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東京大学 情報理工学系研究科 電子情報学専攻 2019年8月実施 専門 第4問

Author​

祭音Myyura (co-authored with GPT 5.6 SOL)

Description​

図に示すように、22 つのクライアントからサーバへ、IP パケットの転送を行う。転送される IP パケットは、すべて同じ大きさとする。また、22 つのクライアントからルータへの IP パケットの転送とルータからサーバへの IP パケットの転送はすべて同期しているものとし、単位時間 TT ごとに、IP パケットの転送が行われる。ルータは NN 個の IP パケットを蓄積可能であるとする。また、22 つの IP パケットがルータに到着し、ルータが両方のパケットを保持できない時は、いずれかの IP パケットがランダムに廃棄される。

(1) 22 つのクライアントは、両方とも確率 α\alpha(0≤α≤10\le\alpha\le1)で独立にパケットを生成する。ルータにバッファリングされている IP パケットの数に関する状態遷移図を示せ。

(2) α=0.5\alpha=0.5 の時の各状態の発生確率を示せ。

(3) (2) において、N=2N=2 の時の IP パケットの廃棄確率を示せ。

(4) クライアント 11 からの IP パケットの転送をストリーム型の IP パケットの転送、すなわち定期的に IP パケットを生成・転送するようにシステムを変更する。具体的には、2T2T ごとに 11 個の IP パケットを転送するものとする。なお、クライアント 22 からの IP パケットの転送は (1) と同様であり、α=0.5,N=2\alpha=0.5,N=2 とする。この時のルータにおける IP パケットの廃棄確率を示せ。

(5) クライアント 11 のストリーム型の IP パケット転送における IP パケットの廃棄確率を低下させるために、前方誤り訂正方式を適用する。クライアント 11 から転送されるべき kk 個の IP パケットに対して、ss 個(k≥sk\ge s)の冗長パケットを生成する。これによって、クライアント 11 からサーバに転送される k+sk+s 個の IP パケットのうち ss 個以下の IP パケットが廃棄されても、サーバにおいては、クライアント 11 からの IP パケットの再転送を行うことなく kk 個の IP パケットを誤りなく復号可能になるものとする。

(a) クライアント 11 から送信された kk 個の IP パケットが、IP パケットの再転送を行うことなく、サーバで誤りなく復号される確率を数式で示せ。

(b) k=3,s=1k=3,s=1 の時に、サーバで誤りなく kk 個の IP パケットが復号される確率を示せ。さらに、前方誤り訂正がない場合に kk 個の IP パケットが誤りなく受信される確率を示せ。なお、α=0.5,N=2\alpha=0.5,N=2 とする。

Kai​

各同期時刻に到着分を含めて高々 11 個を送出し、その直後の残数を QnQ_n とする。到着数を AnA_n とすると、

Qn+1=min⁡{N,max⁡(0,Qn+An−1)}.Q_{n+1}=\min\{N,\max(0,Q_n+A_n-1)\}.

(1)​

a=(1−α)2a=(1-\alpha)^2、b=2α(1−α)b=2\alpha(1-\alpha)、c=α2c=\alpha^2 とおく。内部状態 1≤i≤N−11\le i\le N-1 では

Pi,i−1=a,Pi,i=b,Pi,i+1=c.P_{i,i-1}=a,\qquad P_{i,i}=b,\qquad P_{i,i+1}=c.

境界では P0,0=a+bP_{0,0}=a+b、P0,1=cP_{0,1}=c、PN,N−1=aP_{N,N-1}=a、PN,N=b+cP_{N,N}=b+c である。

(2)​

α=1/2\alpha=1/2 では a=c=1/4a=c=1/4。隣接状態の詳細釣合い πic=πi+1a\pi_i c=\pi_{i+1}a より、

πi=1N+1(0≤i≤N).\boxed{\pi_i=\frac1{N+1}\quad(0\le i\le N).}

(3)​

廃棄は Qn=N,An=2Q_n=N,A_n=2 の時に 11 個発生する。平均到着数は E[An]=2α=1E[A_n]=2\alpha=1 なので、到着パケット当たりの廃棄確率は

p=πNα22α=14(N+1)=112.\boxed{p=\frac{\pi_N\alpha^2}{2\alpha} =\frac1{4(N+1)}=\frac1{12}.}

(4)​

クライアント 11 が送信する時刻の直前の残数を RjR_j とし、次の送信時刻までの 2T2T を一ステップとする。その遷移行列は

P=(3/41/401/41/21/401/21/2),π=(25,25,15).P=\begin{pmatrix} 3/4&1/4&0\\ 1/4&1/2&1/4\\ 0&1/2&1/2 \end{pmatrix},\qquad \boldsymbol\pi=\left(\frac25,\frac25,\frac15\right).

廃棄は Rj=2R_j=2 でクライアント 22 も同時に送信した時だけ生じる。2T2T 当たりの平均廃棄数は (1/5)(1/2)=1/10(1/5)(1/2)=1/10、平均到着数は 1+2(1/2)=21+2(1/2)=2 なので、

p=1/102=120.\boxed{p=\frac{1/10}{2}=\frac1{20}.}

二つの到着のどちらを廃棄するかは等確率なので、クライアント 11 の各パケットの廃棄率も (1/5)(1/2)(1/2)=1/20(1/5)(1/2)(1/2)=1/20 である。

(5)​

冗長パケットも含めてクライアント 11 は 2T2T ごとに 11 個ずつ送り、定常状態で符号ブロックを開始するものとする。

(a)​

一つの送信周期でのクライアント 11 の廃棄数を D∈{0,1}D\in\{0,1\} とし、状態遷移に廃棄数を記録する行列を

K(z)ij=E[zD1{Rn+1=j}∣Rn=i]K(z)_{ij}=E\bigl[z^D\boldsymbol1_{\{R_{n+1}=j\}}\mid R_n=i\bigr]

と定義する(行・列添字はそれぞれ遷移前・後の状態)。π\boldsymbol\pi を定常行ベクトル、1\boldsymbol1 を全成分 11 の列ベクトルとすれば、復号成功確率は

∑r=0s[zr] πK(z)k+s1.\boxed{\sum_{r=0}^{s}[z^r]\, \boldsymbol\pi K(z)^{k+s}\boldsymbol1.}

[zr][z^r] は zrz^r の係数を表す。

(b)​

(4) の系では、廃棄時にも残数の遷移先は変わらないから、

K(z)=(3/41/401/41/21/40(3+z)/8(3+z)/8).K(z)=\begin{pmatrix} 3/4&1/4&0\\ 1/4&1/2&1/4\\ 0&(3+z)/8&(3+z)/8 \end{pmatrix}.

よって、

πK(z)41=8493+1472z+250z2+24z3+z410240.\boldsymbol\pi K(z)^4\boldsymbol1 =\frac{8493+1472z+250z^2+24z^3+z^4}{10240}.

したがって、前方誤り訂正を用いる場合は

PFEC=8493+147210240=19932048.\boxed{P_{\mathrm{FEC}}=\frac{8493+1472}{10240}=\frac{1993}{2048}.}

用いない場合は 33 個すべてが届く必要があり、

Pno FEC=πK(0)31=11091280.\boxed{P_{\mathrm{no\ FEC}}=\boldsymbol\pi K(0)^3\boldsymbol1=\frac{1109}{1280}.}

各パケットの廃棄を確率 pp の独立事象で近似する場合、(a) は ∑r=0s(k+sr)pr(1−p)k+s−r\sum_{r=0}^{s}\binom{k+s}{r}p^r(1-p)^{k+s-r} となる。この近似で p=1/20p=1/20 を用いると、(b) はそれぞれ 157757/160000157757/160000、6859/80006859/8000 である。