東京大学 情報理工学系研究科 電子情報学専攻 2019年8月実施 専門 第1問
Author
diohabara
Description
図に示す,定電圧電源 (電圧 ), スイッチ (記号 ) , ダイオード (記号 ), コイル (インダクタンス ), コンデンサ (キャパシタンス ), 端子で構成される昇圧回路を考える.時刻を とし,コイルを流れる電流を , 端子の両端の電圧を とする (それぞれの方向は図を参照のこと).また,ダイオードの順方向電圧は無視でき,時刻 で とする.このとき,以下の問いに答えよ.
(1) から の時間,スイッチを短絡させる. について, を求めよ.
(2) に,スイッチを開放する.スイッチを開放してから が に戻るまでの時間を とする. における を求め, も求めよ.
から,上述の操作 ( 時間短絡し, 時間開放させる) を 回繰り返す. および は定数, は 以上の整数とする.
(3) ならば, であることを定性的に説明せよ.
(4) を求めよ.
Kai
(1)
スイッチを短絡させると、以下の回路方程式が成り立つ。
電源は定電圧電源なので であり、 上で に関して積分して整理すると
問題文より で だから
(2)
スイッチを開放すると、 において以下の回路方程式が成り立つ。
両辺を微分して整理すると
よって、 の一般解は
と書ける.
(1) より であり
より
よって
また
よって、 より
よって
これが で最初に となるのは、 のときなので
(3)
ダイオードがあるため、コンデンサにかかる電圧 は常に単調増加する。したがって、スイッチを開放しているときにコイルに流れる電流の時間変化
は単調減少する。これはつまり、回数を重ねるごとにスイッチ解放後に電流が減少するスピードが早くなるということ。だから、 となるまでにかかる時間は からどんどん短くなっていく。
よって、各操作でスイッチを開放した後 時間後までに必ず となっているはずな
ので、 と言える。
(4)
簡単のため、 とおく。
のとき、回路に流れる電流は (1) と同様にして
よって、 のとき である。
の間について、電源がした仕事とコイル・コンデンサのエネルギーの変化分は等しいので
に注意してこれを解くと