東京大学 情報理工学系研究科 2025年8月実施 数学 第3問
Author
祭音Myyura (co-authored with GPT 6 Astra)
Description
数直線上を移動する点を考える.その動点の初期位置を 0 とする.
動点は 1 ステップで,プラスまたはマイナス方向へ 1 移動する確率がそれぞれ 1/2 であるとする.
n を正の整数とし,n ステップ後の動点の位置を Pn とする.また動点の移動は独立と仮定する.
確率変数 X に対して,E(X),V(X) をそれぞれ X の期待値と分散とし,
Pr(X≥k),および Pr(∣X∣≥k) をそれぞれ X≥k を満たす確率,および ∣X∣≥k を満たす確率とする.以下の問いに答えよ.
(1) Pn の期待値を求めよ.
(2) Pn の分散を求めよ.
(3) 任意の正の整数 k に対して,∣Pn∣≥k を満たす確率が以下を満たすことを示せ.
Pr(∣Pn∣≥k)≤k2V(Pn).
(4) 任意の t>0 と任意の正の整数 k に対して,Pn≥k を満たす確率が以下を満たすことを示せ.
Pr(Pn≥k)=Pr(exp(tPn)≥exp(tk))≤exp(tk)E(exp(tPn)).
(5) 任意の t>0 に対して,exp(tPn) の期待値が以下を満たすことを示せ.
E(exp(tPn))≤exp(2t2n).
(6) 任意の正の整数 k に対して,Pn≥k を満たす確率が以下を満たすことを示せ.
Pr(Pn≥k)≤exp(−2nk2).
(7) n=1010 ステップ終了後,∣Pn∣≥106 である確率は 10−4 未満になることを示せ.
题目描述
一个动点从数轴原点出发,每步独立地以各 1/2 的概率向正方向或负方向移动 1。
设正整数 n 步后的位置为 Pn,E(X) 和 V(X) 分别表示随机变量 X 的期望和方差。
回答下列问题。
(1)求 Pn 的期望。
(2)求 Pn 的方差。
(3)对任意正整数 k,证明
Pr(∣Pn∣≥k)≤k2V(Pn).
(4)对任意 t>0 和任意正整数 k,证明
Pr(Pn≥k)=Pr(exp(tPn)≥exp(tk))≤exp(tk)E(exp(tPn)).
(5)对任意 t>0,证明
E(exp(tPn))≤exp(2t2n).
(6)对任意正整数 k,证明
Pr(Pn≥k)≤exp(−2nk2).
(7)证明:经过 n=1010 步后,∣Pn∣≥106 的概率小于 10−4。
Kai
各ステップの変位を Xi とおくと,X1,…,Xn は独立で,
Pr(Xi=1)=Pr(Xi=−1)=1/2,Pn=∑i=1nXi である.
(1)
E(Xi)=0 より,
E(Pn)=i=1∑nE(Xi)=0.
(2)
V(Xi)=E(Xi2)−E(Xi)2=1 であるから,独立性より
V(Pn)=i=1∑nV(Xi)=n.
(3)
1A を事象 A の指示関数とする.
Pn2≥k21{∣Pn∣≥k} と (1) より,
V(Pn)=E(Pn2)≥k2Pr(∣Pn∣≥k).
両辺を k2 で割れば,所望の不等式を得る.
(4)
t>0 より指数関数 x↦etx は狭義単調増加なので,
{Pn≥k}={etPn≥etk} である.また
etPn≥etk1{Pn≥k}
の両辺の期待値を取ると,
Pr(Pn≥k)=Pr(etPn≥etk)≤e−tkE(etPn).
(5)
独立性より
E(etPn)=i=1∏nE(etXi)=(2et+e−t)n=(cosht)n.
j≥0 に対して (2j)!≥2jj! なので,
cosht=j=0∑∞(2j)!t2j≤j=0∑∞j!(t2/2)j=et2/2.
よって E(etPn)≤ent2/2 である.
(6)
(4),(5) より,任意の t>0 について
Pr(Pn≥k)≤exp(2nt2−kt).
2nt2−kt=2n(t−nk)2−2nk2
であるから,t=k/n>0 とすれば
Pr(Pn≥k)≤exp(−2nk2).
(7)
Pn と −Pn は同じ分布に従うので,(6) より
Pr(∣Pn∣≥k)=2Pr(Pn≥k)≤2exp(−2nk2).
n=1010,k=106 を代入すると上界は 2e−50 となる.
e50>503/3!>2×104 であるから,
Pr(∣P1010∣≥106)≤2e−50<10−4.
Knowledge
独立な確率変数の和,期待値と分散,Markov の不等式,Chebyshev の不等式,積率母関数,Chernoff 境界.