東京大学 情報理工学研究科 数理情報学 2022年8月実施 第3問
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hari64boli64
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複素数全体の集合を で表し、虚数単位を と書く。実数 に対し、 を複素数平面上の円板領域 とする。 上の正則関数 に対し、一様ノルム を で定め、 と をそれぞれ
と定める。ここで、 は正の整数とする。以下の設問に答えよ。
(1) 実数 に対し、 を、正(反時計回り)に向き付けられた、中心 、半径 の円周とする。このとき、 上の正則関数 に対して
が成り立つことを示せ。
(2) 上の正則関数 に対し、
とおく。 上の の極を全て求め、それぞれの極における の留数を求めよ。
(3) 上の正則関数 が を満たすとする。このとき、
が成り立つことを示せ。
(4) 式 () の右辺の定数 が最良であること、すなわち、
が成り立つことを示せ。ここで、 は、 であるような 上の正則関数 全体にわたる上限を表す。
Kai
(1)
とおくと、 であるので、
(2)
極は、より、 となる。ただし、 である。
よって、留数はロピタルの定理を用いると、
となる。
(3)
(2) の結果と留数定理より、
となる。ただし、 とする。
なお、ここで を としなかったのは、 が でのみ定義されている関数であり、
で未定義であるからである。
これを用いて、与式を評価すると、
となる。
これが、任意の に対して成立するので、 の極限をとると、
となる。
(4)
まず、与式の上界が であることは、(3) より明らか。
与式を下から評価して、それが に収束することを示す。
ここで、 とすると、
となる。
よって、
となる。
以上より、答えは である。