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東京大学 情報理工学研究科 数理情報学 2022年8月実施 第4問

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hari64boli64

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確率変数 が平均 、分散 の正規分布に従うとし、確率変数

が従う分布の確率密度関数を と定める。虚数単位を とし、実数全体の集合を とする。また、確率変数 の期待値を で表す。 以下の設問に答えよ。

(1) を求めよ。

(2) のラプラス変換を と表す。このとき、

が成り立つことを示せ。

(3) の特性関数を と表す。このとき、 を求めよ。

(4) 確率変数 が独立同一に確率密度関数 を持つ確率分布に従うとする。このとき、

の極限で分布収束(法則収束)することを示し、その極限分布の確率密度関数を求めよ。

Kai

(1)

確率変数の変数変換の公式を用いると、 また、 と、2つの解があることに注意すると、

となる。

なお、実際、 である。(Wolfram Alphaで計算)

(2)

微分と積分が交換できることは、 が確率密度関数であるため被積分関数が可積分であり、また、微分後の式も可積分であることから従う。

という変数変換が本質的。 見つけた人曰く、「 の形を保存するにはどうすればいいのかなぁと思って、いろいろ気合いで推測」したらしいです。

(3)

(2)の式に当てはめて としたい所だが、これは厳密な解答ではない。 自体が多価関数。

以下 Slack にあがっていた解答の書き起こし。 なお、この解答の作成者は数学科の複素関数論を履修されていた方です。(私には無理……)

とおく。

は正則かつ全単射で互いに逆写像。

ここで、 で正則、 で連続である。この証明は後述。

実軸正の部分で、

が成り立つから、両辺が 上で正則な為、一致の定理より、

が成立する。

上で とおけば、上式より、

これより、 となる。ただし、 は積分定数。 実軸正の部分から、 とすれば、 となる。 従って、 上で となる。

の場合、 として、 とすれば、 なので、

となる。極限を取る際に 上での連続性を用いた。

の場合、 として、 とすれば、 なので、

となる。極限を取る際に 上での連続性を用いた。

の場合、

となる。

以上より、まとめて、

が答えとなる。

以下、 の正則性と連続性を見る。

まず正則性を見る。 とする。 とし、 とおく。

で、被積分関数に関して、

となるため、 は可積分であるから優収束定理が使えて、

となる。つまり、 上正則となる。

次に連続性を見る。 とし、 とおく。

となるが、被積分関数に関して、

なので、優収束定理が使えて、

となる。つまり、 上連続となる。

(4)

の特性関数を求める。

となる。

よって、 に分布収束する ( が関係ない答えである為、本当に正しいのかどうかは不明) 。