東京大学 情報理工学研究科 数理情報学 2022年8月実施 第1問
Author
hari64boli64
Description
正の整数 m,n および有限実数数列 A={ai}i=1m,B={bj}j=1n に対して、
f(A,B)=ln(m1i=1∑mn1∑j=1ne−∣ai−bj∣1)
と定義する。ただし、ln は自然対数を表す。以下の設問に答えよ。
(1) f(A,B)≥0 が成り立つことを示せ。また、f(A,B)=0 となる A,B の必要十分条件を求めよ。
(2) 任意の空でない有限実数数列 A,B,C に対して、
f(A,C)≤f(A,B)+f(B,C)
が成り立つことを示せ。
(3) 任意の実数 s に対して、Am(s)={s+mi}i=1m,Bn={nj}j=1n とおき、g(s) を
g(s)=m→∞limn→∞limf(Am(s),Bn)
で定める。このとき、
g(s)=ln(∫s1+sh(z)1dz)
となるような関数 h(z) の具体的な表式を導出せよ。
(4) g(s) が最小となる実数 s を求めよ。
Kai
(1)
⇒⇒⇒−∣ai−bj∣≤0n1j=1∑nexp(−∣ai−bj∣)≤1m1i=1∑mn1∑j=1nexp(−∣ai−bj∣)1≥1f(A,B)≥0
等号成立条件は、上の式変形より、∀i,j,ai=bj である。
(2)
定義に従って示せばよい(変則的だが、分かりやすさの為、左向きの矢印を使用する)。
⇐⇐⇐⇐⇐⇐f(A,C)≤f(A,B)+f(B,C)m1i=1∑ml1∑k=1lexp(−∣ai−ck∣)1≤(m1i=1∑mn1∑j=1nexp(−∣ai−bj∣)1)(n1j=1∑nl1∑k=1lexp(−∣bj−ck∣)1)k=1∑lexp(−∣ai−ck∣)≥∑j=1n∑k=1lexp(−∣bj−ck∣)1∑j=1nexp(−∣ai−bj∣)j=1∑n∑k=1lexp(−∣bj−ck∣)∑k=1lexp(−∣ai−ck∣)≥j=1∑nexp(−∣ai−bj∣)k=1∑lexp(−∣ai−ck∣)≥exp(−∣ai−bj∣)(k=1∑lexp(−∣bj−ck∣))exp(−∣ai−ck∣)≥exp(−∣ai−bj∣)exp(−∣bj−ck∣)∣ai−ck∣≤∣ai−bj∣+∣bj−ck∣
最後の不等式は、三角不等式より成立する。
以上より、f(A,C)≤f(A,B)+f(B,C) が示された。
(3)
区分求積法そのままなので、
h(z)=∫01e−∣z−x∣dx
である。
よって、
h(z)=⎩⎨⎧e−z(e−1)(1≤z)2−e−z+ez−1(0<z<1)ez(1−e−1)(z≤0)
となる。
(4)
h(z) は 1/2 を中心とする対称関数であり、
微分などを計算すると、図 1 のようになる。
図1: h(z) のグラフ
よって、
あまり厳密な議論ではないが、
区間幅1の h(z) の最も大きな部分は s=0 の時に成立する。
(しかし、これは厳密に行う事も出来るはず)
以上より、s=0 が答え。
実際、これが正しいことは、図 2 より分かる。
図2: g(s) のグラフ