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東京大学 工学系研究科 応用化学専攻 2023年8月実施 第2問(無機化学)

Author​

祭音Myyura (Based on ソニア's answer refined with GPT 6 Astra)

Description​

I​

ダイヤモンドはC原子が正四面体の各頂点とその中心に位置する立方晶の結晶構造をとる(図2.1)。氷(H2O\mathrm{H_2O}),SiO2\mathrm{SiO_2},ZnS\mathrm{ZnS} もダイヤモンドに類似した結晶構造をとる場合がある。しかしながら,結合様式の違いから様々な性質を示すことが知られている。以下の問いに答えよ。

図2.1 ダイヤモンドの結晶構造

  1. ダイヤモンドにおけるC原子の充填率を計算せよ。また,その答えに至る過程も示せ。必要があれば以下の値を用いよ。

    3=1.73,π=3.14.\sqrt3=1.73,\qquad \pi=3.14.
  2. ダイヤモンドは無色透明である。その理由を説明せよ。

  3. CO2\mathrm{CO_2} は,常圧下の固体状態において,O=C=O\mathrm{O{=}C{=}O} の構造が安定である。一方,SiとCは同じ14族であるが,SiO2\mathrm{SiO_2} では O=Si=O\mathrm{O{=}Si{=}O} の構造は不安定である。その理由を説明せよ。

  4. 一般に常圧下では,固体である氷の結晶構造には液体の水には無い隙間があることから,氷は水よりも密度が低い。なぜ氷の結晶においては隙間が生じているのか,その理由を説明せよ。

  5. ZnS\mathrm{ZnS} は常温・常圧下で 3.6 eV3.6\ \mathrm{eV} のバンドギャップを有する半導体である。ZnS\mathrm{ZnS} にAlをドーピングすると導電性が生じる。その理由を説明せよ。ただし,一部のZnがAlにより置換されるものとする。

II​

15族元素の水素化物(MH3\mathrm{MH_3}:M=N,P,As,Sb,Bi\mathrm{M=N,P,As,Sb,Bi})は三角錐型の構造をとり,常温・常圧下ではすべて気体状態をとる。以下の問いに答えよ。

  1. アンモニア NH3\mathrm{NH_3} の分子構造について,その対称要素と点群を答えよ。

  2. 図2.2に示すように,15族元素の MH3\mathrm{MH_3} の沸点は,周期によって特徴的に変化する。PH3\mathrm{PH_3} のとき最低値をとる理由を14族元素の水素化物の沸点と比較して説明せよ。

  3. MH3\mathrm{MH_3} の結合角について以下の問いに答えよ。

    (i) NH3\mathrm{NH_3} の結合角(107.8∘107.8^\circ)は,正四面体構造をとる CH4\mathrm{CH_4} の結合角(109.5∘109.5^\circ)よりわずかに小さい。その理由を説明せよ。

    (ii) PH3\mathrm{PH_3},AsH3\mathrm{AsH_3},SbH3\mathrm{SbH_3},BiH3\mathrm{BiH_3} の結合角は,NH3\mathrm{NH_3} の結合角に比べ小さく約 90∘90^\circ となる。その理由を説明せよ。

図2.2 14族・15族元素の水素化物の沸点と周期

III​

水溶液中での錯形成が標準電位に及ぼす影響について考える。以下の問いに答えよ。必要であれば以下の値を用いよ。

気体定数 R=8.31 J K−1 mol−1R=8.31\ \mathrm{J\,K^{-1}\,mol^{-1}},ファラデー定数 F=9.65×104 C mol−1F=9.65\times10^4\ \mathrm{C\,mol^{-1}}

  1. [Fe(OH2)6]3+[\mathrm{Fe(OH_2)_6}]^{3+} から [Fe(OH2)6]2+[\mathrm{Fe(OH_2)_6}]^{2+} への還元反応に対する標準電位を E1∘ (V)E_1^\circ\ (\mathrm{V}) とする。この還元反応における標準反応Gibbs自由エネルギー ΔG1∘\Delta G_1^\circ を E1∘ (V)E_1^\circ\ (\mathrm{V}) を用いて表せ。

  2. 温度 T (K)T\ (\mathrm{K}) における CN−\mathrm{CN^-} の配位による [Fe(OH2)6]2+[\mathrm{Fe(OH_2)_6}]^{2+} から [Fe(CN)6]4−[\mathrm{Fe(CN)_6}]^{4-} への反応を考える。この反応の平衡定数を KRedK_{\mathrm{Red}} とする。この反応における標準反応Gibbs自由エネルギー ΔG2∘\Delta G_2^\circ を KRedK_{\mathrm{Red}} および TT を用いて表せ。

  3. [Fe(CN)6]3−[\mathrm{Fe(CN)_6}]^{3-} から [Fe(CN)6]4−[\mathrm{Fe(CN)_6}]^{4-} への還元反応に対する標準電位 E2∘ (V)E_2^\circ\ (\mathrm{V}) は,E1∘ (V)E_1^\circ\ (\mathrm{V}) よりも 0.41 V0.41\ \mathrm{V} 低い。また,CN−\mathrm{CN^-} の配位による [Fe(OH2)6]3+[\mathrm{Fe(OH_2)_6}]^{3+} から [Fe(CN)6]3−[\mathrm{Fe(CN)_6}]^{3-} への反応の平衡定数を KOxK_{\mathrm{Ox}} とする。T=298 KT=298\ \mathrm{K} における log⁡10(KOx/KRed)\log_{10}(K_{\mathrm{Ox}}/K_{\mathrm{Red}}) を有効数字2桁で求めよ。必要であれば次の関係を用いよ。

    ln⁡x=2.30log⁡10x.\ln x=2.30\log_{10}x.
  4. 問III.3の結果が意味するところを述べよ。

题目描述​

I 金刚石具有立方晶体结构,C原子位于正四面体的各顶点及其中心(图2.1)。冰(H2O\mathrm{H_2O})、SiO2\mathrm{SiO_2}、ZnS\mathrm{ZnS} 也可能形成与金刚石类似的晶体结构,但由于成键方式不同,会表现出不同的性质。回答以下问题。

  1. 计算金刚石中C原子的堆积率,并写出得到答案的过程。必要时可用 3=1.73\sqrt3=1.73、π=3.14\pi=3.14。

  2. 金刚石无色透明。说明其原因。

  3. CO2\mathrm{CO_2} 在常压固态下具有稳定的 O=C=O\mathrm{O{=}C{=}O} 结构。Si与C同属14族,但 SiO2\mathrm{SiO_2} 的 O=Si=O\mathrm{O{=}Si{=}O} 结构不稳定。说明原因。

  4. 一般在常压下,固态冰的晶体结构具有液态水中不存在的空隙,因此冰的密度低于水。说明冰晶体中产生空隙的原因。

  5. ZnS\mathrm{ZnS} 是常温常压下带隙为 3.6 eV3.6\ \mathrm{eV} 的半导体。向 ZnS\mathrm{ZnS} 中掺入Al会产生导电性。假设部分Zn被Al取代,说明其原因。

II 15族元素的氢化物(MH3\mathrm{MH_3},M=N,P,As,Sb,Bi\mathrm{M=N,P,As,Sb,Bi})具有三角锥结构,在常温常压下均为气体。回答以下问题。

  1. 给出氨 NH3\mathrm{NH_3} 分子结构的对称要素及点群。

  2. 如图2.2所示,15族元素氢化物 MH3\mathrm{MH_3} 的沸点随周期呈现特征变化。与14族元素氢化物的沸点比较,说明为何 PH3\mathrm{PH_3} 的沸点最低。

  3. 关于 MH3\mathrm{MH_3} 的键角,回答以下问题。

    (i) NH3\mathrm{NH_3} 的键角 107.8∘107.8^\circ 略小于正四面体 CH4\mathrm{CH_4} 的键角 109.5∘109.5^\circ。说明原因。

    (ii) PH3\mathrm{PH_3}、AsH3\mathrm{AsH_3}、SbH3\mathrm{SbH_3}、BiH3\mathrm{BiH_3} 的键角比 NH3\mathrm{NH_3} 小,约为 90∘90^\circ。说明原因。

III 考虑水溶液中配合物形成对标准电势的影响,回答以下问题。必要时使用气体常数 R=8.31 J K−1 mol−1R=8.31\ \mathrm{J\,K^{-1}\,mol^{-1}}、法拉第常数 F=9.65×104 C mol−1F=9.65\times10^4\ \mathrm{C\,mol^{-1}}。

  1. 从 [Fe(OH2)6]3+[\mathrm{Fe(OH_2)_6}]^{3+} 到 [Fe(OH2)6]2+[\mathrm{Fe(OH_2)_6}]^{2+} 的还原反应的标准电势为 E1∘ (V)E_1^\circ\ (\mathrm{V})。用 E1∘E_1^\circ 表示该还原反应的标准反应吉布斯自由能 ΔG1∘\Delta G_1^\circ。

  2. 在温度 T (K)T\ (\mathrm{K}) 下,考虑 CN−\mathrm{CN^-} 配位使 [Fe(OH2)6]2+[\mathrm{Fe(OH_2)_6}]^{2+} 转化为 [Fe(CN)6]4−[\mathrm{Fe(CN)_6}]^{4-} 的反应。该反应的平衡常数为 KRedK_{\mathrm{Red}}。用 KRedK_{\mathrm{Red}} 及 TT 表示标准反应吉布斯自由能 ΔG2∘\Delta G_2^\circ。

  3. 从 [Fe(CN)6]3−[\mathrm{Fe(CN)_6}]^{3-} 到 [Fe(CN)6]4−[\mathrm{Fe(CN)_6}]^{4-} 的还原反应的标准电势 E2∘ (V)E_2^\circ\ (\mathrm{V}) 比 E1∘ (V)E_1^\circ\ (\mathrm{V}) 低 0.41 V0.41\ \mathrm{V}。CN−\mathrm{CN^-} 配位使 [Fe(OH2)6]3+[\mathrm{Fe(OH_2)_6}]^{3+} 转化为 [Fe(CN)6]3−[\mathrm{Fe(CN)_6}]^{3-} 的反应平衡常数为 KOxK_{\mathrm{Ox}}。求 T=298 KT=298\ \mathrm{K} 时的 log⁡10(KOx/KRed)\log_{10}(K_{\mathrm{Ox}}/K_{\mathrm{Red}}),保留2位有效数字。必要时使用 ln⁡x=2.30log⁡10x\ln x=2.30\log_{10}x。

  4. 说明III.3的结果所代表的含义。

Kai​

I​

1​

立方単位胞の一辺を aa、C原子半径を rr とする。最近接原子間距離は体対角線の 1/41/4 なので、2r=3a/42r=\sqrt3a/4。単位胞内の原子数は8であり、

η=8(4πr3/3)a3=3π16≃0.340.\eta=\frac{8(4\pi r^3/3)}{a^3} =\frac{\sqrt3\pi}{16} \simeq0.340.

よって 充填率は約 34%34\%。

2​

理想的な純粋ダイヤモンドでは、価電子帯と伝導帯の間のバンドギャップが可視光の光子エネルギーより大きい。可視光によるバンド間吸収が生じにくいため、無色透明になる。

3​

CとOの 2p2p 軌道同士は良好に重なり、強い π\pi 結合を形成する。Siの 3p3p とOの 2p2p では重なりが弱く、Si=O\mathrm{Si=O} 多重結合よりも多数の強いSi–O単結合を形成する三次元網目構造が有利である。

4​

水分子は2個の水素と2組の孤立電子対を介し、周囲の4分子とほぼ四面体方向に水素結合する。その方向性が開いた網目構造を形成するため、隙間が生じる。融解するとこの秩序の一部が崩れ、分子が隙間を埋めて密度が増す。

5​

Zn(II)位置をAl(III)が置換すると、電荷補償により余分な電子が生じる。Alはドナー準位を形成し、そこから電子が伝導帯に供給されるため、電子を多数キャリヤーとするn型伝導が生じる。

II​

1​

NとH三角形の中心を通る 3回回転軸 C3C_3 が1本、その軸と各N–H結合を含む 垂直鏡映面 σv\sigma_v が3枚。点群は C3vC_{3v} である(対称操作は E,2C3,3σvE,2C_3,3\sigma_v)。

2​

14族水素化物では、周期が下がるほど分極率が増して分散力が強まり、沸点が上がる。15族でも PH3\mathrm{PH_3} 以降は同様だが、NH3\mathrm{NH_3} では分子間水素結合により沸点が特に高くなる。このため PH3\mathrm{PH_3} が最小となる。

3​

(i)​

NH3\mathrm{NH_3} の孤立電子対は結合電子対より大きな空間を占め、N–H結合電子対を強く押し縮める。そのためH–N–H角は正四面体角より小さい。

(ii)​

重い15族元素では結合へのs軌道の混成が小さく、孤立電子対は主にs性、M–H結合は主に互いに直交するp軌道の性質をもつ。したがって結合角は 90∘90^\circ に近づく。

III​

1​

ΔG1∘=−FE1∘,\boxed{\Delta G_1^\circ=-FE_1^\circ},

2​

ΔG2∘=−RTln⁡KRed.\boxed{\Delta G_2^\circ=-RT\ln K_{\mathrm{Red}}}.

3​

水合Fe(III)を還元してから錯形成する経路と、錯形成してから還元する経路のギブズエネルギーは等しい。

−FE1∘−RTln⁡KRed=−RTln⁡KOx−FE2∘.-FE_1^\circ-RT\ln K_{\mathrm{Red}} =-RT\ln K_{\mathrm{Ox}}-FE_2^\circ.

したがって、

log⁡10KOxKRed=F(E1∘−E2∘)2.30RT=(9.65×104)(0.41)2.30(8.31)(298)≃6.9.\begin{aligned} \log_{10}\frac{K_{\mathrm{Ox}}}{K_{\mathrm{Red}}} &=\frac{F(E_1^\circ-E_2^\circ)}{2.30RT}\\ &=\frac{(9.65\times10^4)(0.41)}{2.30(8.31)(298)}\\ &\simeq\boxed{6.9}. \end{aligned}

4​

KOx/KRed≃106.9K_{\mathrm{Ox}}/K_{\mathrm{Red}}\simeq10^{6.9} である。水和イオンを基準としたCNによる錯形成は、Fe(II)よりFe(III)を相対的に強く安定化する。このため、錯形成後のFe(III)は還元されにくくなり、還元電位が低下する。

Reference​