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東京大学 情報理工学研究科 数理情報学 2018年8月実施 第4問

Author

hari64boli64

Description

次複素正方行列 に対し、 と定める。 ここで 次単位行列 とする。 また、 次元複素ベクトル のノルムを と定める。 なお は転置を表す。 さらに、行列 のノルムを と定める。 このとき、任意の に対し および が成り立つ。 以下の設問に答えよ。

(1) に対し、次の不等式を示せ:


以下では、 以上の整数とし、 とおく。

(2) 以下の不等式を示せ:

ここで、等式 は証明せずに用いてよい。

(3) 以下の等式を示せ:

ここで、 に対し、 とする。

(4) 次の不等式を示せ:

(5) 次元複素ベクトル値関数 に対する常微分方程式の初期値問題

を考える。 次元複素ベクトルの列 を、 かつ

で定める。このとき、 を満たす任意の実数 に対し、以下が成り立つことを示せ:

Kai

(1)

(2)

まず、一般の に対し、以下が成立する。

ただし、途中で の単調性つまり、 を用いた。

なお、 という事には十分に注意する必要がある。安易な指数法則は適用出来ない。

以上より、

となる。

(3)

である。よって、

となる。

(4)

一部緩めの不等式評価になっていることに注意する必要があるが、以下のような式が成立する。

よって、

が示される。

(5)

常微分方程式を解いて、

を得る。特に、

である。

一方、

である。

よって、

となる。ただし、 に依存しない定数である。

よって、

となるので、

が示される。

Knowledge

連立1階線形常微分方程式の解は、行列の指数関数を用いて表す事が出来る。