東京大学 情報理工学研究科 2021年8月実施 数学 第1問
Author
Miyake, etsurin
Description
以下の x,y,z∈R 関する複数の条件を考える.
{0<z−xy<10<z−(x+y)2<−xy
Ω を上記の条件を満たす z が一つでも存在するような点 (x,y) の集合とする.Ω は三次元デカルト座標系において上記の条件を満たすような点 (x,y,z) の集合 xy 平面上に正射影した図形とも解釈できる.以下の問いに答えよ.
(1)、Ω を x と y に関する不等式で表現せよ.
(2)、集合 Ω を xy 平面上に図示せよ.図形の境界が x 軸, y 軸と交わる場合は,その交点の座標も明記せよ.
(3)、集合 Ω の境界の湾曲した区間は、単位円の複数の円弧をある線形変換 X で変換した図形になっている.このような X を一つ求めよ.ただし,単位円上の点 (1,0) は、湾曲した区間の最も曲率の高い点に変換されなければならない.
(4)、(3)で求めた X の行列式を求めよ.
(5)、集合 Ω の面積を求めよ.ただし、図形を線形変換した場合の面積変化率は、その線形変換の行列式の絶対値に等しいことを用いてもよい.
Kai
(1)
与えられた2つの不等式は、次のように変形できる:
xyx2+y2+2xy<z<xy+1<z<x2+y2+xy
任意の x,y について1つ目の不等式を満たす z が存在する。
2つ目の不等式を満たす z が存在する条件は xy<0 である。
上の連立不等式を満たす z が存在するためには、
xyx2+y2+2xy<x2+y2+xy<xy+1
も必要であるが、前者は (x,y)=(0,0) を意味し、
後者は x2+y2+xy<1 を意味する。
まとめると、求める不等式は
xy<0, x2+y2+xy<1
である。
(2)
xy<0 は、xy平面の第2象限と第4象限を表す。
x2+y2+xy<1 は、原点を中心とし、
直線 y=−x 上に長軸があり、直線 y=x 上に短軸があり、
長径が 2 であり、短径が 2/3 であるような楕円である。
なぜなら、
(xy)=21(1−111)(x′y′)
とすると、
x2+y2+xy=21x′2+23y′2=2x′2+32y′2
となるからである。
Ω の境界のうち、
x 軸上にあるのは (−1,0) と (1,0) を結ぶ線分であり、
y 軸上にあるのは (0,−1) と (0,1) を結ぶ線分である。
(3)
(2) で考えた (x,y) と (x′,y′) の対応に加えて、
x′=2x′′, y′=32y′′
を考えると、
x2+y2+xy=2x′2+32y′2=x′′2+y′′2
となる。
これは、楕円 x2+y2+xy=1 の最も曲率の高い点(の1つ)
(x,y)=(1/3,−1/3) と
単位円 x′′2+y′′2=1 上の点 (x′′,y′′)=(1,0) を対応付ける。
よって、求める線形変換行列 X は、
X=21(1−111)(20032)=(1−13131)
とすればよい。
(4)
detX=32
(5)
X−1=21(13−13)
なので、 (x,y)=(1,0) に対応するのは (x′′,y′′)=(1/2,3/2) である。
つまり、 Ω に対応するのは単位円の内部の 2/3 である。
よって、 Ω の面積は
π⋅32⋅32=334π