東京大学 工学系研究科 電気系工学専攻 2021年8月実施 問題3 情報工学I
Author
donguri0912
Description
情報理論に関する以下の問に答えよ.無記憶情報源 X={0,1} における i 番⽬ (ただし i=1,2,3,⋯) の信号を Xi とし,Xi=0 となる確率を p,Xi=1 となる確率を 1−p とする.近似値として log23=1.6,log25=2.3,log27=2.8 を⽤いてよい.
(1) p=0.75 のときのエントロピー H(X) を求めよ.
(2) p=0.75 のとき, X の連続した 2 つの信号をひとまとめにした {00,01,10,11} の 4 値を効率よく符号化したい.符号化の例を示し,そのときの平均符号長を求めよ.
X を⼊⼒とする無記憶通信路 C を考える.その出⼒を Y={0,1}, i 番⽬の出⼒信号を Yi したとき,80% の確率で Yi=Xi となるが,20% の確率で Xi にかかわらず Yi=1 となる.
(3) p=0.75 のときのエントロピー H(Y) を求めよ.また,相互情報量 I(X;Y) を求めよ.
(4) I(X;Y) を最⼤化する p は 0.5 より⼤きいか⼩さいか答えよ.根拠も簡潔に述べよ.
信号処理に関する以下の問に答えよ.時間 t および⾓周波数 ω は実数,j は虚数単位であり,複素数 a の複素共役を a∗ と表す.また,複素関数 x(t) のフーリエ変換 X(ω) とそのフーリエ逆変換を次式で定義する.
X(ω)x(t)=F[x(t)]=∫−∞∞x(t)e−jωtdt=F−1[X(ω)]=2π1∫−∞∞X(ω)ejωtdω(i)(ii)
(1) F−1[X∗(ω)]=x∗(−t) が成り立つことを示せ.
(2) x(t) が実関数のとき,X∗(ω)=X(−ω) が成り立つことを示せ.
アナログフィルタ Aのインパルス応答を実関数 f(t) で表す.A の応答が因果律を満たすことから,t<0 において f(t)=0 である.また,F(ω)=F[f(t)] の実部および虚部をそれぞれ F1(ω),F2(ω) とおくと,F(ω)=F1(ω)+jF2(ω) である.
(3) f1(t)=F−1[F1(ω)] を,f(t) を⽤いて表せ.
(4) f2(t)=F−1[F2(ω)] を,f(t) を⽤いて表せ.
(5) F1(ω) が既知で F2(ω) が未知のとき,フーリエ変換とフーリエ逆変換を⽤いることで F1(ω) から F2(ω) を求めることができる.その⼿続きを 3 ⾏程度で説明せよ.必要に応じて図や式を⽤いても良い.
ある実信号 s1(t) の⾓周波数帯域が ∣ω∣≤ωB である,すなわち,∣ω∣>ωB のとき F[s1(t)]=S1(ω)=0 とする.この信号により⾓周波数 ωC(≫)ωB の搬送波を変調する状況を考える.
(6) 実信号 d(t)=s1(t)cosωCt のフーリエ変換 D(ω)=F[d(t)] を S1(ω) を⽤いて表せ.また,D(ω) の⾓周波数帯域が ωC−ωB≤∣ω∣≤ωC+ωB となることを示せ.
(7) s1(t) が既知であれば,適切な実信号 s2(t) を準備し,実信号 u(t)=s1(t)cosωCt+s2(t)sinωCt を⽣成することで,U(ω)=F[u(t)] の⾓周波数帯域を ωC≤∣ω∣≤ωC+ωB に制限することができる.s1(t) から s2(t) を求める⼿続きを 3 ⾏程度で説明せよ.必要に応じて図や式を⽤いても良い.
Kai
(1)
-(0.75 log 0.75 + 0.25 log 0.25) = 0.8
(2)
下図は一例。
───┬─0────────── 0 : 00 = 9/16
└─1─┬─0────── 10 : 01 = 3/16
└─1─┬─0── 110: 10 = 3/16
└─1── 111: 11 = 1/16
平均符号長は
(9/16)+(3/16)∗2+(3/16)∗3+(1/16)∗3=27/16=1.6
(3)
X Y
0.25: 1 ─────── 1 : 0.25 + 0.75 * 20% = 0.40
─┐ 0.75 * 20%
/
/
0.75: 0 ─────── 0 : 0.75 * 80% = 0.60
Yで、1となる確率は 0.25 + 0.75 * 20% = 0.40
(もしくは 80% * 0.25 + 20% = 0.40か。
最初こう考えたが図で表しづらく他に応用が利かないと思った。)
よって、H(Y) = -(0.4 log 0.4 + 0.6 log 0.6) = 0.94
また、
H(Y|X) = -(0.25 log 100% + (0.75*20%) log 20% + (0.75*80%) log 80%) = 0.53
I(X; Y) = H(Y) - H(Y|X) = 0.41
(H(Y(X)、I(X; Y)は計算機と答えが違う))
(4)
I(X;Y)=H(Y)−H(Y∣X)=H(0.8p)−pH(0.2)
これが最大となるのは dpdI(X;Y)=0 となるときである。
dpdI(X;Y)=−0.8log0.8p−loge20.8+0.8log(1−0,8p)+loge20.8−H(0.2)=0.8log0.8p1−0.8p−H(0.2)=0
p=0.8(20.8H(0.2)+1)1=0.8(20.80.7+1)1<0.8(20.7+1)1=0.8(22.3−1.6+1)1=0.8(5/3)+11=0.47<0.5
よって最大となる p は 0.5 より小さい。ただし、H の筆記体はエントロピー関数。
(1)
F−1[X∗(ω)]=2π1∫X∗(ω)ejωtdω={2π1∫X(ω)ejω(−t)dω}∗=x∗(−t)
(2)
X∗(ω)={∫x(t)e−jωtdt}∗=∫x(t)e−j(−ω)tdt=X(−ω)
(3)
f1(t)=F−1[2F(ω)+F∗(ω)]=2F−1[F(ω)]+F−1[F∗(ω)]=2f(t)+f∗(−t)=2f(t)+f(−t)
(4)
f2(t)=F−1[2jF(ω)−F∗(ω)]=2jF−1[F(ω)]−F−1[F∗(ω)]=2jf(t)−f∗(−t)=2jf(t)−f(−t)
(5)
t<0 において、f(t)=0 となることから、t>0 において (3) より
F−1[F1(ω)]=f1(t)=f(t)/2,t=0 のとき F−1[F1(ω)]=f1(t)=f(t) となる。よって、
f(t)=⎩⎨⎧2F−1[F1(ω)],F−1[F1(ω)],0,t>0t=0t<0
これの逆フーリエ変換 F(ω) から F2(ω)=2jF(ω)−F∗(ω) または F2(ω)=jF(ω)−F1(ω) を計算すればよい。
(6)
D(ω)=F[s1(t)cosωCt]=S1(ω)∗{21δ(ω−ωC)+21δ(ω+ωC)}=21S1(ω−ωC)+21S1(ω+ωC)
ただし、∗ は畳み込み積分である。
帯域は、∣ω−ωC∣≤ωB または ∣ω+ωC∣≤ωB に広がり、簡単化すると、
−ωB≤ω−ωC≤ωB または −ωB≤ω+ωC≤ωB
ωC≫ωB より 0≤ωC−ωB≤ω≤ωC+ωB または −(ωC+ωB)≤ω≤−(ωC−ωB)≤0
よって ωC−ωB≤∣ω∣≤ωC+ωB
(7)
U(ω)=F[s1(t)cosωCt+s2(t)sinωC]=21{S1(ω−ωC)+j1S2(ω−ωC)}+21{S1(ω+ωC)−j1S2(ω+ωC)}
ここで S2(ω)=jsgn(ω)S1(ω) とすると、
U(ω)=⎩⎨⎧S1(ω−ωC)+S1(ω+ωC),21S1(0),0,ωC<∣ω∣≤ωC+ωB∣ω∣=ωCωC−ωB≤∣ω∣<ωC
となる。
よって、 F−1[jsgn(ω)]=−πt1 であるから、s2=F−1[S2(ω)]=−s1(t)∗πt1 とすればよい。