東京大学 総合文化研究科 広域科学専攻 相関基礎科学系 2019年7月実施 総合科目 第2問(物理学1)
Author
祭音Myyura (Based on Miyake's answer refined with GPT 6 Astra)
Description
以下の問 I、II に答えよ。ただし、プランク定数を 2π で割った定数を ℏ とする。
1 次元のポテンシャル障壁 V(x) による質量 m の粒子の反射と透過について量子力学的に考察しよう。エネルギー E が正の場合を考え、波動関数 ψ(x) は
−2mℏ2dx2d2ψ(x)+V(x)ψ(x)=Eψ(x)
を満たすとする。まず、V0 を正の定数として図1のような
V(x)={0V0(x<0),(x>0)
で定義される V(x) を考え、E>V0 のときに x<0 の領域から x 軸の正の方向に入射する粒子の反射と透過を考えよう。このとき A,B,C を複素数、k1,k2 を正の実数として ψ(x) が
ψ(x)={Aeik1x+Be−ik1xCeik2x(x<0),(x>0)
であるとする。

(1) k1 と k2 を求めよ。
(2) C を A,k1,k2 を用いて表せ。
(3) k2∣C∣2 を k1∣A∣2 と k1∣B∣2 を用いて表せ。
次に同じポテンシャルで E<V0 の場合を考える。
(4) ψ(0) が正の実数になるように ψ(x) を選んだときの ψ(x) の実部の概形を描け。
(5) 古典的には粒子はポテンシャル障壁に跳ね返されるだけでポテンシャル障壁の高さは分からない。量子力学的には x<0 の領域の波動関数 ψ(x) の情報からどのようにポテンシャル障壁の高さを知ることができるか簡潔に説明せよ。
最後に a を正の定数として図2のような
V(x)={0V0(x<0 および x>a),(0<x<a)
で定義される V(x) を考え、反射がなく A,D を複素数として ψ(x) が
ψ(x)={Aeik1xDeik1x(x<0),(x>a)
である場合を考える。

(6) このようなことが起こるすべての E の値を m,V0,a,ℏ を用いて表せ。
図3のように番号 i=1,2,3 で区別される 3 つのスピンがあり、それぞれ z 軸方向に上向きと下向きの 2 つの状態 ∣0⟩i,∣1⟩i をとることができる。2 種類の相互作用 H^1,H^2 を選択的に切り替え、1 番目と 2 番目のスピンの状態を 3 番目のスピンによって制御する。簡単のためプランク定数を 2π で割った定数 ℏ を 1 とし、相互作用 H^1,H^2 および時間 t を無次元量として取り扱う。
H^1H^2=−σ^z(1)σ^x(3)−σ^z(2)σ^x(3),=(σ^z(1)−1^)(σ^z(3)−1^),
σx(i)=(0110),σz(i)=(100−1).

ここで、1^ は恒等演算子、σx(i),σz(i) は i 番目のスピンの演算子 σ^x(i),σ^z(i) の行列表現である。各演算子は σ^z(i)∣0⟩i=∣0⟩i、σ^z(i)∣1⟩i=−∣1⟩i を満たす。また、3 つのスピンからなる状態を ∣1,0⟩∣0⟩≡∣1⟩1∣0⟩2∣0⟩3 などと記すことにする。
(1) (σx(i))2、(σz(i))2、σz(i)σx(i)+σx(i)σz(i) を計算せよ。
(2) σ^x(i) を ∣0⟩i,∣1⟩i に作用させた結果をそれぞれ示せ。
(3) H^1 のもとでの時間発展演算子
U^1(t)=exp(−iH^1t)=n=0∑∞n!1(−iH^1t)n
が
U^1(t)=cos2(t)1^−sin2(t)σ^z(1)σ^z(2)+icos(t)sin(t)(σ^z(1)+σ^z(2))σ^x(3)
を満たすことを示せ。ただし、一般に可換な演算子 A^,B^ について、e(A^+B^)=eA^eB^ が成り立つことに留意せよ。
(4) H^1 のもとで時間 t1、続いて H^2 のもとで時間 t2 だけ相互作用したときの時間発展は
U^2(t2)U^1(t1)=exp(−iH^2t2)exp(−iH^1t1)
と記述される。∣0,0⟩∣0⟩、∣0,1⟩∣0⟩、∣1,0⟩∣0⟩、∣1,1⟩∣0⟩ の 4 つの状態が U^2(π/4)U^1(π/4) の時間発展をしたあとの状態をそれぞれ書き下せ。
次に、ある状態 ∣ψ⟩=α∣0,0⟩∣0⟩+β∣1,1⟩∣0⟩(α,β は定数)を用意したところ、予期せぬ相互作用により、1 番目のスピンが微小回転してしまい、状態
∣ψϵ⟩≡1−ϵ2∣ψ⟩+ϵσ^x(1)∣ψ⟩
に変化した。ϵ の具体的な大きさは分からないが、状態 ∣ψϵ⟩ をもとの状態 ∣ψ⟩ に戻したい。
(5) 状態 ∣ψϵ⟩ を問 (4) の U^2(π/4)U^1(π/4) によって時間発展させると、
U^2(π/4)U^1(π/4)∣ψϵ⟩=∣ϕ1⟩∣1⟩+∣ϕ0⟩∣0⟩
という状態に変化した。1 番目と 2 番目のスピンからなる状態 ∣ϕ1⟩,∣ϕ0⟩ をそれぞれ具体的に書き下せ。
(6) 問 (5) の状態に対し、3 番目のスピンの測定をおこなうと、状態 ∣ϕ1⟩∣1⟩ と状態 ∣ϕ0⟩∣0⟩ のいずれかが得られる。それぞれの状態に対してさらに個別にある演算子を作用させると、微小回転量 ϵ の情報なしに状態 ∣ψ⟩ に戻せる。各状態について必要な演算子を答えよ。
题目描述
回答 I、II。ℏ 为普朗克常数除以 2π。
从量子力学角度考察质量为 m 的粒子受一维势垒 V(x) 影响时的反射和透射。考虑能量 E>0 的情形,设波函数 ψ(x) 满足
−2mℏ2dx2d2ψ(x)+V(x)ψ(x)=Eψ(x).
首先,取正常数 V0,考虑图1所示、由下式定义的势:
V(x)={0V0(x<0),(x>0).
当 E>V0 时,粒子从 x<0 区域沿 x 轴正方向入射,考察其反射和透射。设 A,B,C 为复数、k1,k2 为正实数,波函数为
ψ(x)={Aeik1x+Be−ik1xCeik2x(x<0),(x>0).

(1) 求 k1,k2。
(2) 用 A,k1,k2 表示 C。
(3) 用 k1∣A∣2 和 k1∣B∣2 表示 k2∣C∣2。
接着,考虑同一势函数下 E<V0 的情形。
(4) 选取 ψ(x) 使 ψ(0) 为正实数,画出此时 ψ(x) 实部的大致形状。
(5) 经典粒子只是被势垒反弹,无法得知势垒高度。简述在量子力学中,如何由 x<0 区域的波函数 ψ(x) 信息得知势垒高度。
最后,取正常数 a,考虑图2所示、由下式定义的势垒:
V(x)={0V0(x<0 或 x>a),(0<x<a).
假设没有反射,A,D 为复数,波函数为
ψ(x)={Aeik1xDeik1x(x<0),(x>a).

(6) 用 m,V0,a,ℏ 表示出现这种情形的所有 E 值。
如图3所示,有三个以 i=1,2,3 编号的自旋,每个自旋都可处于沿 z 轴向上的 ∣0⟩i 态或向下的 ∣1⟩i 态。选择性地切换两种相互作用 H^1,H^2,通过第3个自旋控制第1、2个自旋的状态。为简便起见,取普朗克常数除以 2π 所得的 ℏ=1,将相互作用 H^1,H^2 和时间 t 均视为无量纲量。
H^1H^2=−σ^z(1)σ^x(3)−σ^z(2)σ^x(3),=(σ^z(1)−1^)(σ^z(3)−1^),
σx(i)=(0110),σz(i)=(100−1).

其中 1^ 为恒等算符,σx(i),σz(i) 为第 i 个自旋的算符 σ^x(i),σ^z(i) 的矩阵表示。各算符满足 σ^z(i)∣0⟩i=∣0⟩i、σ^z(i)∣1⟩i=−∣1⟩i。三个自旋组成的状态记为 ∣1,0⟩∣0⟩≡∣1⟩1∣0⟩2∣0⟩3 等。
(1) 计算 (σx(i))2、(σz(i))2 和 σz(i)σx(i)+σx(i)σz(i)。
(2) 分别写出 σ^x(i) 作用于 ∣0⟩i,∣1⟩i 的结果。
(3) 证明 H^1 下的时间演化算符
U^1(t)=exp(−iH^1t)=n=0∑∞n!1(−iH^1t)n
满足
U^1(t)=cos2(t)1^−sin2(t)σ^z(1)σ^z(2)+icos(t)sin(t)(σ^z(1)+σ^z(2))σ^x(3).
注意:一般而言,对易算符 A^,B^ 满足 e(A^+B^)=eA^eB^。
(4) 先在 H^1 下相互作用时间 t1,再在 H^2 下相互作用时间 t2,对应的时间演化为
U^2(t2)U^1(t1)=exp(−iH^2t2)exp(−iH^1t1).
分别写出 ∣0,0⟩∣0⟩、∣0,1⟩∣0⟩、∣1,0⟩∣0⟩、∣1,1⟩∣0⟩ 这四个状态经过 U^2(π/4)U^1(π/4) 演化后的状态。
接着,制备状态 ∣ψ⟩=α∣0,0⟩∣0⟩+β∣1,1⟩∣0⟩(α,β 为常数)。由于意外的相互作用,第1个自旋发生微小旋转,状态变为
∣ψϵ⟩≡1−ϵ2∣ψ⟩+ϵσ^x(1)∣ψ⟩.
虽然不知道 ϵ 的具体大小,但希望将 ∣ψϵ⟩ 恢复为原来的 ∣ψ⟩。
(5) 用问 (4) 的 U^2(π/4)U^1(π/4) 演化 ∣ψϵ⟩,得到
U^2(π/4)U^1(π/4)∣ψϵ⟩=∣ϕ1⟩∣1⟩+∣ϕ0⟩∣0⟩.
分别具体写出由第1、2个自旋组成的状态 ∣ϕ1⟩,∣ϕ0⟩。
(6) 对问 (5) 的状态测量第3个自旋,得到 ∣ϕ1⟩∣1⟩ 或 ∣ϕ0⟩∣0⟩ 中的一个。对这两种状态分别再施加适当算符,即可在不知道微小旋转量 ϵ 的情况下恢复 ∣ψ⟩。分别回答所需的算符。
Kai
I(1)〜(3)
各領域でシュレディンガー方程式に代入して
k1=ℏ2mE,k2=ℏ2m(E−V0).
有限の段差では ψ,ψ′ が x=0 で連続なので、A+B=C、k1(A−B)=k2C。よって
C=k1+k22k1A,B=k1+k2k1−k2A.
これらから
k2∣C∣2=k1∣A∣2−k1∣B∣2.
両辺に ℏ/m を掛けると、透過確率流が入射確率流から反射確率流を引いたものに等しいことがわかる。
I(4)
k=2mE/ℏ、κ=2m(V0−E)/ℏ、C=ψ(0)>0 とおく。正の無限遠で発散しない解と接続条件から
ψ(x)=C{cos(kx)−kκsin(kx),e−κx,x<0,x≥0.
この位相の選択では波動関数全体が実数になる。障壁外は定常波、内部は減衰指数関数であり、x=0 で値 C と傾き −κC が連続する。

I(5)
障壁外の波長から k、したがって E がわかる。また、定常波の節の位置、すなわち入射波に対する反射波の位相差から κ/k を決められる。具体的には
κ=−ψ(0−)ψ′(0−),V0=E+2mℏ2κ2.
完全反射でも反射振幅の位相が障壁の高さの情報を含む。
I(6)
E>V0 として障壁内の波数を q=2m(E−V0)/ℏ とする。両端で接続すると透過率は
T=[1+4E(E−V0)V02sin2(qa)]−1.
完全透過には qa=nπ が必要十分であり、
En=V0+2ma2ℏ2π2n2,n=1,2,3,….
E<V0 では sin(qa) が sinh(κa) に置き換わり透過率は1未満である。また E=V0 でも T=[1+mV0a2/(2ℏ2)]−1<1 なので n=0 は含めない。
II(1)、(2)
行列積を計算すると
σx2=σz2=I,σzσx+σxσz=0.
また
σx(i)∣0⟩i=∣1⟩i,σx(i)∣1⟩i=∣0⟩i.
II(3)
A=σz(1)σx(3)、B=σz(2)σx(3) とおくと、A2=B2=1、[A,B]=0。したがって
U1(t)=eitAeitB=(cost1+isintA)(cost1+isintB)=cos2t1−sin2tσz(1)σz(2)+icostsint(σz(1)+σz(2))σx(3).
II(4)
U1(π/4) は、第1、第2スピンが00なら第3スピンに iσx、11なら −iσx、01または10なら恒等演算子として作用する。U2(π/4) は第1、第3スピンがともに1の状態だけに位相 −1 を掛ける。よって
∣0,0,0⟩∣0,1,0⟩∣1,0,0⟩∣1,1,0⟩⟼i∣0,0,1⟩,⟼∣0,1,0⟩,⟼∣1,0,0⟩,⟼i∣1,1,1⟩.
II(5)
σx(1)∣ψ⟩=α∣1,0,0⟩+β∣0,1,0⟩ なので、上の四つの変換から
∣ϕ1⟩=i1−ϵ2(α∣0,0⟩+β∣1,1⟩),
∣ϕ0⟩=ϵ(α∣1,0⟩+β∣0,1⟩).
II(6)
測定結果が1の場合、第1、第2スピンは既に正しい組合せである。第3スピンを戻す σx(3) を作用させれば、全体位相を除いて ∣ψ⟩ を得る。位相も合わせるなら −iσx(3) とすればよい。
測定結果が0の場合、第1スピンのみが反転しているため σx(1) を作用させる。測定後に規格化すれば ϵ に依存する係数は全体位相だけとなり、どちらの操作にも ϵ の具体値は不要である。
Reference