東京大学 情報理工学研究科 数理情報学 2023年8月実施 第2問
Author
Kurosu9991
Description
Rd 上で定義された十分滑らかな凸関数 f(x) の最小化問題を考える。ただし、最小解 x∗ が存在することを仮定する。
f(x) の x=(x1,…,xd)⊤∈Rd における勾配を ∇f(x)=(∂x1∂f(x),…,∂xd∂f(x))⊤ と表す。
また、 x∈Rd のユークリッドノルムを ∥x∥2 と表す。以下の設問に答えよ。
(1) 微分方程式
⎩⎨⎧dtdx(t)dtdv(t)=t+12(v(t)−x(t))=−2t+1∇f(x(t))(*)
を t≥0 に対して考える。ただし初期条件 x(0),v(0) は与えられているものとする。
E(t)=(t+1)2(f(x(t))−f(x∗))+2∥v(t)−x∗∥22 とおく。
このとき、 dtdE(t)≤0 を示せ。
また、 t に依存しないある定数 C が存在して、 f(x(t))−f(x∗)≤C/t2 が t>0 で成立することを示せ。
(2) 微分方程式(*)の離散化として
⎩⎨⎧δ+x(k)δ+v(k)=(hk+1)22hk+h+2(v(k+1)−x(k+1))=−42hk+h+2∇f(x(k+1))(**)
を k=0,1,2,… に対して考える。
ただし、 δ+ は任意のスカラーまたはベクトルの列 {y(k)} に対して δ+y(k)=(y(k+1)−y(k))/h(h>0 は定数 ) で定義される作用素とする。
x(0)=x(0),v(0)=v(0) とし、(**)に解が存在すると仮定する。
E(k)=(hk+1)2(f(x(k))−f(x∗))+2∥v(k)−x∗∥22 とおく。このとき、
δ+∥v(k)−x∗∥22=2(v(k+1)−x∗)⊤(δ+v(k))−h∥δ+v(k)∥22
を示し、さらに δ+E(k)≤0 を示せ。
ただし、任意のスカラー列 {a(k)},{b(k)} に対し成立する関係式
δ+(a(k)b(k))=(a(k+1)b(k+1)−a(k)b(k))/h=(δ+a(k))b(k+1)+a(k)(δ+b(k)) を証明せず用いてよい。
(3) (**) に解が存在すると仮定する。このとき、 k に依存しないある定数 C′ が存在して、 f(x(k))−f(x∗)≤C′/k2 が k=1,2,… で成立することを示せ。
Kai
(1)
E(t) を微分すると
dtdE(t)=2(t+1)(f(x(t))−f(x∗))+(t+1)2∇f(x(t))⋅dtdx(t)+4(v(t)−x∗)⋅dtdv(t)=2(t+1)(f(x(t))−f(x∗))+2(t+1)∇f(x(t))⋅(v(t)−x(t))−2(t+1)∇f(x(t))⋅(v(t)−x∗)=−2(t+1)(f(x∗)−f(x(t))−∇f(x(t))⋅(x∗−x(t)))=−2(t+1)(21(x∗−x(t))⊤∂x⊤∂x∂2f(x(t))(x∗−x(t))+ο(ρ2))(ρ=∥x∗−x(t)∥2)
また、 f(x) は凸関数であるため、 ∂x⊤∂x∂2f(x(t)) は正定値行列であり、 dtdE(t)<0 がわかる。
ゆえに、 t>0 に対して
⇒⇒(t+1)2(f(x(t))−f(x∗))+2∥v(t)−x∗∥22=E(t)≤E(0)(t+1)2(f(x(t))−f(x∗))≤E(0)f(x(t))−f(x∗)≤t2E(0)
となる。したがって、 C=E(0) とすればよい。
(2)
δ+∥v(k)−x∗∥22=δ+((v(k)−x∗)⊤(v(k)−x∗))=(δ+(v(k)−x∗)⊤)(v(k+1)−x∗)+(v(k)−x∗)⊤(δ+(v(k)−x∗))=(v(k+1)−x∗)⊤(δ+(v(k)−x∗))+(v(k)−x∗)⊤(δ+(v(k)−x∗))=(v(k)+v(k+1)−2x∗)⊤(δ+v(k))=2(v(k+1)−x∗)⊤(δ+v(k))−(v(k+1)−v(k))⊤(δ+v(k))=2(v(k+1)−x∗)⊤(δ+v(k))−h∥δ+v(k)∥22
よって、
δ+E(k)=(δ+(hk+1)2)(f(x(k+1))−f(x∗))+(hk+1)2(δ+f(x(k)))+2δ+∥v(k)−x∗∥22=(2s+h)(f(x(k+1))−f(x∗))+s2(δ+f(x(k)))+4(v(k+1)−x∗)⊤(δ+v(k))−2h∥δ+v(k)∥22(s=hk+1) =(2s+h)(f(x(k+1))−f(x∗))+s2(δ+f(x(k)))+4(2s+hs2(δ+x(k))+x(k+1)−x∗)⊤(−42s+h∇f(x(k+1)))−2h∥δ+v(k)∥22=(2s+h)(f(x(k+1))−f(x∗)−(∇f(x(k+1)))⋅(x(k+1)−x∗))+s2(δ+f(x(k))−(∇f(x(k+1)))⋅(δ+x(k)))−2h∥δ+v(k)∥22=−(2s+h)(f(x∗)−f(x(k+1))−(∇f(x(k+1)))⋅(x∗−x(k+1)))−hs2(f(x(k))−f(x(k+1))−(∇f(x(k+1)))⋅(x(k)−x(k+1)))−2h∥δ+v(k)∥22≤0
となる。ただし、二行目から三行目の変形で、方程式 (**) を用いた。
(3)
(1) と同じように考えて、E(k)≤E(0) を証明すれば良い(C′=E(0)/h2)。