東京大学 情報理工学系研究科 電子情報学専攻 2018年8月実施 専門 第5問
Author
diohabara
Description
信号 f(t) が与えられたとき, f(t) を時間間隔 ts で標本化することを考える。時間間隔 ts にデルタ関数 δ(t) が並ぶ信号を単位インパルス列 δs(t) と呼ぶ。すなわち,
δs(t)=i=−∞∑∞δ(t−its)
この時, f(t) の標本化された信号 fs(t) は, fs(t)=f(t)⋅δs(t) と表される。
以下の問いに答えよ。
(1) δs(t) を周期 ts の周期信号と考え, フーリエ級数展開せよ。
(2) δs(t) のフーリエ変換 Δs(ω) を求めよ。ただし ωs=ts2π とせよ。
(3) f(t) 並びに fs(t) のフーリエ変換をそれぞれ F(ω) と Fs(ω) とする。 Fs(ω) を F(ω) を用いて表せ。
(4) 折り返し歪 (エイリアシング) の定義を述べよ。また, (3) の結果においてどのような現象となるのか説明せよ。さらに, 折り返し歪が起きないために F(ω) が満足すべき条件を ωs を用いて述べよ。
必要に応じて以下を使ってよい。
周期 T の信号 x(t) のフーリエ級数展開:
x(t)ci=i=−∞∑∞ciejT2πit=T1∫T0T0+Tx(t)e−jT2πitdt
信号 x のフーリエ変換 X(ω) :
X(ω)=∫−∞∞x(t)e−jωtdt
信号 x(t)=1 のフーリエ変換は 2πδ(ω) .
x1(t) と x2(t) の畳み込み:
x1(t)∗x2(t)=∫−∞∞x1(t′)x2(t−t′)dt′
信号 x1(t) と x2(t) ののフーリエ変換をそれぞれ X1(ω) と X2(ω) とすると, x1(t)∗x2(t) のフーリエ変換は
, X1(ω)⋅X2(ω).
同様に x1(t)⋅x2(t) のフーリエ変換は 2π1X1(ω)∗X2(ω).
Kai
(1)
δs(t)=∑i=−∞∞δ(t−its) を 1 周期分 (−2ts≤t<2ts) 切り出して、係数を求める。問題文にもあるように係数を求める式は次の通り。
ci=T1∫−T/2T/2f(t)e−jT2πitdt
この場合、T=ts,f(t)=δ(t) なので、これを代入して
ci=ts1∫−ts/2ts/2f(t)e−jts2πitdt=ts1⋅1=ts1
よって、係数は等しく ts1 であり、フーリエ級数展開の結果は
δs(t)=i=−∞∑∞ts1ejts2πit
(2)
(1) の結果をフーリエ変換の公式に代入する。ただし、積分と和の交換、フーリエ変換の公式 (1→2πδ(ω),f(t)→ejω0t→F(ω−ω0))
Δs(ω)=∫−∞∞δs(t)e−jωtdt=∫−∞∞{i=−∞∑∞ts1ejts2πit}=ts1∞∑∞{∫−∞∞e−j(ω−iωs)t}=ts1i=−∞∑∞2πδ(ω−iωs)=ωsi=−∞∑∞δ(ω−iωs)
(3)
fs(t)=f(t)⋅δs(t) の両辺をフーリエ変換する。
下の計算では和と積分の入れ替えや、(2) で得た結論や、畳込みの定義式やフーリエ変換
を使った。
Fs(ω)=2π1F(ω)∗Δs(ω)=ts1F(ω)∗(i=−∞∑∞δ(ω−iωs))=ts1i=−∞∑∞(∫−∞∞F(ω′)δ(ω−iωs−ω′)dω′)=ts1i=−∞∑∞F(ω−iωs)
(4)
エイリアシングとは、サンプリングに従って信号の一部が本来の周波数とは異なる周波
数の成分として混入してしまい、波形に歪みが生じることを言う。
サンプリング周波数 ωs に対して周波数 ω,ω±ωs,ω±2ω,⋯ の成分がすべて Fs(ω) 上の同じ点に重なってしまうため、サンプリング後の信号 Fs(ω) を見たときに F(ω) のど
この周波数由来なのか判別不可能になる。
- F(ω) が満足すべき条件
ω>2ωs において F(ω)=0 を満たすこと。