東北大学 理学研究科 物理学専攻 2018年8月実施 問題5(熱・統計力学)
Author
Miyake
Description
問題の要約(日本語)
題意の要約。出典:東北大学公式サイトの保存版。
[1] 混合エントロピーと化学平衡(原問題「熱-1/4、熱-2/4」)
- 単原子理想気体 n mol の体積、圧力、温度、エントロピーを V,P,T,S、気体定数を R とする。a) 物質量一定で dS=23nRdT/T+nRdV/V を導く。b) 基準状態 (T0,V0) から積分して S(T,V) を表す。c) 異なる2種類の理想気体 n1,n2 mol が同じ圧力 P・温度 T で体積 V1,V2 の空間を占め、隔壁で分けられている。外界から断熱された容器内で隔壁を取り除き混合したときの全エントロピー増加を求める。
- 気体の反応 A+B⇌C を考える。各気体の1分子当たりの化学ポテンシャルは μi=μi0+kBTln(Pi/P0)、標準圧力は P0=1atm である。a) 平衡時の Gibbs 自由エネルギーから化学ポテンシャルの関係を導く。b) Δμ0=μC0−μA0−μB0、KP=PCP0/(PAPB) として KP=exp[−Δμ0/(kBT)] を導く。c) 標準状態での生成系と反応系の1 mol 当たりのエンタルピー差を ΔH0 とし、(∂lnKP/∂T)P=ΔH0/(RT2) が成り立つとする。原図では lnKP と 1/T の関係が正の傾きの直線である。反応が発熱か吸熱かを理由とともに答える。
[2] 熱電子放出(原問題「熱-3/4、熱-4/4」)
金属は z<0、外部電子気体は z>0 を占め、表面は z=0 とする。電子の質量を m、温度を T、定数を kB,h とし、スピン自由度を無視する。
- 外部電子気体を Boltzmann 分布に従う古典理想気体とみなし、体積と電子数を V,N とする。
a) 電子の不可区別性を考慮して、分配関数の(ア)、(イ)を埋める。
Z=(ア)1[h3V∫−∞∞dpx∫−∞∞dpy∫−∞∞dpz(イ)]N.
b) 積分して Z と Helmholtz 自由エネルギー F(T,V,N) を求める。Stirling 近似を用いてよい。c) 規格化された速度分布 f(v) を求める。d) z+vzΔt<0 を使い、単位面積・単位時間当たりの金属への入射数の空欄を埋める。
Rin=VN∫−∞∞dvx∫−∞∞dvy∫(ウ)(エ)dvz(オ)f(v).
e) 積分して Rin を T,V,N で表す。
- 金属内のポテンシャルは外部より W 低い。電子エネルギー ε と化学ポテンシャル μ′ は井戸の底を基準とし、Fermi エネルギーを εF とする。kBT≪εF、kBT≪W−εF が成り立ち、内部電子を体積 V′、粒子数 N′ の理想縮退 Fermi 気体として扱う。
a) 1粒子状態の占有率 fFD(ε) を書く。b) T=0 と 0<kBT≪μ′ における分布の概形をそれぞれ示す。c) 密度が
V′N′=(hm)3∫R3fFD(21mv2)d3v
と表されることを使う。表面のポテンシャル障壁を越える電子のみが外部へ放出されるとして、単位面積・単位時間当たりの放出数の空欄を埋める。
Rout=∫−∞∞dvx∫−∞∞dvy∫(カ)(キ)dvz(ク).

题目描述
【混合熵与化学平衡】
- 对 n mol 单原子理想气体,在物质的量固定时导出 dS=23nRdT/T+nRdV/V,从参考态 (T0,V0) 积分求 S(T,V)。再考虑初始温度、压强相同的两种理想气体 n1,n2 mol,分别占据 V1,V2,撤去绝热容器内的隔板后,求混合引起的总熵增。
- 对气相反应 A+B⇌C,使用上方给定的单分子化学势式和标准压强 P0=1atm:从平衡时的 Gibbs 自由能导出化学势关系;令 Δμ0=μC0−μA0−μB0、KP=PCP0/(PAPB),导出 KP=exp[−Δμ0/(kBT)];利用 (∂lnKP/∂T)P=ΔH0/(RT2),根据 lnKP 对 1/T 的直线斜率为正,判断反应吸热还是放热。
【热电子发射】
金属位于 z<0,外部电子气体位于 z>0,表面为 z=0。电子质量为 m、温度为 T,忽略自旋自由度。
- 将外部的 N 个电子视为体积 V 内满足 Boltzmann 分布的经典理想气体。考虑不可分辨性,填写配分函数中的(ア)、(イ);积分求配分函数及 Helmholtz 自由能,可用 Stirling 近似;求归一化速度分布;用 z+vzΔt<0 确定入射通量式中的(ウ)、(エ)、(オ),积分求单位面积、单位时间的入射数 Rin。
- 金属内势能比外部低 W,电子能量 ε 与化学势 μ′ 从势阱底计算。设 kBT≪εF 且 kBT≪W−εF,内部是体积 V′、粒子数 N′ 的理想简并 Fermi 气体。写出 Fermi–Dirac 占据率,画出零温及低温分布;利用题给的速度空间密度式及电子跨越表面势垒的条件,填写出射通量 Rout 中的(カ)、(キ)、(ク)。各待填积分式见上方题目。
Kai
[1]
単原子分子の理想気体なので、内部エネルギーを U として、
U=23nRT, PV=nRT
が成り立つ。
また、熱力学第1,2法則より、
dU=TdS−PdV
が成り立つ。
よって、
dS=T1dU+TPdV=23nRTdT+nRVdV
が成り立つ。
S(T,V)=S(T0,V0)+23nR∫T0TTdT+nR∫V0VVdV=S(T0,V0)+23nRlnT0T+nRlnV0V=S(T0,V0)+nRln[(T0T)23(V0V)]
混合前の状態方程式は、
PV1=n1RT, PV2=n2RT
であり、混合後の状態方程式は、
P(V1+V2)=(n1+n2)RT
である。
n1 モルの理想気体のエントロピー変化は、
n1Rln[(TT)23(V1V1+V2)]=n1Rlnn1RT/P(n1+n2)RT/P=n1Rlnn1n1+n2
であり、同様に、 n2 モルの理想気体のエントロピー変化は、
n2Rlnn2n1+n2
である。
よって、
ΔS=n1Rlnn1n1+n2+n2Rlnn2n1+n2
を得る。
反応が dξ だけ進むとき、dNA=dNB=−dξ、dNC=dξ である。一定の T,P で
dG=(μC−μA−μB)dξ
となり、平衡では G が極小なので係数が0になる。したがって
μA+μB=μC
μA0+kBTlnP0PA+μB0+kBTlnP0PB=μC0+kBTlnP0PC
を整理して、
kBTlnPAPBPCP0kBTlnKP∴ KP=μA0+μB0−μC0=−Δμ0=exp(−kBTΔμ0)
定数 a(>0),b を使って
lnKP=aT1+b
と書けるとき、
∂T∂lnKP=−T2a
となるので、与えられた式(7)より、
ΔH0=−Ra<0
を得る。したがって A+B→C は発熱反応である。
[2]
電子は同種粒子なので Gibbs 因子 1/N! を入れる。外部での1電子のエネルギーは p2/(2m) であり、
(ア)=N!,(イ)=exp[−2mkBTpx2+py2+pz2].
3方向の Gaussian 積分は独立で、各方向の積分値は 2πmkBT である。熱的波長 λT=h/2πmkBT を用いると
Z=N!1[h3V(2πmkBT)3/2]N=N!1(λT3V)N.
したがって、F=−kBTlnZ と Stirling 近似より
F≃NkBT[ln(VNλT3)−1].
問題ではスピンを無視しているので、1粒子分配関数にスピン縮退因子2を掛けない。
運動量分布から p=mv と変数変換し、規格化すると
f(v)=(2πkBTm)3/2exp[−2kBTm(vx2+vy2+vz2)].
これは速度ベクトルの確率密度であり、速さの分布 4πv2f(v) とは異なる。
入射する電子は vz<0 を持つ。時間 Δt の間に面へ到達できるのは 0<z<−vzΔt の範囲なので、単位面積の有効体積は (−vz)Δt である。よって
(ウ)=−∞,(エ)=0,(オ)=−vz.
x,y 成分の規格化積分はそれぞれ1であり、残る積分から
Rin=VN2πkBTm∫−∞0(−vz)e−mvz2/(2kBT)dvz=VN2πmkBT.
内部のエネルギーと化学ポテンシャルは同じ基準を用いるので
fFD(ε)=exp[(ε−μ′)/(kBT)]+11.
T=0 では μ′=εF で、ε<εF の状態はすべて占有され、ε>εF の状態は空になる。有限温度では幅 O(kBT) の範囲で滑らかに減少し、fFD(μ′)=1/2 である。零温度の不連続点における値は粒子数の積分に影響しない。

表面に平行な運動量 px,py は保存される。電子が金属から外部へ進むには vz>0 に加えて、法線方向の運動エネルギーが障壁を越える必要がある:
21mvz2>W⟺vz>m2W.
また、速度空間の状態密度は (m/h)3 で、単位時間に表面を横切る因子は vz である。したがって
(カ)=m2W,(キ)=+∞,(ク)=(hm)3vzfFD(21m(vx2+vy2+vz2)).
障壁を判定するのは法線成分 vz であり、全運動エネルギーが W を超えることだけでは十分ではない。