアンを利用した各パラメータの計算。pn接合の空乏層の計算。
    • 制御工学、電気エネルギー工学:
      • 制御:伝達関数の簡単化。位相補償と偏差。
      • 電気エネルギー:直流電動機の回路計算
  • 2020年:
    • 電磁気学: コンデンサに電圧をかけた時の特性。仮想変位。電磁波の透過、反射
    • 電気回路、電子回路: LRC回路のフェーザ計算。MOSFETの回路解析
    • 情報理論、信号処理: エントロピー、情報量の計算。ディジタルフィルタの伝達関数の計算
    • 論理回路: 状態遷移図を用いたJKフリップフロップ順序回路の設計
    • 量子力学、半導体デバイス: 階段ポテンシャルに電子が入射したときのパラメータ計算。バンド構造を用いた伝導帯へ励起する電子の密度。
    • 制御工学、電気エネルギー工学:
      • 制御:伝達関数とボード線図の作図。入力電圧からモータへの出力を模擬したシステムの伝達関数
      • 電気エネルギー:無し

対策に使える教科書、サイト

  • 電磁気学:
  • 電気回路、電子回路:
  • 情報理論、信号処理:
    • 情報理論 今井秀樹 (著)
    • 情報理論のエッセンス 平田廣則 (著)
    • OHM大学テキスト通信方式 梅原大祐 (著), 山本高至 (著), 村田英一 (著), 田野哲 (著), 守倉正博 (編集)
    • 新しい信号処理の教科書: 信号処理の基本から深層学習・グラフ信号処理まで 馬場口登 (著), 中村和晃 (著)
    • Python対応 ディジタル信号処理 阿部正英 (著), 八巻俊輔 (著), 川又政征 (著), 樋口龍雄 (監修)
  • 論理回路:
    • 論理回路入門 坂井修一 (著); 東大の指定教科書です。東大に特化した院試対策を行うならば、選択した方が良いです。
    • ビジュアル論理回路入門 井澤裕司 (著)
    • コンピュータハードウェア 富田眞治 (著), 中島浩 (著)
  • アルゴリズム論:
    • Cによるアルゴリズムとデータ構造 茨木俊秀 (著); 京大、東北大講義の指定教科書です。
    • アルゴリズムとデータ構造 (岩波講座 ソフトウェア科学3) 石畑清 (著); 東大の講義指定教科書です。
  • 量子力学、半導体デバイス:
    • 量子力学(I)(新装版) (基礎物理学選書) 小出昭一郎 (著)
    • 量子力学キャンパス・ゼミ 改訂5 馬場敬之 (著)
    • 半導体デバイス入門: その原理と動作のしくみ 柴田直 (著)
    • 絵から学ぶ半導体デバイス工学 谷口研二 (著), 宇野重康 (著)
  • 制御工学、電気エネルギー工学:
    • 制御工学の基礎 大西公平(著), 堀洋一(著)
    • 自動制御理論 樋口龍雄(著)
    • 大学院入試徹底対策テキスト 制御工学 森泰親(著) (オススメ)
    • 電力系統工学 長谷川淳 (著)
    • 送配電の基礎 山口純一 (著), 中村格 (著), 湯地敏史 (著)
    • 電気機器学基礎 仁田旦三 (著), 古関隆章 (著)
    • よくわかる電気機器 森本雅之 (著)
    • みんなが欲しかった! 電験三種 機械の実践問題集
    • 高電圧工学[第2版] (新・電気システム工学 TKE 13)

対策に使える他大学の問題

  • 電磁気学:
    • ガウスの法則(積分形)を用いた電場計算: 東工大など様々な大学
    • アンペールの法則(積分形)を用いた磁場計算: 東工大など様々な大学
    • マクスウェル方程式からの電場、磁場計算: 阪大
    • 荷電粒子の計算: 東工大、阪大
    • 電磁波の透過、反射の計算: 京大(通信情報、電波工学) 東北大、神戸大
  • 電気回路、電子回路:
    • フェーザ回路の計算: 東工大など様々な大学
    • 過渡現象: 東工大など様々な大学
    • 2端子対回路: 東工大、京大(通信情報)
    • 分布定数回路: 東工大、東北大
    • 電子回路(BPP、MOSFET、オペアンプ): 東工大、阪大
  • 情報理論、信号処理: (太字: オススメ)
    • 情報理論: 京大(通信情報)阪大、名大
    • アナログ信号処理: 京大(通信情報)、東北大(通信工学)
    • ディジタル信号処理: 阪大、電通大
  • 論理回路:
    • 全加算器を用いた2進数の計算:名大、東北大、電通大
    • 比較器の設計:電通大
    • カウンタの設計:京工繊
  • アルゴリズム論:
    • 2分木探索:阪大(電気電子情報通信工学専攻) 電通大
    • ハッシュ法:阪大(電気電子情報通信工学専攻)
  • 量子力学、半導体デバイス: (太字: オススメ)
    • 量子力学:阪大(量子電子物性)、東北大(物理専門)、北大(情報エレク)
    • 半導体デバイス:阪大(量子電子物性)、九大、北大
  • 制御工学:
    • 2次形式の計算:阪大
    • ゲインを大きくしたときの振る舞いの考察:東大の過去問
    • 根軌跡:阪大