東京大学 総合文化研究科 広域科学専攻 広域システム科学系 2019年8月実施 総合科目 第3問
Author
Miyake
Description
質量 の質点 と質量 の質点 が、お互いに万有引力で引き合いながら真空中を運動している。
質点 から質点 に向かうベクトルを とし、
二つの質点の重心を原点 とする座標系を用いる。
二つの質点は同一平面内を運動するが、 をその面内の二次元極座標で表し、
動径および方位角成分を とする。万有引力定数を とし、
として、以下の設問に答えよ。なお必要に応じて、時間微分を や などと上付きドットを用いて表しても良い。
(1) 質点 および質点 の位置ベクトルを、, および 用いて表せ。
(2) 二つの質点の運動エネルギーの総和を , および を用いて表せ。
(3) この系の重力ポテンシャルエネルギーを , , および を用いて表せ。
(4) が保存量となることを示せ。
(5) 動径成分 についての運動方程式を、, , , および を用いて書き下せ。
(6) 系の全エネルギー を , , , および で表せ。
(7) が最小値を取る時の の表式を , , および を用いて求め、その時の二つの質点の軌道の様子を述べよ。
(8) を質点 の位置ベクトルとする。
二つの質点のが重力的に束縛されお互いの周りを周回する条件と、その時の と の関係を求めよ。
Kai
(1)
題意より、
であるから、
を得る。
(2)
のデカルト座標による成分を とすると、
である。
よって、求める運動エネルギー は、
となる。
(3)
求める重力ポテンシャルエネルギー は、
である。
(4)
この系のラグランジアン は、
であり、
であるから、 に関する運動方程式より、
が保存量であることがわかる。
(5)
上で求めたラグランジアン から、
であるから、 に関する運動方程式は、
となる。
(6)
(7)
とすると、
となるので、
とすると、 が最小値をとるのは のときで、
となる。
が最小値 をとるのもこのときで、
である。
(8)