東京大学 情報理工学系研究科 電子情報学専攻 2016年8月実施 専門 第5問
Author
祭音Myyura (co-authored with GPT 5.6 SOL)
Description
あるモデル M が情報源 S として働き、下記の表の an(ただし、n=0,…,15)を出力したとする。このとき、以下の問いに答えよ。ただし、log23=1.6, log25=2.3 とせよ。
(1) M が明らかとなっていないとき、S の各事象は独立に出力されたと考えることにする。与えられた表から推定される S の平均情報量を有効数字 2 桁で示せ。
(2) S の情報源符号化を考える。平均符号長が 2.2 [bit] 未満となる S の符号化規則を設計せよ。
次に、M が以下であると推定されたとする。モデル M は、n≥2 に対し、
an=αan−1+βan−2+bn
で an を生成する。ここで、bn は情報源 T が生成したもので、与えられた表を出力したときの T の平均情報量は 1.0 であったことがわかっている。α および β は整数の定数であり、α+β=1 を満たすとする。
(3) 適切と思われる α および β の例を一つ挙げよ。またそのときの T の出力した事象の種類とそれぞれの出現確率を示せ。
(4) このようにモデル M が明らかとなったときに、与えられた表の情報を伝達するのに必要な符号長を求めよ。ただし、a1,a0 は S が独立に出力したものと考え、(2) の符号化規則を用いよ。
(5) ある情報源 X に対して、その平均情報量を I(X) で表す。一般に、複数の情報源 X1,…,Xn からの外部入力があり、情報源 Y として働くモデルがあるとき、I(Y) は ∑i=1nI(Xi) になるとは限らない。その要因として考えられるものを 3 通り述べよ。
| n | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
|---|
| an | 2 | 5 | 3 | 4 | 4 | 3 | 3 | 4 | 2 | 3 | 1 | 4 | 2 | 5 | 3 | 4 |
Kai
(1)
1,2,3,4,5 の出現回数はそれぞれ 1,3,5,5,2 なので、
H(S)=−k=1∑5pklog2pk=4−163log23+10log25+2≃2.1375≃2.1 bit.
(2)
ハフマン符号の一例を示す。
| 出力 | 出現確率 | 符号 |
|---|
| 1 | 1/16 | 000 |
| 2 | 3/16 | 01 |
| 3 | 5/16 | 10 |
| 4 | 5/16 | 11 |
| 5 | 2/16 | 001 |
L=163(1+2)+2(3+5+5)=1635=2.1875<2.2 bit.
(3)
α=0,β=1
とすれば、bn=an−an−2 は
(1,−1,1,−1,−1,1,−1,−1,−1,1,1,1,1,−1)
となる。+1,−1 が各 7 回現れるので、
PT(+1)=PT(−1)=21,H(T)=1 bit.
(4)
a0=2 は 2 bit、a1=5 は 3 bit である。残りの 14 個は、bn=+1,−1 をそれぞれ 0,1 とすれば 1 個につき 1 bit で送れる。
L=2+3+14=19 bit.
(5)
- 入力間の依存性。 入力が相関をもつと、結合エントロピーは各入力のエントロピーの和より小さい。例えば X2=X1 なら、二つを知っても情報量は倍にならない。
- モデルによる情報の消失。 異なる入力を同じ出力に写す多対一の変換では、入力を出力から復元できず、情報量が減る。例えば入力を常に 0 に写す場合である。
- モデル内部の新たな乱数。 外部入力以外の独立な雑音・乱数が出力に加わると、外部入力の情報量の和に含まれない不確実性が生じる。