東京大学 工学系研究科 電気系工学専攻 2020年8月実施 問題3 情報工学I
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I.
情報理論に関する以下の問に答えよ.
遷移の間,
(1)
(2) 試⾏を⼗分な回数繰り返した後,それぞれ状態
(3)
(4)
- (4-i) 最も効率の良い符号を設計せよ。
- (4-ii) (4-i)で設計した符号の符号化効率について、定量化する⽅法について述べよ.
II.
信号処理に関する以下の問に答えよ.連続時間信号
で与えられる.その逆フーリエ変換は
で与えられる.単位インパルス関数
で表される.周期
で表される.
(1) 連続実時間信号
(2) 単位インパルス関数のフーリエ変換を求めよ.
(3) 信号
であるとする.
(4) 周期
のように⽰すことができる.
- (4-i)
の複素フーリエ級数展開を表せ. - (4-ii)
のフーリエ変換を としたとき, が周期インパルス列からなることを⽰せ.
(5) 連続実時間信号
- (5-i) 標本化された信号から
をどのように復元すればよいか,数⾏程度で説明せよ.必要に応じて Eq.(iv) から (vi) を⽤いてよい. - (5-ii) 標本化された信号から
が復元できるときの条件を⽰せ.
Kai
I.
(1)

(2)
これを解いて、
解き方は次のよう。
これを拡大係数行列にして解く。
ちなみにここで、各行の一列だけにマイナスがついていることを確認しておくこと。これは簡単なチェックであるが、しなかったせいで永遠に答えが出なかった筆者の反省である。上三角行列を作っていくが、変数が
が作れる。
よくよく考えてみると、マルコフ遷移だから、
この後は、次のように求まる。
とまあ、ここではきちんと順を追って書いたが、紙の上だと適当で、字が汚い筆者はそれで計算ミスをしたりする。院試では時間はたっぷりあるから、計算ミスで時間を取られるよりかは一個一個順を追ったほうがいいのかなあと思ったり思わなかったり。
ところで、一番最初の拡大係数行列で「一列だけマイナスになっていることを確認する」というチェックの方法を述べたが、ほかにもチェックの方法はある。一つは、先ほど述べたように
(3)
なお、ここで次で定義されるのは一次エントロピーである。
これは無記憶情報源と見たときのエントロピーと同じである。マルコフ情報源は記憶があるから、エントロピーがこれよりも小さくなる。
(4)
(4-i)

面倒くさかったから全て分数&分母を
(4-ii)
1情報源記号あたりの平均符号長で測る。
これが(3)のエントロピーに近いほど符号化効率が良い。
情報源記号というのは
II.
(1)
(2)
ここで言っている「定義」というのは一般的なディラックのデルタ関数の定義である。ネットでは、この一般的な「定義」からフーリエ変換を導く例はあったが、問題で与えられている
が、ここまで真面目に解かなくても、単に
(3)
単位インパルスである
波形は省略 (
(4)
(4-i)
(4-ii)
(4)は
(5)
(5-i)
サンプリング周波数
これのスペクトルは
となる。元のスペクトル
つまり、標本化された信号に
(5-ii)
(5-i)で言及したように、x(t)の帯域がサンプリング周波数の 1/2 未満である必要がある。
(5-i) が解けなくても、サンプリング定理を説明すればよい。以下ではなく未満とするのが正しそう。