東京大学 工学系研究科 化学システム工学専攻 2022年8月実施 第1問(物理化学1)
Author
祭音Myyura (Based on Miyake's answer refined with GPT 6 Astra)
Description
1.00mol の単原子分子からなる理想気体について以下の問に答えよ。必要であれば気体定数 R=8.31JK−1mol−1、1atm=1.01×105Pa、次の定積モル比熱の式 [1] を用いよ。
CV,m=23R([1])
(1) この理想気体が、圧力 P1=4.00atm から P2=2.00atm まで温度 T=280K で等温膨張するとき、以下の問に答えよ。
i) この過程が可逆膨張のとき、気体に流入する熱量 q1、環境が気体にする仕事 w1、内部エネルギーの変化 ΔU1、エントロピーの変化 ΔS1 をそれぞれ計算せよ。
ii) この過程が外部圧力 Pext=2.00atm のもと膨張する不可逆過程であるとき、気体に流入する熱量 q2、環境が気体にする仕事 w2、内部エネルギーの変化 ΔU2、エントロピーの変化 ΔS2 をそれぞれ計算せよ。
iii) ΔS1 と ΔS2 が同じまたは異なる理由を 80 字程度で説明せよ。
(2) この理想気体の加熱過程について以下の問に答えよ。ただし初期状態での圧力と温度は P=1.00atm、T=280K とする。
i) 体積一定のもと、400K まで可逆的に加熱したときの圧力 P3、内部エネルギーの変化 ΔU3、気体に流入する熱量 q3、環境が気体にする仕事 w3 をそれぞれ計算せよ。
ii) 圧力一定のもと、400K まで可逆的に加熱したとき、気体に流入する熱量 q4、エンタルピーの変化 ΔH4、内部エネルギーの変化 ΔU4 をそれぞれ計算せよ。
古典熱力学では物理量の関係式が経験則に基づいて与えられる場合が多い。それらの関係式は、統計熱力学では微視的状態を考慮することで導出できる。
質量 m、位置 ri (i=1,…,N)、運動量 pi (i=1,…,N) の N 個の単原子分子からなる理想気体を考える。体積 V、温度 T のカノニカルアンサンブルについて、以下の問に答えよ。h はプランク定数、kB はボルツマン定数、β=(kBT)−1 とする。
(1) 上記の理想気体のエネルギーは運動エネルギーのみであることを踏まえ、この理想気体のエネルギー E を記述せよ。
(2) カノニカル分配関数 Z の一般式を記述せよ。
(3) 問 (1) で表したエネルギーを問 (2) の分配関数 Z に代入することでこの系の分配関数が式 [2] となることを示せ。ただし、エネルギー準位を連続として扱うこととする。∑ を位置と運動量の積分に変換する場合は、ハイゼンベルクの不確定性原理より式 [3] に示すようにプランク定数が現れることに注意せよ。下記の式 [4] を使用してもよい。
Z=N!1{V(h2β2πm)3/2}N([2])
∑=∫h3Ndr1⋯drNdp1⋯dpN([3])
∫−∞∞e−αx2dx=απ([4])
カノニカルアンサンブルでは分配関数 Z が求まると、様々な物理量を Z から求めることができる。
(4) 式 [2] の分配関数 Z と、圧力 P の期待値 ⟨P⟩ が式 [5] となることを用いて、理想気体の状態方程式を導出せよ。
⟨P⟩=β1∂V∂lnZ([5])
(5) 式 [2] の分配関数 Z と式 [6] を用いてエネルギーの期待値 ⟨E⟩ を求めよ。
⟨E⟩=−∂β∂lnZ([6])
(6) 問 (5) の解を用いて定積比熱 CV を導出せよ。また得られた CV をもとに定積モル比熱 CV,m が式 [1] と一致することを示せ。
(7) 問 (6) で求めた定積モル比熱 CV,m は希ガスの室温での実験値とよく一致する。しかし O2 などの二原子分子の場合は合わない。その理由を 150 字程度で説明せよ。
题目描述
考虑 1.00mol 单原子分子组成的理想气体,回答以下问题。需要时可使用气体常数 R=8.31JK−1mol−1、1atm=1.01×105Pa,以及式 [1] 给出的定容摩尔热容。
CV,m=23R.([1])
(1) 该理想气体在温度 T=280K 下从压强 P1=4.00atm 等温膨胀至 P2=2.00atm,回答下列问题。
i) 若为可逆膨胀,分别计算流入气体的热量 q1、环境对气体做的功 w1、内能变化 ΔU1 和熵变 ΔS1。
ii) 若为在外压 Pext=2.00atm 下膨胀的不可逆过程,分别计算流入气体的热量 q2、环境对气体做的功 w2、内能变化 ΔU2 和熵变 ΔS2。
iii) 用约 80 字解释 ΔS1 与 ΔS2 相同或不同的原因。
(2) 回答有关该理想气体加热过程的问题。初态压强、温度分别为 P=1.00atm、T=280K。
i) 在体积不变的条件下,可逆地加热至 400K。分别计算终态压强 P3、内能变化 ΔU3、流入气体的热量 q3 和环境对气体做的功 w3。
ii) 在压强不变的条件下,可逆地加热至 400K。分别计算流入气体的热量 q4、焓变 ΔH4 和内能变化 ΔU4。
经典热力学中,物理量之间的关系常由经验定律给出。统计热力学则可通过考虑微观状态来导出这些关系。
考虑由 N 个单原子分子组成的理想气体,分子质量为 m、位置为 ri (i=1,…,N)、动量为 pi (i=1,…,N)。对于体积 V、温度 T 的正则系综,回答以下问题。h 为普朗克常数,kB 为玻尔兹曼常数,β=(kBT)−1。
(1) 该理想气体的能量仅为动能,据此写出其能量 E。
(2) 写出正则配分函数 Z 的一般表达式。
(3) 将问 (1) 的能量表达式代入问 (2) 的配分函数,证明该系统的配分函数为式 [2]。将能级视为连续。将求和 ∑ 转换为位置与动量积分时,注意由于海森堡不确定性原理,式 [3] 中会出现普朗克常数。可使用式 [4]。
Z=N!1{V(h2β2πm)3/2}N.([2])
∑=∫h3Ndr1⋯drNdp1⋯dpN.([3])
∫−∞∞e−αx2dx=απ.([4])
在正则系综中,求得配分函数 Z 后,即可由 Z 求出各种物理量。
(4) 利用式 [2] 的配分函数,以及压强 P 的期望值 ⟨P⟩ 满足式 [5],推导理想气体状态方程。
⟨P⟩=β1∂V∂lnZ.([5])
(5) 利用式 [2] 的配分函数和式 [6],求能量期望值 ⟨E⟩。
⟨E⟩=−∂β∂lnZ.([6])
(6) 利用问 (5) 的结果推导定容热容 CV,并据此证明定容摩尔热容 CV,m 与式 [1] 一致。
(7) 问 (6) 得到的定容摩尔热容 CV,m 与稀有气体室温下的实验值相符,但不适用于 O2 等双原子分子。用约 150 字解释原因。
Kai
I(1)(i)
仕事は気体になされる向きを正とする。等温理想気体では V2/V1=P1/P2=2、ΔU1=0 なので
w1=−∫V1V2VRTdV=−RTln2,q1=−w1=RTln2.
可逆経路に沿って ΔS1=q1/T=Rln2。数値は
q1=1.61×103 J,w1=−1.61×103 J,ΔU1=0,ΔS1=5.76 JK−1.
I(1)(ii)
w2=−Pext(V2−V1)=−P2RT(P21−P11)=−2RT.
ΔU2=0、q2=−w2。初期・終状態は(i)と同じなので、エントロピー変化も同じである。
q2=1.16×103 J,w2=−1.16×103 J,ΔU2=0,ΔS2=5.76 JK−1.
不可逆過程の熱をそのまま T で割った q2/T は、系のエントロピー変化ではない。
I(1)(iii)
エントロピーは状態量であり、変化量は経路によらない。両過程は初期・終状態の温度と圧力が等しいため、可逆・不可逆の違いによらず ΔS1=ΔS2 となる。
I(2)(i)
定積では P/T が一定であり、仕事は0。温度差は 120 K なので
P3=280400(1.00 atm)=1.43 atm,
ΔU3=q3=23R×120=1.50×103 J,w3=0.
I(2)(ii)
単原子理想気体の定圧モル比熱は CP,m=CV,m+R=5R/2。よって
q4=ΔH4=25R×120=2.49×103 J,
ΔU4=23R×120=1.50×103 J.
II(1)
E=i=1∑N2mpi2.
II(2)
物理的に区別される微視的状態を s とすれば
Z=s∑e−βEs.
同種粒子を番号付きの古典位相空間で積分するときは、同じ物理状態を N! 回数えるため、1/N! を掛ける。
II(3)
Z=N!h3N1∫VNd3Nr∫R3Nd3Npexp[−2mβi∑pi2]=N!h3NVN[∫−∞∞e−βp2/(2m)dp]3N=N!1[V(h2β2πm)3/2]N.
II(4)
lnZ=−lnN!+NlnV+(3N/2)ln[2πm/(h2β)] より
⟨P⟩=β1VN,⟨P⟩V=NkBT.
II(5)
⟨E⟩=−∂β∂lnZ=2β3N=23NkBT.
II(6)
CV=(∂T∂⟨E⟩)N,V=23NkB.
物質量を n=N/NA とすれば R=NAkB なので
CV,m=nCV=23R.
II(7)
単原子気体のモデルでは、分子のエネルギーを三方向の並進運動だけに限っている。二原子分子には回転と振動の自由度もある。酸素の室温では通常、二つの回転自由度が熱的に励起されて熱容量に寄与する一方、振動はほぼ凍結している。そのため CV,m は約 5R/2 となり、3R/2 には一致しない。
Reference